山岡重行先生の腐女子統計講義

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

また、根拠のない不自然な前提条件をつけないと議論が成り立たないことも疑似科学の特徴です。例えば、腐女子がフェミニストであることを示す明確なエビデンス無しに、腐女子=フェミニストを前提条件に議論してもその議論は砂上の楼閣、机上の空論です。

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エビデンス無しに異なる現象を同一視して議論を飛躍させることも疑似科学の特徴です。例えば、「二次創作に興味を持つ」と答えた人を「二次創作好きで二次創作をしている人」として議論することは現実から乖離した空疎な議論です。

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「オタク女子が好きな二次創作同人誌はBLである」という推論を前提に、「二次創作に興味を持つオタク女子を腐女子」と認定し、「腐女子はフェミニストである」という仮定を前提にして議論することは、推論の上に推論を重ねるものであり、現実から乖離した疑似科学と言わざるを得ません。

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ようするに、エビデンスなしに推論を重ねれば重ねるほど疑似科学性が強くなっていきます。そしてその推論が「トンデモ」であるほど疑似科学性も失いただの妄想になります。 差がないものを差がある、関係ないものを関係があるとエビデンスを捏造するものは科学にはなり得ません。

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腐女子は結婚や出産を否定しているのか？　１ 「私は結婚したら子供を持ちたいと思う」に対する回答から、否定(１と２)、中間(３)、肯定(４と５)の３群に分けその割合が腐女子、男女オタク、男女一般で異なるかどうかカイ二乗検定をしました。 結果はどうなったでしょうか？

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婦女子は結婚や出産を否定しているのか？　２ 「腐女子の心理学２」188ページに書いたように、腐女子群は他の群よりも否定的回答が多いことを示唆する有意傾向の結果が得られました。この結果から、「腐女子は結婚や出産を否定している」と結論付けて良いのでしょうか？

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腐女子は結婚や出産を否定しているのか？　３ 有意傾向の結果が出たので、腐女子群は他の群よりも否定的回答が多いみたいだと主張できますが、それも統計的に意味があると言えるかどうかのグレイゾーンなので、主張は小声で控えめにするべきです。 結婚出産否定は腐女子群の特徴になるでしょうか？

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腐女子は結婚や出産を否定しているのか？　４ 腐女子群は他の群よりも結婚出産に否定的な回答が多いみたいでも、それは他の群と比較しての話しです。腐女子だけに限定してカイ二乗検定を行うと、14.870(df=2)で有意に肯定的回答が多く、否定的回答少ないからです。 結論は？

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腐女子は結婚や出産を否定しているのか？　５ 腐女子の中で有意に少ない（腐女子の24.6%）否定的回答は、腐女子群を代表する回答にはなり得ません。他の群と比較して有意に否定的回答が多かったとしても、「腐女子は結婚や出産を否定している」と主張することはできません。

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腐女子は結婚や出産を否定しているのか？　６ 腐女子群の中で有意に少ない反応を根拠に、「腐女子が恋愛や出産を否定するのは、男性中心のジェンダー規範を否定し、男性中心社会を持続させるための出産を拒否しているからだ」なんて主張することも当然できません。 科学的説得力はありません。

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腐女子は結婚と出産を否定しているのか改　１ 「私は結婚したら子供を持ちたいと思う」に対して肯定的に回答(４と５)した人の割合です。カイ二乗検定から腐女子群は他の群よりも肯定が少ない傾向(p<.10)がありますが、「腐女子は結婚と出産を否定している」と主張して良いのでしょうか？ pic.twitter.com/CSAR4GdTF1

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腐女子は結婚と出産を否定しているのか改　２ 否定的回答(１と２)、中間(３)を加えると腐女子群でも圧倒的に肯定的回答が多いことがわかります。カイ二乗検定でも肯定的回答が多いことを示す有意な結果(p<.01)が出ています。「腐女子は結婚や出産を否定している」と主張することはできません。 pic.twitter.com/vxSUpDepwf

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腐女子は結婚と出産を否定しているのか改　３ 腐女子群の中でも有意に少ない否定的回答を根拠に、「男性中心社会を持続させる結婚や出産を腐女子が否定するのは、腐女子が男性中心社会と戦うフェミニストだからだ」などと主張することはできません。それはインチキです。

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自分だけが正しいと思い、考えの違う相手を否定する人がいます。脳内自己完結しているせいか、説明無しに自分勝手な造語を使い、理解不能な文章を書くことが多いです。最低でも書店で販売する本の文章は、一般読者が理解不能な言葉はきちんと説明して用いる義務が著者にはあると思います。

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例えば、「戦前の家族の性別役割規範」と言えば、男性中心の封建的な性別役割規範であることは明白です。しかし「戦後家族的な性別役割規範」は、戦後民主化された性別役割規範なのか、70年前の敗戦当時の性別役割規範なのか不明です。著者としての説明責任を果たしましょう。 もちろん一般論です。

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例えば、「AはBである可能性がある、BであることはCであると想像できる、Cである場合Dである可能性がある、DならEであることが容易に想像できる、従ってAはEである」という論法も、その可能性が低く、そのステップが増えるにつれて、脳内自己完結の連想ゲームとなる。やはりエビデンスが必要です。

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「二次創作に興味を持つ人は、二次創作好きの可能性が高い、二次創作好きは二次創作をしていると想像できる、だから二次創作に興味を持つ人は二次創作をしている」という論理の真偽は、コミケに行く人は全て二次同人作家であるかどうか考えるとわかる。 詳しくは「腐女子の心理学2」をご覧下さい。

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統計不正問題で、厚労省の行為は特別監察委員会が定義した隠蔽行為に該当しないと報告したことに批判があるが、世間一般の定義と乖離しない範囲であれば自分で定義すること自体は概念的定義、操作的定義ということになる。問題は、その定義が生かされていないことだ。 続く。

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学者も結論ありきの偽装をすることもある。例えば、自分の主張と整合する項目を選択してオタクの程度を測定する尺度を作成し、調査で使用した「自分はオタクである」という質問を尺度項目にしなかったのは「当事者の自認をもとにすると析出しようとした問題を分析できないから」と開き直る。 続く。

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そこまでして析出しようとした問題が、「腐女子＝フェミニスト説」である。その根拠が腐女子群と男性オタク群のジェンダー意識の標準得点が正負逆になっているグラフである。さらにそれは統計的に差が無い誤差を「差がある」と主張する捏造になっていたりすると、笑うしかない。 無論、一般論ですよ。

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

女性が生き生きと楽しそうにしているのを見るのが好きだから、女性差別に反対する。私はフェミニズムに反対していない。 「腐女子=フェミニスト説」を主張するために調査結果を捏造して男性オタクをアンチ・フェミニストにでっちあげて他者を否定する、自分だけが正しい人間に反対している。

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

女性差別に反対することは正しいとしても、そのために調査結果を偽装し誤差を有意差のように見せかける結果の捏造は学者として許されない。根拠なしに腐女子をフェミニストに仕立て上げるだけでなく、男オタクへの偏見をまき散らすことも許されない。 詳しくは「腐女子の心理学２」をご覧ください。

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

きちんとしたデータに基づいた反論は歓迎できる。違う結果が出た理由を考えればよいからだ。しかし、データを偽装して差がないものを差があるように見せかけるような研究倫理違反の感情的な反発は、きちんとしたデータにより叩き潰すしかない。

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

例えば、ジンバルドの没個性化実験でニューヨークの女子大生では攻撃行動が増加したが、ベルギー軍兵士だと攻撃行動が減少した。兵士の行動も「命令への不服従」と解釈すれば、通常抑制された行動が表出しやすくなるという没個性化効果として矛盾なく説明できる。異なる結果が発見に繋がることもある。

山岡重行＠心理学者 @yamaokashige

しかし、データ偽装の感情的な批判が示すものは、日本の大学や言論界がデータを軽視し、エビデンス無しの感情論で動いているという悲惨な現実だ。中央省庁の官僚を輩出する大学の情報系の教員がそんなレベルでは、法律違反のデータ偽装事件が起こるのも当然だ。 無論、一般論です。 twitter.com/yamaokashige/s…