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「カタカナの起源は新羅」? 専門家はこんなふうに考える

平成31年4月30日
口訣 東大寺 続守言 万葉仮名 カタカナ 日本語 近藤泰弘
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yhkondo @yhkondo
なぜか今になって2013年のニュースの「カタカナの起源は新羅」という話が蒸し返されて、ネットで批判されています。専門家が誰も発言していないようなので、ちょっと書いてみます。(私は、若い頃はずっと訓点語研究をしていて、学会の委員もやっていたので、一応かなりの専門家です。)

 

yhkondo @yhkondo
この話題の、東大寺華厳経が、新羅写経であることは、他の専門家(山本信吉・藤本幸夫氏など)も認めているので大丈夫だと思います。そして、書き込まれた角筆文字(細いとがった物を紙に押し当てて描く文字)も、その言語的特徴から、新羅語と見なせます(日本語では説明できない部分があります)
yhkondo @yhkondo
全体として、新羅で作られ、加点された写本が日本に渡り、東大寺に所蔵されてきたとみてよいと思います。また、その加点には、音訳漢字(万葉仮名のようなもの)の一部を省画してできた文字が使われています。新羅と日本との関係が密だったのは700年代なので、このお経もその頃のものかと思われます。
yhkondo @yhkondo
ところで、日本における片仮名使用は、正倉院文書などに700年代から断片的なものが見られますが、お経の書き込みとして本格的に使われたものとして残存するのは800年代になってからの資料で、普通はそれを片仮名発明時期としています。
yhkondo @yhkondo
当時の日本の文化的状況を考えると、720年に完成した『日本書紀』の半分くらいは、中国語のネイティブスピーカーが執筆したことがわかっており(森博達氏説・学界の定説)、学問的世界における渡来人の果たす役割は非常に大きかったはずです。
yhkondo @yhkondo
当時の日本の仏教界の状況から考えても、お経の書き込みの省画文字多用について、(新羅の仏教界の状況や、その省画文字のテクニックを知った)渡来人が関与した蓋然性はかなりあると思われます。
yhkondo @yhkondo
以上の状況について、「片仮名は新羅がルーツ」「片仮名は日本で発明された」のどちらで述べても、誤りとは言えないと思いますが、どうでしょう。なお、この新羅時代の省画文字の後継文字(字吐)は、高麗時代にも使われますが、利用度は下がり、中世になって朝鮮王朝で改めてハングルが発明されます。
yhkondo @yhkondo
以上が、この問題についての、専門家としての見方です。何しろ、日本に,訓点資料(このような古代の書き込みのある文献)の専門家は十数人しかいないため、専門家と言える人はほんとうに数少ないので、正しい見解がわかりにくいです。ご参考になれば幸いです。

 

yhkondo @yhkondo
ひとつ別のをあげておきます。前にも書いたように、日本の万葉仮名の作り方の原理は、古代中国語で、外国語を漢字の音だけを使って転写した方法によっています。例えば、お経の呪文を「陀羅尼(ダラニ)」と言いますが、これはインドの言語を中国語の音訳で表記したものです。
yhkondo @yhkondo
「南無喝囉怛那哆羅夜耶。南無阿唎耶。婆盧羯帝爍鉗囉耶。」みたいなものですね。ですので、「万葉仮名は日本の陀羅尼」という言い方も古来からあります。この伝で言えば、「万葉仮名ルーツは、中国のお経」という言い方も可能で、それは誤りではありません。「ルーツ」「起源」はひとつの表現です。
yhkondo @yhkondo
日本の万葉仮名表記は、最初は固有名詞から始まりますが、これは、魏志倭人伝の「卑彌呼」表記などと通じるもので、「翻訳できない語を外国人が音訳した」と考えると納得できます。万葉仮名の成立にも、渡来人が関与した可能性が高いと思われます。
yhkondo @yhkondo
この時代のインターナショナルな性格は今では考えられないほどです。日本書紀執筆者の一人と考えられている、唐の人、続守言は、新羅に居たところ、百済滅亡時の混乱で百済の家臣に捉えられ、日本に人質として送られたが、その語学能力を買われ、持統朝で音博士となり、後に書紀の執筆にも参画した。
yhkondo @yhkondo
このサイトに、高麗時代の表記方法の例が図示してあるのを見つけたので、ご覧下さい。一番下の「口訣(クギョル)」は、漢字と「」(省画文字)による表記です。これより古い新羅時代のものも、簡略ですが、これと似ています。ご参考までに。hangeul.go.kr/lang/jp/html/t…

 →▼国立ハングル博物館|第1部: 新たに28個の字母を作る https://www.hangeul.go.kr/lang/jp/html/traceHangeul/traceHangeul12.do
 

yhkondo @yhkondo
例えば、口訣で「一切衆生リ」とある「リ」はiの音の省画文字で、今の韓国語の主格助詞이に当たるものを示す。「リ」の形は、おそらく「利」の省画で、riからiに転用されたものかと。

 

我有一徹@作家系Vtuber @gayu_my_way
@yhkondo いつも勉強させてもらってます。渡来人が省画文字のテクニックを持っていることはわかるのですが、そこから日本語らしい片仮名へ転じていくものなのか。片仮名を見ると、日本語の音にぴったり合っている気がします。あるいは相応しい漢字から作ったとして、そこに日本人の感性が働いている気がします。
yhkondo @yhkondo
@gayu_my_way はい、日本語の万葉仮名から日本語の音に合うように作られたのが片仮名なので、日本「で」発明されたことは間違いないのです。その時に諸外国で使われている技術を(外国人技術者の助けをえて)上手に導入するというのは、戦後日本工業の発展の基盤となった方法で、いつの時代も同じだなと思います。
我有一徹@作家系Vtuber @gayu_my_way
@yhkondo お返事ありがとうございます。省画文字のご専門ではないことを承知で、もう一つお尋ねしたい。渡来人の持ち込んだ省画文字、あるいは新羅の省画文字から、日本の片仮名へ変遷する中間の文字などは存在するのでしょうか。
yhkondo @yhkondo
@gayu_my_way 中間というのはないのですが、類似した字形はいくつかあります。例えば、riの音を表すのに、新羅の字形では「利」の右側を使った「リ」の例があります。漢字の一部を使うわけなので、形態の類似だけなら「ヒ」「ノ」「尹」など多くあります。
我有一徹@作家系Vtuber @gayu_my_way
@yhkondo 不躾に物を尋ねて申し訳ない。そしてありがとうございました。 もし、中間型があるのであれば、新羅がルーツであるということが言えると思っていました。文字の変遷を遡ると、片仮名のルーツは万葉仮名ということになり、新羅ではなく漢字がルーツと言えるのだと思いました。
yhkondo @yhkondo
@gayu_my_way 資料が極めてすくない世界ですので、なかなか難しいですね。おっしゃるような考えの道筋はそのとおりかと思いますので、字形の変化の面からの考察も今後必要になると思います。
我有一徹@作家系Vtuber @gayu_my_way
@yhkondo お忙しいところありがとうございました。 行く・来るの敬語の話も楽しみにしております。
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