ギガベース日誌 ほのぼの閑話納涼編「Uninformed」

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「監視カメラは調べたか？食堂横の通路を通ったなら、保管庫向きのカメラの視界内の筈だ」 「目撃した時間帯前後の記録を全てチェックしたのですが、それらしきものは何も」 「……成程、な」　#ギガベース日誌

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DfJは椅子のロッキングに体重を委ね、諦めたように宙を仰ぐ。 「お前が見たって言うなら、いるんだろうなぁ～」 「既に艦娘の中には、今までの蛮行のバチが当たったとか、沈めてきた艦娘が化けて出たなどと騒いでいる者も存在します」　#ギガベース日誌

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「2日前に補足したメガフロート型泊地への攻撃計画を立案中の今、これ以上艦内の混乱を放置するのは好ましくないかと」 「とは言っても、相手は幽霊だろう？塩と十字架とコジマライフルでも配るか？」 「それは……どうなんでしょう。提督が公式に幽霊の存在を認めてしまうのは……」　#ギガベース日誌

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「認めるものかよ。お前もそうなんじゃないか？お前が見た何かを幽霊以外の何かとした場合、その正体は何だと思う？」 「……あくまでも私見ですが、艦娘の基本的な性質……ブラックボックス的要因に起因する現象と、今は捉えています」 「ほう。根拠は？」　#ギガベース日誌

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「怪奇現象の遭遇報告は、現状艦娘からしか寄せられていません。妖精の皆さんや滞在中の傭兵の方々からの報告は皆無です」 「偶然でなければ、艦娘だけに見える幽霊というわけか」 「ええ。ですから、原因があるとすれば艦娘の性質、未だ理解が不十分な我々の意識や自我の領域かと」　#ギガベース日誌

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「面白い発想だな。その辺り詳しくないから否定も肯定もしようがないが、お前が見た物をそのまま受け入れていないようで安心したよ。さて……」 DfJは端末を手に取り、工廠への通話を繋ぐ。 「提督だ。大宮と明石はいるか？そうか。すぐ執務室に来るように伝えろ」　#ギガベース日誌

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「お前の言うように、クソッタレ幽霊が艦娘の意識の中にしかいないのなら手の出しようがないが、他の可能性も考えてできる限りの事はしておこう。実存する何かしらが艦内を徘徊しているなら、駆除するのが妥当だ」 「仰る通りです。ですが、方法は……」 「決まってる」　#ギガベース日誌

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「結局のところ、一番頼れるのはコジマ粒子だ」 どこか楽しんでいる節を隠そうともしないDfJの顔に、大淀はある意味で幽霊に対するもの以上の不安を己の内に垣間見た。　#ギガベース日誌

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「清掃担当艦白雪より、艦内の全艦娘、全妖精にお知らせします。本日艦内時間マルナナマルマルにおいて、執務室内にてゴキブリ二匹の存在が確認され、第一発見者の不知火さんの手により迅速な駆除が行われました」 #ギガベース日誌

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「この事実を重く受け止めた我々は、本日フタフタマルマルより6時間、艦内全域への殺虫剤及び低濃度コジマ粒子の散布を行う事を決定いたしました。致死性物質で艦内が満たされる関係上、該当時間中は艦内の移動が制限されます」 #ギガベース日誌

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「具体的には、各艦は自室、妖精の皆さんとバリー・ブル様、ナイチンゲール様の両二名は食堂、提督と不知火さんは執務室にて散布が完了するまで待機して頂く事となります。恒久で清浄なる海上生活の為、ご協力をお願い致します」 #ギガベース日誌

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ギガベースの清浄化を謳う、白雪による唐突なアナウンスから20分ほど後。 執務室には、これまた突然の呼び出しを受けた大和、天龍、大鳳の3隻が訪れていた。 「レの字も呼んだはずなんだが」 「俺は知らねえぞ」 「来る途中では見かけませんでしたが……」　#ギガベース日誌

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「わぁりぃ遅れた！パジャマパーティーの呼び出しかい？」 「残念ながら今夜お前らはパジャマを着れんのだ。まぁ、適当に座れ」 DfJは端末を弄りながら飾り気の無い床に申し訳程度に敷かれた絨毯を指で指す。レ級は尻尾をクッションに、天龍は胡坐、大和と大鳳は正座で床に着いた。　#ギガベース日誌

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「おいお前ら。なんか呼び出し喰らう心当たりあるか」 「さあ、全く」 「そういうお前は」 「バリーのおっさんの作品に出演したのがバレたかな……」 唐突な呼び出しを奇妙に思う4隻に、DfJは端末を手放さないまま説明を始める。 #ギガベース日誌

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「近頃艦内で話題の幽霊騒ぎについて把握してるか？」 「知ってるけど……」 「存じております」 「実際に見ちゃいねえけどな」 「よろしい。それじゃあ命令だ。今夜から明朝にかけて艦内を見回り、その幽霊とやらを発見次第正体を暴け。でもって可能ならブッ殺せ」 #ギガベース日誌

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「は？」 「わかりやすく言おう。俺の船を騒がせてるクソ幽霊を何としてでも除霊しろ。やれるだろう？」 「あの、提督」 「前払い報酬は間宮のフルコースチケットだ。成功すれば俺から金一封を」 「待てやコラ！」 #ギガベース日誌

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「マジで言ってんのか？ついにコジマが脳まで達したのか？」 「脳に達してるのは元からだろ。それよりも、俺達をからかおうって魂胆なら乗ってなんざやらねえぞ」 「提督、本気で仰られているのですか？」 「本気だ。大淀まで見たと言うなら黙っているわけにもいくまい」　#ギガベース日誌

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「かと言って、俺が表立って幽霊に真面目に対処したら示しがつかん。だから、一部の精鋭にのみ事情を説明し、調査と駆除を頼む事にした。先程の害虫駆除云々の放送は余計な邪魔を防ぐ為の虚偽の告知だ」 「事情はわかったけど、相手の正体がわからないのに駆除しろと言われても……」　#ギガベース日誌

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「現実的な話、目標は正真正銘の幽霊ではなく何かしらの現象や生物であると俺は考えている。だったらコジマを浴びせればおそらく死ぬ。だからお前達でも駆除できる。そう考えると、楽な仕事だと思わないか？」 「ナメクジに塩かけるみたいに言うなよ」　#ギガベース日誌

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困惑する4隻だが、DfJが状況を重く捉えている事が彼の説明や表情から窺い知れると、いよいよ断る理由や権利が無いと自覚する段階に入っていく。 「提督がそこまで言うなら、この大鳳、徹底的にやるわ。戦闘の許可は下りるでしょ？」 「大和も出ます。御期待に応えましょう」　#ギガベース日誌

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「どうするよレの字」 「どうせ断ってもやることねえしな。肝試しと思えば楽しめるだろ」 「そうかい……じゃあ、俺も乗ってやるよ」 「理解ってくれたのなら話は早い！明石ィ！」 「はーい！」　#ギガベース日誌

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DfJの掛け声と同時に、怪しげな装備や物品を携えて入室する明石。 「億が一にマジな幽霊だった場合も考えて、そういう方面の対処法も調べておいた。ありがたく受け取れ」 狂った旧世紀理論を現代に具現化したそれらを注視し、4隻は安請け合いを後悔し始めていた。　#ギガベース日誌

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「清掃担当艦白雪からお知らせします。まもなく害虫駆除プロトコルが開始されます。個室、執務室、食堂、食料保管庫以外のギガベース内全領域に致死性物質とコジマ粒子の散布が行われるため、散布中は室内で待機をお願いします」 #ギガベース日誌