クルセイド・ワラキア #10 後編

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◇前回のあらすじ:「^-^-^ セイショクシャ、ブッコロスゾ」グアオオオオオオオオオオン!HC-31キルナイン型ガトリングガンが凶暴なモーター音の唸りをあげ、射撃予備動作を開始した!◇

2019-03-13 21:23:46
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◆ニンジャスレイヤープラスより【クルセイド・ワラキア】#10 後編◆ pic.twitter.com/k0Y4HnBlQw

2019-03-13 21:28:10
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オー・オーは喜び、ありったけの弾丸を吐き出した。「^-^-^-^-^-^-^-^ kill -9」BRATATATATATATATATATATATATATATA!銃弾がアイアンフォージドの体を消し飛ばしてゆく!「グワーーーーッ!し、死せる電子の神よ!我が魂と電子貨幣を月の玉座へ運びたまえ!ノイズなきことを!劣化なきことを!」 0

2019-03-13 21:29:29
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アイアンフォージドは爆発四散!「サヨナラ!」断末魔の絶叫が、ドラクル城地下洞窟に響き渡った!……キュン、キュン、キュン……キュン…………。オー・オーのガトリングガン腕の回転が、壊れたファンのようにゆっくりと停止してゆく。 0

2019-03-13 21:29:46
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「ヤッタ……」気が遠くなるほどの激痛と疲労。そして極度の緊張感からの解放。ツインテイルズはイカを与えられたネコめいて腰を抜かし、ソニアに覆いかぶさるように、その場に倒れこんだ。「アーーーー、やったニャー……」 1

2019-03-13 21:32:51
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「おい!おい!バカ!死ぬな!まだ終わっていないのだぞ!」ソニアも負傷し、疲労困憊していたが、グール・ジツがもたらす血の力で、どうにかツインテイルズを抱え起こした。「o_0」オー・オーも火花を散らしながら歩み寄り、反対側からツインテイルズに肩を貸した。 2

2019-03-13 21:36:31
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「働き過ぎたニャー……。ハッパ吸って寝たいニャー……」ツインテイルズは薄れゆく意識の中で、ブザマに身を任せた。慣れないことをするものではないと思いながら。 3

2019-03-13 21:39:18
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「うう……」「ジェネレーターは……守られたのか……?」「プロイェスティは……?」ネオン・フラッシュ・ボムで無力化されていた吸血鬼ニンジャたちも、ようやく体を起こした。そこへノイズ混じりの城内放送が響く。『……殿は勝利した!デミ太陽球は砕かれ、論理十字軍は潰走した!……』 4

2019-03-13 21:42:34
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『プロイェスティは守られた!ネオワラキアは守られた!』それは紛れもなくカシウスの声。戦場から届けられたIRC音声であった。吸血鬼ニンジャたちは一斉に拳をつきあげ、歓声をあげた。だが喜びもつかの間……ツインテイルズらの存在に気づくと、彼らは連続側転を打ち、唸り、即座にこれを包囲した。5

2019-03-13 21:45:07
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「ニャイエエエエエ!」「(^-^-^)」「待ってくれ!この者らは戦士だ!論理聖教会に迫害され、追われてきた!丁重に扱って欲しい!」ソニアはツインテイルズに肩を貸し、必死に擁護した。彼女らは論理聖教会に騙され、ソニアを救い出してスダチカワフ・アームズ社に届けようとしていただけなのだと。 6

2019-03-13 21:48:36
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訓練官リヒターがどけと言ってもソニアは絶対に退かず、ツインテイルズの肩を抱き続けた。「お願いだ!この者たちがいなければ、アイアンフォージドは殺せなかった‥…!」 7

2019-03-13 21:51:36
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「ヌウーーーッ……」リヒターも、かつてならば「未熟なモータル風情が」と罵倒していたであろう。だが吸血鬼ニンジャたちのニューロンには、このたびの戦いで死んでいったヴァンパイアワナビー戦士たちの勇姿が焼き付けられていた。 8

2019-03-13 21:53:47
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遠い昔、兵士らを率いてオスマンと戦ったブラド・ニンジャがモータルを讃えたのと同じく、もはやそこにモータルとニンジャの境などなかった。共に血を流したのだ。 9

2019-03-13 21:56:23
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吸血鬼ニンジャたちはソニアの訴えを認めて牙を収め、ツインテイルズらを簡易拘束するにとどめた。次いで、吸血鬼たちの真っ赤な目は、足を負傷して動けぬソリチュードへと注がれた。「……すると、こ奴もか?」リヒターが厳しい顔で問うた。 10

2019-03-13 21:59:17
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「へへへ、ええ、俺もですよ」ソリチュードは座り込んだまま、両手を小さく上げて言った。「待った、こいつは……」ソニアが歩み寄った。 11

2019-03-13 22:02:00
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「ハハハハハ、何ですかいオヒメサマ?おっかない顔してさ……?武装解除?ほらよ、従いますって。ブラド=サンにはよろしく伝えてくれるんですよね?」ソリチュードは不敵に笑い、ウインクした。ソニアの表情は一層険しくなった。 12

2019-03-13 22:04:14
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「……私がまだ小さかった頃だ。傍流の出である私は、本社都市から遠く離れ、スダチカワフ家の別荘で暮らしていた……」ソニアはソリチュードのポケットから超振動ナイフや拳銃、銀のペンダントなどを没収しながら、生い立ちを語り始めた。 13

2019-03-13 22:06:35
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「さぞかし、いい家でしょうな。それが何か?」ソリチュードは眉根を寄せた。何か様子がおかしいぞと訝しみながら。「美しい湖畔の別荘だった……」ソニアは続けた。「……ある日、他の暗黒メガコーポの襲撃部隊と戦闘が起こったのか、それとも重役同士の抗争か、真実はもうよくわからんが……」 14

2019-03-13 22:11:09
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「……ともかく、戦闘があった。その後、別荘へ2人組のニンジャが乗り込んできた。警備兵や、抵抗した叔母を殺し、家宝をいくつも盗んでいった。一人の得物は、耳障りな超振動ナイフ……それと拳銃……」ソニアはスナブノーズの超振動ナイフを不快そうに放り捨てると、拳銃の安全装置を確かめた。 15

2019-03-13 22:12:27
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「ハハハ……。そんなニンジャは、よくいますよ。この世にゃ、ごまんといる」ソリチュードは必死に笑い、ごまかそうとした。吸血鬼ニンジャたちが赤い目を光らせ、彼らを取り囲んでいた。ソニアを殺しても、やり過ごせない。 16

2019-03-13 22:15:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私はあの日、誓ったのだ。名門スダチカワフ家の力をもってしても、突如襲い来るニンジャの暴威には敵わないのだと。だからいつの日か……吸血鬼になると」ソニアは俯き、歯を食いしばり、己の心の傷を覗き込んだ。 17

2019-03-13 22:17:09
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……ソニアは暗く恐ろしい話が大好きな、風変わりな少女であった。あの日ソニアは、叔母が読んでくれた女吸血鬼の物語を思い出し、棺桶の中に隠れて難を逃れた。それはペンキが塗られた大きな木製の玩具箱であったが、ソニアにとっては吸血鬼の棺桶であった。 18

2019-03-13 22:19:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……ソニアはその中で息を殺し、叔母の悲鳴を聞いた。それは長く続いた。ニンジャたちの下卑た笑い声も。それはどんなイレズミや烙印よりも深く彼女に刻まれた、屈辱のトラウマであった。 19

2019-03-13 22:22:22
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「…… そしていつの日か、カラテを鍛えて、あのニンジャどもを殺してやると誓った。あの後、スダチカワフ社内では何度も醜い内戦が起こったが、あの事件があったからこそ、私は生き抜けたのかもな……」 20

2019-03-13 22:24:45
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