「セカイ系となろう系の違い」の考察の続き(と、TVアニメ『YU-NO』5話の感想)
だから、物語がどうこう以前に、そこだけ見ても、「ひぐらし」には画期性があった。くわえて「鬼隠し編」でヒロインが豹変する怖い演出も、大きな相乗効果があった。
2019-05-03 00:38:00ヒット作はどこかしら、時代に合った表現をしている。私がこの感想で最も言いたいことだ。もちろん、今さら同じマネをしても、ヒットしないだろう。時代が変わったからだ。
2019-05-03 00:39:22もちろん、具体的な部分で、私の意見と読者の、認識の相違があることは認める。しかし、ただ「流行だったから(流行した)」では、何もかも分からない。80年代と90年代と00年代が、どう違うのかも分からない。
2019-05-03 00:41:36何かのヒット作を作る人にある特徴として、たとえ間違っていてもいいから、まず既存にない新しい仮説を立てて、それを検証していく、という仮説検証の過程を持つ(PDCA サイクル)。
2019-05-03 00:45:50日本人の社会や組織は「出る杭を打つ」減点主義的だから、まわりの空気を読んで、無内容なことを言う方が得、という場面をしばしば見かける。そういう処世術を、日本人はみんな、どこかで見た経験があるはずだ。
2019-05-03 00:48:48しかし、新しい何かを作らねばならない立場に立ったときには、あえてその空気読みの感覚に逆らって、「間違うかもしれない」具体的な案を考えねばならない。これが日本人は非常に苦手とするところである。
2019-05-03 00:50:39これは能力の問題というよりも、動機と習慣形成の問題の側面が大きい。具体的な案を出したら、出る杭として叩かれて、報われない場面をさんざん見せられたら、空気を読んでお茶を濁した方が得。それが習慣化する。
2019-05-03 00:52:19だから、新しい何かを始める人は、間違ったり叩かれたりしても、空気を読まない勇気が必要になる。そして、現実にはそういう人が少ない、もしくは排除されるから、組織全体、または社会全体が衰退していく。
2019-05-03 00:56:19日本人の性質上、たんに多数決を取ると、新しい何かが始まらない方が多い。失敗のリスクもあるから、別にその選択が必ずしも間違いではないのだが、一方で、時には決断すべき局面、というのがあるのもたしかだ。
2019-05-03 00:58:56なろう系がWeb小説を表現媒体にしている以上、ケータイ小説と少しは共通性があるだろうし、ケータイ小説がオタクよりヤンキーに親和性があるなら、なろう系にも少しはあるのかもしれない。
2019-05-03 01:04:05そういうわけで、十分ありそうな見方。しかし、ケータイ小説やヤンキー文化圏に、私はぜんぜん詳しくないので、私自身の説としては、深く掘り下げられない。
2019-05-03 01:06:03「AIの普及により、自己が優秀だという妄想が破られ、なろう系の人気も落ちていく(大意)」という意見はどうか? これもありそうな線だが、AIの影響力は、なろう系が完全になくなるほどでもないと思う。
2019-05-03 01:08:32たとえば、AIがプロ棋士に勝つから、(プロ)将棋が消滅してしまうかというと、一概にそうも言えないと思う。馬より自動車の方が早いが、競馬は消滅してないし。F1があるから競馬は要らない、とはならない。
2019-05-03 01:09:59「なろう系は料理において、調味料のようなものだから、それ自体に意味はない(大意)」。この意見はよく分からない。ドット絵や音楽の話も、ゲームという料理全体じゃなく、調味料であっても、意味はあるはず。
2019-05-03 01:11:55料理で調味料に意味はない、というのがよく分からない。栄養的に、健康的に、労力的に、産業的に、調味料にもいろいろな意味があると思うので、調味料のたとえで、何を言わんとするのか、よく分からない。
2019-05-03 01:13:44「セカイ系の方が共感寄りの作品ではないか?」 これはたしかに、意味のある批判。じっさい、『エヴァ』に強い共感を示した人々がいるし、私も多大な影響を受けた。全アニメ中、最大の影響かもしれない。
2019-05-03 01:15:34ただ、『エヴァ』という作品、主人公のシンジには共感できない、という人もいた。だから、共感の指向性が違うのではないかと思う。セカイ系は狭く深い共感。なろう系、とくにきらら系は、浅く広い共感。
2019-05-03 01:16:47別の見方をすると、『エヴァ』の共感は、「私小説」的な共感なんだと思う。『人間失格』などとの共通性を指摘されてたはず。一方、なろう系での共感は、ヒーローへの共感だし、きらら系は日常四コマでの共感。
2019-05-03 01:18:29「なろう系のアニメ本数が少ない(から流行ではない)」。本数が少ないのはたしかだが、『このすば』『リゼロ』『オバロ』『幼女戦記』などWeb小説系の売上を見ると、相対的に安定して売れているのもたしかだ。
2019-05-03 01:21:04なお、『オバロ』と『幼女戦記』は「アルカディア」に掲載されたので、「なろう系」と呼ぶと語弊があるかもしれない。ただ、「ファミコン」でレトロゲーを代表するように、「なろう」でWeb小説を代表させている。
2019-05-03 01:23:36「主人公が賞賛を得るストーリー構造は、『シンデレラ』など、なろうに限らず一般的(大意)」。まず、なろう系は英雄譚の系譜だから、なろう系だけが特殊だとは考えていない。
2019-05-03 01:25:50しかし、「なろう系」がまったく他と同じなのではなく、特徴が見られる。「チーレム」がそれだ。敵に負けたり、振られたりする失敗を回避する傾向がある。これは何度も失敗を繰り返すループ系の逆だ。
2019-05-03 01:26:47どうして「なろう系」は主人公の失敗を最大限回避するかといえば、プロアマの区別なく投稿できるWeb小説で、ランキング上位でないと商業化できないから、回避している。この構造は明確で、よく指摘される。
2019-05-03 01:28:10