茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2274回「政党の数が多くても、工夫すれば多様な声を反映した報道はできるはずなのにそれをしていないNHK」

2
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2274回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2019-07-14 08:19:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKを始めとする日本のテレビの選挙報道が目も当てられない惨状であることの分析を続ける。しばしば言われるのが、政党が多すぎて、発言時間のバランスをとるのが難しいということである。しかし、そこにはメディア人としての怠惰があると思う。

2019-07-14 08:20:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

さまざまな政治的意見のオンエアのバランスをとることは、単一の放送時間の中で常にやらなくてはいけないわけではなく、全体として多様性が反映されていればいい(そのような基準をみなで合意していくべきである)。NHKの選挙報道は、「公平性」をストップウォッチの機械的均等で図っているだけだ。

2019-07-14 08:22:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

ジャーナリストとしての批評的スタンスが、結果として政治的意見の多様性の担保になっていることにも留意したい。ある政党、候補者の発言がその時の政治状況で注目されるべきものであるならば、それを取り上げることはバランスを崩すことにはならない。むしろヴィジョンの自由競争をうながす。

2019-07-14 08:23:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKの「政治的バランス」は、ジャーナリズム的視点を欠いた、機械的平等であるから、選挙報道が陳腐なものになってしまう。すべての事象の中で、その時々に注目すべき視点で編集、選択すれば、結果としてそれが政治的意見の多様性を実現する。そのことがわかっていない。

2019-07-14 08:25:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

たとえば、この選挙の焦点の一つは明らかに消費税減税なのだから、この点について、現在主張されているさまざまな論を編集し、整理して伝えれば、単なる政党規模の機械的平等という陳腐な視点を超えた、意味のあるニュースがつくれるはずだ。それなのにNHKはそれをしようとしない。

2019-07-14 08:26:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

「尺」の問題もある。BBCが、その憲章(Charter)で唯一制作することが義務付けられているToday in Parliament(今日の議会)という番組(en.wikipedia.org/wiki/Today_in_…)があるが、30分つかって、その日の政界のさまざまな発言を多角的に紹介し、分析する。NHKも、30分尺を使えば同じことができるはず

2019-07-14 08:28:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKは受信料を得ている公共放送で、民放とは役割が明らかに違う。近年の、民放と見分けがつかないようなバラエティなどの制作放送はほんとうにNHKの本来の責務か? むしろ、「今日の議会」のような番組を、たっぷりとした尺を使って制作放送しなければ、NHKの存在意義はないと言ってよいだろう。

2019-07-14 08:30:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

どの国のメディアも、それぞれの状況の下でベストな仕事をしようとしている。政党が多いのは日本の政治の特徴だが、NHKは、フォーマットなどを工夫して最善の報道をすべき。今のNHKは、ベストを尽くしているとはとても言えない。慣性の法則の中、きわめて質の低い報道に堕していると言わざるを得ない。

2019-07-14 08:32:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2274回、「政党の数が多くても、工夫すれば多様な声を反映した報道はできるはずなのにそれをしていないNHK」をテーマに8つのツイートをお届けしました。

2019-07-14 08:34:25