【シナリオ】スライム娘⑤

スライム娘の話
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@akuochiken

「まったく、これだから人間は不完全なんだから」って言いながら、主人公に倒されて眼の前に倒れている組織の戦闘員に自らの身体の一部を注入して強化させるスライム娘の女幹部ですって?

2019-05-26 22:22:44
@akuochiken

「あら、賢い。私が生物を侵食して改造する力を持ってるからって、侵食できない機械の娘を用意してきたのね」 赤く透明な身体になりつつある女幹部の眼の前に、女性を模した機械兵が銃を構えて戦闘態勢に入ろうとしていた。 「でも、その子だけで何ができるのかしら?」

2019-05-26 22:38:11
@akuochiken

女幹部の言葉通り、程なくして粘液の海に囚われ、身動きができなくなるメカ娘。 メカ娘を拘束するスライム状の物体から上半身を突き出している女幹部は、にやりと笑みを浮かべて話す。 「あなた達は少し勘違いをしてる。確かに私は無機物を侵食することはできないけど、こういうことはできるのよ」

2019-05-26 22:45:56
@akuochiken

赤い粘液に絡め取られ、その頭部も目隠しされている状態で、かろうじて解放されているメカ娘の口。 そこに向かって女幹部は自らの口をねじ込むようにして接吻する。 メカ娘と女幹部との濃密な接触。 女幹部は、メカ娘の口内へ、どくどくと自らの液体を流し込む。

2019-05-26 22:49:11
@akuochiken

「んはぁ……やっぱり相手を侵食するこの瞬間、病み付きになるわね」 女幹部はメカ娘の口から唇を離す。 「こ……かは……が……」 メカ娘の口から赤い液体とともに、声にならない音が漏れ聞こえる。 「ほら、たっぷり私を味わってね。確かにあなたの機械の身体は私では侵食できない。

2019-05-26 22:52:45
@akuochiken

でも、あなたの身体の中にある電子回路を私がショートさせてあなたの思考も制御も根こそぎ奪ってしまえばどうかしら?」 口という開口部から侵入した赤い液体は、パーツとパーツの隙間を縫うようにしてメカ娘の身体の更に内部へと侵入し、彼女の身体を制御する電子回路を探り出す。

2019-05-26 22:56:14
@akuochiken

女幹部の赤い液体に包まれているメカ娘の全身から、悲鳴のような尖った音が聞こえてくる。 それは回路に流れる電気がショートしている音のようにも、彼女が全身で快楽に悶えている音のようにも聞こえた。 「ば……ご……がが……がひゅ……」 既に視界は塞がれ、口のみしか解放されていない状態。

2019-05-26 23:00:30
@akuochiken

口元から赤い液体を涎のように垂らしながら、苦痛にも、快楽にも捉えられる声を漏らす。 「へー、ここにあったのね、あなたのコア。うーん、あら? ちょっとプロテクトが厳しくて外からじゃあ入れないみたい。対策は万全ってことね。残念ね……このまま壊しちゃうことになるなんて」

2019-05-26 23:08:58
@akuochiken

直後、ぷすん、という音を立ててメカ娘の身体が静止する。 「でも、せっかく手に入れた玩具ですもの、きちんと私好みに改造してあげなければね」 女幹部の身体が、赤い液体ごとメカ娘の身体からゆっくり離れていく。 地面に倒れた状態のメカ娘は、全身の至るところから赤い液体が漏れ出ていた。

2019-05-26 23:12:50
@akuochiken

「機械の身体を私が改造できなくても、その可動部を私の液体で満たして制御してしまえばいい。たとえその思考回路にどんな命令が下されていたとしても、それを上回る制御系で押さえつけられたあなたは、私の意のままに操られるただの機械人形に過ぎないのよ」 彼女の目の前でゆっくりと立ち上がる。

2019-05-26 23:19:16
@akuochiken

目は開かない。 口はだらしなく開き、口端から赤い液体を滴り落としている。 彼女の身体は、彼女の意思を上回る女幹部の力によって強制的に制御されているが故に、様々な部位が想定されていない異常な挙動を示している。 そのアンバランスさは、言ってしまえばゾンビのような恐怖さえ感じられる。

2019-05-26 23:23:34
@akuochiken

「ほら、あなた達の作戦はやっぱり失敗。これからあなたを処分しようと追撃部隊が来るわ。彼らを、新しく生まれ変わったあなたの身体で相手をしてあげなさい」 ガチャリ、とメカ娘は再び銃器を構える。 既に液体で満たされた彼女の身体は、不死身の兵のようにあらゆる攻撃をもろともしないだろう。

2019-05-26 23:28:22
@akuochiken

「まったく、これだから人間は不完全なんだから」 彼女は少し口元を緩ませる。 「でも完全な機械の娘もあんまり良くないかもね。あ~あ、興味が薄れちゃった」 彼女はメカ娘を立たせたまま、再び赤い液体の塊となってどこかへと流れ去っていった。

2019-05-26 23:33:43