2019-02-28のまとめ
[PDF] 働き方改革シリーズ1「同一労働同一賃金」 無限定正社員と限定正社員の賃金格差 / jil.go.jp/institute/zass…
2019-02-28 01:00:09月収については,無限定正社員よりも勤務地限定は13%,職務限定は5.2%低いが,そのほとんどは属性の違いにより説明される。勤務地限定と無限定正社員の属性の違いとしては性別と労働時間が重要で,職務限定と無限定正社員の属性の違いとしては学歴と労働時間が重要であった。
2019-02-28 01:00:10時間限定正社員と残業限定正社員の月給は無限定正社員より低いということは観察されなかった。時間当たり賃金については,限定正社員の方が無限定正社員より高い傾向が観察される。この時間当たり賃金の割増分は属性の差では全く説明できない。
2019-02-28 01:00:10時間当たり賃金でみると,すべてのタイプの限定正社員の時間当たり賃金の方が無限定正社員よりも高いことがわかる。無限定正社員の時間当たり賃金は 1899 円,勤務地限定,職務限定,時間限定,残業限定の時間当たり賃金は
2019-02-28 01:00:11それぞれ2137 円,2213 円,2176 円,2657 円である。本論文と同じデータセットを用いた安井ほか(2018)は,有期雇用労働者の時間当たり賃金が無限定正社員よりも大幅に低いことを示しており,
2019-02-28 01:00:11有期雇用労働者と限定正社員の賃金の待遇はかなり異なることがわかる。すなわち,時間当たり賃金で評価したプレミアムは残業限定が最も大きい。
2019-02-28 01:00:12その他属性を制御した(2)式の結果を見ると,すべての限定正社員の月収は無限定正社員の月収と統計的に有意な差がない。これらのことから,勤務地限定の正社員と職務限定の正社員の月収は無限定正社員のそれよりも低いが,それはほとんどが属性の違いで生じていると考えられる。
2019-02-28 01:00:12時間限定正社員と残業限定正社員の月収は無限定正社員のそれとそもそも差がない。したがって,月収でみるかぎり,限定正社員は雇用形態の違いで賃金格差が生じているとはいえない。
2019-02-28 01:00:13勤務地限定正社員と無限定正社員の月収差の13 % のうち 9.9 % ポイントを,つまり約 76 % を属性の差が説明している。属性として重要なのは性別,労働時間であり,それぞれが約 2.9 % ポイント,約 2 % ポイントの貢献をしている。
2019-02-28 01:00:13職務限定正社員と無限定正社員の月収差の5.2%のうち5.9%ポイントを,つまり約113%を属性の差が説明している。属性として重要なのは学歴と労働時間であり,それぞれ 1.6 % ポイントの貢献をしている。
2019-02-28 01:00:13限定正社員と無限定正社員の時間当たり賃金差の推定 pic.twitter.com/J4h9KvAPAJ
2019-02-28 01:00:14限定正社員ダミーは統計的に有意ではないので,限定正社員であるかどうかは月収に影響を与えてない。このような結果から,無限定正社員と限定正社員の月収の差のほとんどは,雇用形態の差(限定であるか否か)や労働時間でなく,その他属性によって決定されていることになる。
2019-02-28 01:00:14その他属性をコントロールした場合に両者の月収の差はないけれども,月収の決定にはほとんど影響を与えていない労働時間で月収を除すと,労働時間が短い限定正社員の時間当たり賃金は無限定正社員のそれよりも高くなる。そして,その差が限定正社員のプラスの係数にあらわれている可能性がある。
2019-02-28 01:00:14無限定正社員と限定正社員の時間当たり賃金差の分解 pic.twitter.com/AlCzuxdqaH
2019-02-28 01:00:15勤務地限定を除き,限定正社員の時間当たり賃金の方が無限定正社員の時間当たり賃金よりも平均的に高い。すなわち,職務限定,時間限定,残業限定でそれぞれ観察される賃金差は,属性では説明できない部分から賃金プレミアムを得ている
2019-02-28 01:00:15個人属性を制御しない場合,30 パーセンタイルとメディアンにおいて勤務地限定の正社員の賃金が無限定正社員よりも12.7 % 低い。70 パーセンタイルにおいて職務と時間限定は無限定よりも約 6 % 賃金が高い。ただし,個人属性を制御するとその多くは統計的に有意な差を持たない。
2019-02-28 01:00:16ただ,時間限定に関しては 10,30,70 パーセンタイルにおいて約 4 から5 % 賃金が高い。これらの限定性に関しては,分位間で差異は大きくなく,傾向があるわけでもない。
2019-02-28 01:00:17(・д・)ホォー 本稿の分析によれば,我々が使用したサンプルで見る限り,月収における格差は様々な属性で説明可能であり,無限定正社員と比較して限定正社員という雇用形態のみの違いで格差が生じている可能性は小さい。
2019-02-28 01:00:17また,時間限定や残業限定のように,労働時間に関連した限定正社員においては,時間当たり賃金ではむしろ限定正社員の方が高いことも考え合わせると,限定正社員に対し賃金面で一様に不利益な取り扱いがされている可能性は見いだせない。
2019-02-28 01:00:18