ちっさくなった兄様 勇尾 原作軸

tweetまとめ 呟いた順なので、ちょろっと同じ設定で別軸の話がまじってます。 Twitterのツリーの方が読みやすいです。 加筆して小説にしました!→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14485114
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夏目一加 @natumeitika

「兄様が勇作をご所望なのでしたら、勇作は拒みませんが……。勇作はそういうことはいいのです。兄様と一緒にいられるだけで幸せですので」

2019-03-14 01:29:28
夏目一加 @natumeitika

「つまらないですな。あがります。体を拭いて下さい」 兄は弟に体を拭いてもらって、貫頭衣を着せてもらって、傷の手当てもしてもらう。

2019-03-14 01:33:20
夏目一加 @natumeitika

この兄は貫頭衣の下は何も身につけてないよ。

2019-03-14 01:35:27
夏目一加 @natumeitika

本当は割と早い段階で貫頭衣から、呉服屋なり、人形屋に注文して兄の服を弟が財力にまかせて調達する予定だったんだけど、めんどくさいから一貫して貫頭衣。 人形用の女物の着物とか着せたらかわいかろうとは思うけど、思っただけだったね。

2019-03-14 02:00:09
夏目一加 @natumeitika

食事の時は弟が全部のおかずをちょっとづつ兄の口の中に入る大きさにナイフで切ってくれる。 でも、兄は好きじゃないおかずは食べずに弟につき返す。で、弟が食べる。

2019-03-14 02:05:52
夏目一加 @natumeitika

「そう言えば勇作さん、俺のこと愛してるって言ってましたね。あれ本当ですか?」 「はい。本当ですが、食事のときにする話題でしょうか?」 「全く気づきませんでした。いつからです?」 「初めて兄様のお姿をお見かけしたときからです」

2019-03-14 02:10:22
夏目一加 @natumeitika

「そんな前からですか? なんでもっと早く言ってくれなかったんです?」 「お伝えするつもりはありませんでしたので」 「俺の体が縮む前に言ってくれたら、いくらでもお相手したのに」 「兄様、お召し上がりにならないのなら、下げますよ」

2019-03-14 02:13:26
夏目一加 @natumeitika

「食べます。勇作さんは俺を抱きたかったですか? それとも抱かれたかったですか?」 「兄様、お食事はお済のようですのでお下げしますね」 「駄目です、まだ食べてます!」

2019-03-14 02:15:12
夏目一加 @natumeitika

食事を下げようとする弟の指に噛みついて断固拒否する兄。

2019-03-14 02:18:35
夏目一加 @natumeitika

兄の脱走事件以降、弟は決して兄を自分の目に届かないところにはおかなくなった。 出かけるときはポケットに入れていつも一緒だし、トイレ中も監視する。

2019-03-14 02:25:13
夏目一加 @natumeitika

兄は気づかないふりをしているけど、弟がときどき自分の寝顔を見ながらめそくそ泣いているのを知っている。弟のそういうところを兄はうっとおしいと思ってる。

2019-03-14 02:27:52
夏目一加 @natumeitika

この兄は弟が先に死んだら、そっと弟の死装束の懐に潜りこんで一緒に埋葬される。 そのくらいには弟が好き。

2019-03-14 02:31:16
夏目一加 @natumeitika

関東の片隅に二人が居をかまえて何年か経った。 あいかわらず兄は小さい姿のまま。 弟は兄を家に置いて外に働きに行くようなことはなかったので、まずしかった。 弟はどんな時も兄の傍を離れることはない。

2019-03-14 02:36:43
夏目一加 @natumeitika

兄はまるで自分が信用されていないようで、そのことが不満だった。兄は何度ももう勝手にいなくなったりしない、ずっと一緒にいると弟に伝えていた。それでも弟は兄を決して一人にはしなかった。

2019-03-14 02:48:57
夏目一加 @natumeitika

あるとき家の掃除をしていて、弟が小箱を開けたきり手を止めていた。兄が不思議に思って覗き込むと、弟の手にはいつかの書置きが握られていた。 「そんなもの、まだとっておいたんですか」 「兄様が初めて私に下さったお手紙ですので」 そう言って弟ははらはらと泣き出した。

2019-03-14 03:00:19
夏目一加 @natumeitika

「それは手紙ではなくて、書置きです」 そういえば弟に手紙を送ったことはなかったなと兄は思った。 「手紙なんてこれからいくらでも書きます。そんなものは早く捨てて下さい」 そう言うと兄は傍にあった本を開き、適当なページの余白をちぎった。

2019-03-14 03:04:19
夏目一加 @natumeitika

「兄様、その本は私が恩師にもらって大切にしている本だとお話ししたことがあったと思いますが」 「そうですか。手紙を書くので、鉛筆の芯を下さい」

2019-03-14 03:06:59
夏目一加 @natumeitika

弟は鉛筆の芯を折って、兄に渡してやる。 「書き終わったら渡すので、それまでは覗かないで下さい」 そう言うと兄は弟に背を向けて、手紙を書き始めた。

2019-03-14 03:09:56
夏目一加 @natumeitika

兄の体では鉛筆の芯ですら、両手で持たないと持てない。紙がずれないように足で押さえて書くのだが、なかなに大変だった。

2019-03-14 03:12:17
夏目一加 @natumeitika

兄は手紙が書き終わると「今はまだ読まないで下さい」といって、表を伏せて弟に渡した。 「この手紙はいつになったら読んでいいのですか?」 「俺がいいというまでは駄目です」 弟は兄から手紙を受け取ると、兄が止める間もなくその場で表に返した。

2019-03-14 03:19:54
夏目一加 @natumeitika

兄は弟に「勝手に読まないで下さい」と文句を言おうとして、弟の顔を見て言いよどんだ。 「どうしてまた泣くのです」 「すみません、嬉しくて……。兄様が初めて勇作にお気持ちを伝えて下さいました。いただいてこんなに嬉しいお手紙はありません」

2019-03-14 03:25:25
夏目一加 @natumeitika

兄が弟に送った手紙は、本のページをちぎっただけの紙に平仮名で『あいしてます』とだけ書かれていた。

2019-03-14 03:30:36
夏目一加 @natumeitika

「勇作も同じ気持ちです。兄様を心から愛しています。この手紙は大切にいたしますね。ありがとうございます」 「そんなことより、手紙を書いたんだから、あの書置きは捨てて下さい」

2019-03-14 03:38:05
夏目一加 @natumeitika

「あの手紙は兄様から始めていただいた大切なものなので捨てません」 「なら、今渡した手紙を返して下さい」 「申し訳ありませんが、一度受け取ったものはお返しできません」 そう言って弟は手紙を小箱にしまって、兄には手の届かない棚の上に小箱を置いた。

2019-03-14 03:43:36
夏目一加 @natumeitika

兄は憤慨したが、弟の掌の中に捕まえられてしまう。

2019-03-14 03:48:22
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