尾上先生の勉強風景 (17) ボイヤー『宗教的観念の自然さ』

ダーウィンのフォースが(略)
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尾上正人 @9w9w9w92

「文化人類学の<神学的バイアス>…ある集団、『文化』ないし『社会』の宗教的表象は、抽象的原理の統合され一貫したセットを構成するという想定…問題となっているシステムが意図せざる矛盾を全く含まないという含意」p.40. 山口昌男の「コスモロジー」や浅田彰の「象徴秩序」なんてまさにこれでわ?

2019-02-27 11:27:18
尾上正人 @9w9w9w92

宗教的表象の4つの「レパートリー」…存在論的(どういう種類のものが世界にはあるか)、因果的(存在論的レパートリーで描かれる全体と、観察された出来事・状態との関連性)、エピソード(存在論的・因果的レパートリーの観念と繋がった状況の描写、儀式が典型)、社会的カテゴリー。pp.42-3.

2019-02-27 12:16:29
尾上正人 @9w9w9w92

「『聖なる』/『俗なる』状況・観念の間のデュルケームの元々の区別は、文化間比較の検証をパスしない。…私の目的は、まさしく『信念の様相(modality)』という観念によって生まれるいくつかの一般的な問題を検証することである」pp.46-7.

2019-02-27 15:23:06
尾上正人 @9w9w9w92

「思考様式や信念の様相の叙述で、宗教的表象の人類学的叙述に一般的な誤りが見られる。その誤りはそうした観念を<認知的>な観点よりむしろ<認識的(epistemic)>な観点から叙述するところにある。一連の観念を認識的な観点から叙述するとはそれらを、世界について何かを言う試みとして見ることだ」p50

2019-02-27 15:55:17
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「それとは対照的に、一連の表象を認知的観点から叙述すること[著者の立場]は、いかなる過程によって人々は彼らが現実に楽しんでいる思考を楽しむに至るのかを示すことにある。彼らがシステムを構成し、世界を表象し、世界を説明するかどうか等の疑問は、認知的研究には関連しないのだ」p.50

2019-02-27 16:01:59
尾上正人 @9w9w9w92

宗教的表象の生起における<認識的理由>と<認知的原因>の区別…「原因と理由は、理想的な知識システムにおいてのみ一致するが、ヒトの心はそうなっていない」p.51.

2019-02-27 16:06:24
尾上正人 @9w9w9w92

続けてこないだのホールパイクの別の本(The Foundations of Primitive Thought, 1979)が、認知的観点に立たず認識的観点に留まっているとして批判されとる(笑)p.51.

2019-02-27 16:12:33
尾上正人 @9w9w9w92

「認識的アプローチは、思考様式についての議論がほとんど不可避的に<叙述的>モデルよりも<規範的>モデルに至ってしまう主要な理由である」p.52. 「合理性論争」に典型的に表れていると

2019-02-27 16:18:23
尾上正人 @9w9w9w92

スペルベルの「合理的」モードと「象徴的」モード…「2つの抽象的な情報処理装置…それら[象徴的装置]は、それらが真であることにより合理的装置がインプットを解釈できるようになる時にのみ、選択される。合理的処理とは反対に、象徴的解釈は多くの想定を無限に活性化させる傾向がある」p.56.

2019-02-27 17:13:41
尾上正人 @9w9w9w92

「直観に反する想定は象徴的に扱われやすい…象徴的な喚起(evocation)は通常は部分的には解釈されたカテゴリーに照準し、しばしばそれが解決するよりも多くの神秘を生み出すだろう。象徴的喚起は論理的含意ではなく関連付け(relevance)によって駆動される」p57 シュッツのレリヴァンスてあったなw

2019-02-27 17:32:39
尾上正人 @9w9w9w92

人類学の宗教表象研究は一方で、「文脈」からしてそれらが自然であると想定するが、それは正しくない(直観に反し、注意を要する現象)。他方で、メタファー論は認知能力に縛られない無限の表象可能性を説くが、それも正しくない(通常の知識構造に制約されている)。p.59. 返す刀でって感じで良いな

2019-02-27 17:47:13
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的『シンボリズム』は概念的構造の特質に強く制約されている…第1に、宗教的インプットは…中身は宗教的でない[前・宗教的な?]概念的構造を活性化しやすい。…第2に、推論がこれらの構造に制約されるやり方は、活性化される概念領域によって異なり得る」pp.59-60.

2019-02-27 19:03:50
尾上正人 @9w9w9w92

「非図式的想定は、その信憑性がある概念構造の図式的想定によって強化される程度に応じて、楽しまれるようだ。…宗教的表象は通常、非図式的想定<のみ>を活性化させるように思われる」pp.85-6.

2019-02-28 10:03:06
尾上正人 @9w9w9w92

「ある宗教的表象の再発は、それが他よりも、ある図式的想定によってより強化されるという事実から生ずる」p.88. 図式的想定—(強化)→宗教的表象—(活性化)→非図式的想定 って感じ?

2019-02-28 10:06:48
尾上正人 @9w9w9w92

「領域限定的な直観原理は<文化横断的な普遍態>を構成する。…しかしながら人類学者たちは、単に相対主義という職業病からか[苦笑]、認知的普遍態という観念に抵抗しがちである」p.111.

2019-02-28 17:07:41
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的概念は、直観的存在論によってもたらされるある図式的想定を、明示的な文化的伝達によってもたらされる非図式的な想定と結合させるように思われる」p.121.

2019-02-28 17:42:57
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的概念は、もしその存在論的想定が直観的原理の重要な背景を確定することがなかったなら、獲得され得なかったであろう。同時に、単純に直観的期待によって排除されるいくつかの原理を含まなかったら、いかなる注意の対象ともならなかったであろう」p.121.

2019-03-01 04:30:05
尾上正人 @9w9w9w92

「自然でない主張の自然さ…直観的理論に違反する想定は、直観的理論を確定する想定と体系的に組み合わされている。…ほとんどの場合、宗教的存在は実際には、多くの直観的原理を確定する」p.123. ここがミソに思えるな

2019-03-01 04:48:42
尾上正人 @9w9w9w92

「直観的原理に違反する想定ですらも、それ自身はこれらの[直観的]原理によって制約されている」p.124.

2019-03-01 04:52:12
尾上正人 @9w9w9w92

ニーダムの因果概念は文化によって異なるとする説と、ホールパイクのピアジェの発達論に依拠した「因果関係の原始的観念」説の批判。pp.126-9.

2019-03-01 11:43:19
尾上正人 @9w9w9w92

ピアジェの因果概念発達論に反する、A. E. ミショット[?Michotte]の直接的・無媒介的な因果知覚。A. レスリーの、4ヵ月半の子どもにも見られた「因果的」な時空感覚。p.137.

2019-03-01 11:52:12
尾上正人 @9w9w9w92

レスリー&キーブル「視覚メカニズムは既に生後27週から作動し、因果知覚の組織化に責任を負う…因果[知覚]は完全に思考の漸進的発達の結果なのではなく、かなり低レベルの知覚メカニズムが重要でおそらく本質的な貢献をしている」pp.137-8.

2019-03-01 11:54:44
尾上正人 @9w9w9w92

「人格に基づく求人[魔術師・預言者・カリスマ]と役割に基づく求人[祭司]の間のこの単純な区別は、社会学的分析の非常に洗練されたタイプとは言えない」p.164. →こうした「本質に基づく」地位の理解に対する、「基準に基づく」[心理学的な]解釈、両者は直交。p.165.

2019-03-02 11:01:44
尾上正人 @9w9w9w92

エヴァンズ=プリチャードやE. ゲルナーによる宗教指導者の類型化(前者の「豹の肌を持つ酋長」等)も、ヴェーバーの理念型と同様の問題…「伝統とカリスマの対立の明白な描写と思われるものも、実際にはもっと曖昧である」p.166.

2019-03-02 11:17:00
尾上正人 @9w9w9w92

「社会的認知は、多様なカテゴリー群が非常に様々なやり方で獲得され表象される概念的ごたまぜ(motley)を成している。…この場合、社会的な存在や関係の領域を組織化すると言い得るような明白な原理群はないように思われる」pp.176-7.

2019-03-02 15:08:50