【かなり新しい体】福間健二 #k2fact222
体から変わる。それを願ってリナおばさんのお茶を飲んだ。おいしかったが、密着がおこっている。富士見通りと中央線の高架のあいだの三角地帯と使うのに苦労した「わたし」のそれは困るよ。では旧型の、迷わない方法。なんでも最初から受け入れないという顔をしない。(かなり新しい体1)#k2fact222
2019-04-24 11:38:43つまり、その言い分を聞いた。リナおばさん、肢体がなめらか。マジックの秘訣は、出会う人への感謝を忘れないこと。ぼくは『蛮行のヨーロッパ』という本も読んだ。状況次第で、人は人にほんとうにひどいことをする。その感想もお茶に入った。八時五十一分の電車に乗る。(かなり新しい体2)#k2fact222
2019-04-25 08:08:58人は言う。悪魔の言葉も天使の言葉も。もともと人の創作なのだが、迷わないように注意して歩きながら受け入れすぎることがある。湿度があがった。田端駅から尾久銀座へはうまく出て七百円のおいしいランチをとった。個人的な尺度で「内なる敵」にドラムを叩かせている。(かなり新しい体3)#k2fact222
2019-04-26 11:50:43新宿では、神か悪魔か、どちらでもあるような人。普通の恋に落ちる。吉祥寺では、廃れることのない手段であるぼんやりした不安から。後戻りできない人。第十三章の途中から先はどうしても傾いてだれもが自分がワルクナイように言う。程度の差があるだけのチューリップ。(かなり新しい体4)#k2fact222
2019-04-27 10:18:42そんなこともうおきないと思っていたことがおきる。何度もこうなるのに、もうおきないと思う。きのうの朝、その間に合わせの解決のために棚にあるものを取ろうとして足を滑らせて座骨を強く打った。だれが遊んでいるのだ。いたるところにチューリップの絵なんか描いて。(かなり新しい体5)#k2fact222
2019-04-28 08:34:08あまり認めたくない公式どおりか。暮れていく空の下、おしりの打ち身が痛むが、リナおばさんのお茶がそろそろ効いて、肯定したいものを求める、かなり新しい体だ。杖はいらない。ニュースと並んで帰る人との接触。その人もチューリップ時代を生きた。なぜかときめく。(かなり新しい体6)#k2fact222
2019-04-29 10:02:14耳から手へ。やってごらん。手は耳からはじまっていると意識すればよく伸びる手になる。耳で聞くニュースが隠している黒い穴や荒れる海まで。世界のどこをいい気持ちにしたいのか。古いままの「内なる敵」との、可動性の競争だ。きょうで終わるもの、あってもなくても。(かなり新しい体7)#k2fact222
2019-04-30 08:47:34神に会ったら何を言えばいいだろう。その存続とひきかえにこちらがなにかするのか、むこうになにかしてもらうのか。雨が降ったりやんだりの天気。川べりのベンチにいるのはなんとバスター・キートン。手には、ニセアカシアの花。その花、ビールに入れるといいんだよ。(かなり新しい体8)#k2fact222
2019-05-01 08:58:49でもわたしは人間だ。それだけを思って立ちつくした真昼の歌舞伎町。お腹をすかせて、十六歳のリナの「美しい季節」。どこに隠した。不幸な火山をなんとか休ませ、バイトしながらの修行の日々。このビール、香りはいいけど、わたしのお茶のような効果は期待できないな。(かなり新しい体9)#k2fact222
2019-05-03 08:25:07お礼を言いそびれていた。となりの惑星の、内輪だけの大騒ぎ。生命たち、システムで動くだけなのかといくらか落胆して。さて、こちらはこの体。ありがとう。持病はまだ出る。タバコも吸う。走らない。でも、かなり新しい。何ができるかはその日の天気と相談して決める。(かなり新しい体10)#k2fact222
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