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黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
去年の夏、私こと結月ゆかりは唯一無二の親友である弦巻マキにふられた。 蝉の声が五月蠅く、コンクリートから伝わる熱気で足の裏が解けてしまいそうなくらい暑い。そんな午後の事であった。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
あれ以来、弦巻とは一度も顔を合わせていない。 今までの関係が嘘だったと思えるくらいに、あっけない終わり方だった。 私は間違えたのだ。あのとき想いを伝えるべきではなかったし、胸にしまっておけたなら、今でも彼女の隣で変わらずに日常を送ることが出来たかもしれないと。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
どうしようもなく空虚な後悔ごと飲み込むように、昔から使い続けたペアの黄色いマグカップへと口付ける、とても苦い...やはり私の舌にコーヒーは合わないようだ。二人の時はよく飲んでいたのだけれど。 それにもう一つのカップの行方もどうでもいい。 はは、砂糖もまだよく溶けていなかったらしい。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
帰路に着く、あれから私はどこか変わったのだろうか? 時間の流れが鈍い、ああ....たった今気づいた。 それほどまでに私は弦巻を好きにな ってしまっていたんだと。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
彼女がいない現実から目を背けていただけだった。 本当は分かっていた癖に...今更そんなことに気づかされて胸が苦しく痛む、我ながら未練だらけの恋だなと、ひとりでにぽつり呟く。 ゆかりのその唇は微かに震えていた。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
バス停のベンチに腰を下ろす。 そして自分の肩を抱いた。 ここは去年の夏、最後に弦巻と話した近くのバス停だ。 こんな場所へ来たところで何も変わらない、彼女はもう いない、それを知ったうえでやってきたのだ。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
彼女の深い緑色の瞳、綺麗なブロンドの髪、陽射しを思わせる笑顔、その全てが愛おしく思えた。 少しでも彼女のぬくもりや面影を感じたかった。それほどまでに"私"は、どうしようもなく彼女に会いたくなっていた。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
...足音。 次のバスへ乗る人だろうか。 私は、くしゃくしゃの顔を見られるのが嫌で気配を消すように顔を伏せ静かにうつむく。 お願いだから、こっちを見ないで.... 次の瞬間、誰かにやさしく肩を叩かれた。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
心臓がびくりと跳ねる、その人物は私に何を言うでもなく一枚の紙を手渡す。 そこにはただ一言「5分後のバスへ」とだけ書かれており、視線を上げるころには既にその姿は見えなくなってしまっていた。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
私はメモを無造作にポケットへと突っ込み、その言葉に従うことにした、なぜだか不思議と怪しさを感じなかった、またはそれほどの余裕がないのか。 たまにはこういうのも良いだろう、ヤバかったら死に物狂いで逃げてやるまでだ。 幸いなことに今の私は少しだけ能動的で、普段のらないバスにだって乗る。
黛-mayuzumi(R.I.P.6/M) @fragileheart0
....バスへ乗ってからどれくらい経ったろう、窓から見える風景は何もかも懐かしいようなものばかりで、思わず彼女を思い出して切なくなった。 メモの主はこれを見せたかったのだろうか? 紫色の瞳が景色を追うたび、僅かに湿り気を帯びていくのが分かる。 自然と悪い気分ではなかったけれど。
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