60式自走106mm無反動砲の試作車まとめ

60式SPRGの試作車(SS-1,SS-2,SS-3,SS-1(改),SS-4)のまとめです。ネットだと実車の写真がなぜか全く貼られなかった不憫な車輌達です。(恐らくこのまとめが初) 新情報、資料が手に入り次第随時更新していきます。 WarThunder forumに投稿してくれたTasty95215さんに感謝! <https://forum.warthunder.com/index.php?/topic/460673-ss-1-first-type-60-sprg-prototype/>;
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三式トニー @type3fighter

1955年12月22~29日にかけて富士学校周辺で両者立ち会っての第1次試験が始まりました。試験は溝の口→二子玉川→大月→須走→十里木峠→片瀬平塚海岸→小田原と、7日間で1843kmを走行しつつ、途中で渡河、石難路、砂地試験も行われました。

2020-03-10 22:14:28
三式トニー @type3fighter

この時SS-2を見たコマツ関係者はその洗練された姿形に愕然としたそうです。逆にSS-1を見た三菱関係者は両者の見た目の差を「零戦とグラマン」に喩えたそうですが、日本ではあまり例が無い後輪駆動や水平対向エンジンには保守的な設計のSS-2に対してコマツの新規性を感じたそうです。画像は両者の三面図 pic.twitter.com/PTGqiGiPf0

2020-03-10 22:44:48
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三式トニー @type3fighter

試験出発前の陣容。手前からSS-2、SS-1、M32、M4。 pic.twitter.com/wNMISM7Ljl

2020-10-01 22:50:22
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三式トニー @type3fighter

1枚目:二子玉川での渡河試験におけるSS-1 2枚目:乙女峠に向かうSS-2とSS-1 3枚目:平塚海岸で砂地走行試験を行うSS-2 4枚目:雪上履帯装備のSS-1。奥のSS-2も雪上履帯を装備している pic.twitter.com/jfDRRV8hWK

2020-10-03 23:11:04
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三式トニー @type3fighter

二子玉川で渡河試験を行うSS-1(1枚目)とSS-2(2枚目)。SS-1は前部吸気口に防水スクリーンが取り付けられ、SS-2はエンジンルームに隔壁を建てマフラーが延長されている。 pic.twitter.com/pvgiGz5RXV

2020-09-29 22:58:46
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三式トニー @type3fighter

富士山麓十里木峠で露岩河床走行試験を受けるSS-1。小柄な車体で狭い道を通ることができ、隠密な行動を可能にする本車の設計思想が現れた試験といえる pic.twitter.com/VGtLNIPFNo

2020-09-27 23:02:03
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三式トニー @type3fighter

SSはクラッチ・ブレーキ操向機が不安定でよく路外転落事故を起こした。その度に待機していたM32が駆けつけたが、軽量な車体なので簡単に引き揚げられたという。 pic.twitter.com/223rTKSlPI

2020-09-30 22:47:08
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三式トニー @type3fighter

富士太郎坊で行われた雪上走行試験でのSS-1。3,4枚目は雪上用履帯(幅620mm)を装備している。 pic.twitter.com/HndK83pv7M

2020-09-28 22:28:26
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三式トニー @type3fighter

運行試験で分かった問題点は、SS-1は部品交換程度で休車することもなくよく走ったがエンジンのガス漏れ、ブリーザーの油漏れ、油温の上昇、フロントエンジンのためにエンジンの熱風が乗員を直撃する。また主クラッチの容量不足、変速機シンクロメッシュの不完全、操向機ブレーキのガク利き…

2020-03-10 22:21:12
三式トニー @type3fighter

ナイトハルトゴム懸架装置の腰の弱さ、後輪駆動による履帯の外れやすさとそれによる転輪の損傷、雪上履帯の強度不足、砲架駆動機構の「遊び」とそのガタによる照準の不確実などが指摘されたが試験中断レベルの故障は起きず、SS-2は湿式油圧作動クラッチがじゃじゃ馬だった。(SS-1は乾式多板クラッチ)

2020-03-10 22:23:54
三式トニー @type3fighter

運行試験の後は富士学校での実用テストに入りました。SS-1はフロントエンジンの排気が砲の操作の邪魔になり、SS-2は逆にリアエンジンの排熱が砲架と薬室に影響して105mm無反動砲の命中率が低く、共通の問題として、そもそも砲自体の命中率が低いことが、後々にも影を落とすことになります。 pic.twitter.com/8VpJuOkpsx

2020-03-10 22:27:54
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三式トニー @type3fighter

そして翌56年3月に第1次実用試験の結果報告があり、内容は (1)無反動砲の命中精度が低く、命中精度上3~4発の射撃を要し、毎発3秒の発射速度(発射間隔?)を必要とする。(2)初弾必中のためにスポッティングライフルの装備が必要。 (3)車両の加速性不足、操向機の不安定さと制動能力不足。 ………

2020-03-11 11:12:51
三式トニー @type3fighter

(4)不整地での最高速はSS-1が優るがM24に劣る。 (SS-1:38km/h・SS-2:36km/h) (5)履帯外れは両者の問題だが、SS-1が特に多い

2020-03-11 11:14:29
三式トニー @type3fighter

さらに同年8月に第2次試験が行われ、結果としては実用までにかなりの改善を要することになると指摘されました。報告された問題点が (1)SS-1のナイトハルトゴム懸架装置は不整地どころか普通道路の連続走行にも耐えられず、懸架ゴムの高熱疲労破壊、転輪ゴムの剥離、ゴムブッシュの破損と脱落…

2020-03-11 11:15:49
三式トニー @type3fighter

必要時の履帯分離に難あり。SS-2は下転輪の損傷が著しく、寿命が短い。 (2)両者ともエンジン、動力系統の過熱で実用性が無い。 (3)両者ともに夏期の車内温度が37℃まで上がり、乗員の健康を害する。(SS-1はフロントエンジンからの熱風でもっとやばいと思います)

2020-03-11 11:19:11
三式トニー @type3fighter

この結果を受けた技術研究本部は比較試験の終了を待たずして、第2次試作車基本設計方針の確定を前に以降の試作を1社に絞り込む決定がなされたそうです。この頃三菱重工では新型戦車STの担当が決まっていたためか、今後のSS開発はコマツが引き継ぐことになります。

2020-03-11 11:35:10

コマツ製SS-3(第二次試作車)

三式トニー @type3fighter

SS-3は昭和31年度予算でコマツに指揮車型1輌、通常型1輌の計2輌が発注されました。コマツ社内名称は「KT60」。1次試作車の問題点を改善した車両で、SS-2に似通ったレイアウトになっています。しかし三菱からは図面1枚提供されず、設計者達は試験の時撮ったわずかな写真から全て新設計したそうです。 pic.twitter.com/dZ07zAlOT0

2020-04-18 15:47:51
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三式トニー @type3fighter

SS-3に開発は1956年4月過ぎからコマツ粟津工場で始まり、全体設計、モックアップを経て1号車が11月15日、2号車は27日に完成しました。設計開始から半年で完成に漕ぎつけるコマツの執念を感じられますね。写真はSS-3のモックアップ。全体的にSS-2の要素が大きく出てますね。 pic.twitter.com/DzvZTH3pUq

2020-03-11 22:34:23
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三式トニー @type3fighter

SS-3を4方向から。M2重機関銃、増槽、車長兼砲手用直視式キューポラが外見的特徴になっている。 pic.twitter.com/anuKHlqfJU

2020-03-17 21:16:32
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三式トニー @type3fighter

SS-3は指揮車型の1号車と通常型の2号車の計2両が製作された。両車の違いは無線機で、前者がJAN/GRC-3(右袖部に追加アンテナあり)を、後者がJAN/VRC-7を搭載している。ただ無線機の重量差で前者は30kgも重くなっている。写真はコマツ川崎工場と陸自技研の間で無線試験を行う指揮車型。1957年1月撮影 pic.twitter.com/jZkxeGqypJ

2020-03-24 22:29:24
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三式トニー @type3fighter

主な改良点はSS-2のフロントギア/リアエンジン、日本製鋼所製砲架(400mm昇降)を踏襲し採用、携行弾数を6発から8発に増加、スポッティングライフルの代替として豊和工業製のブローニングM2を曳光弾で搭載、車長兼砲手用キューポラ(プリズム式ではなく直視式)の設置、など

2020-03-13 14:34:20
三式トニー @type3fighter

車体重量は7tに増加。その後の増量も考慮し最高速度は45km/h、航続距離は150kmに増大。このため100Lの燃料を3か所に分散配置し、さらに放棄可能なFRP製25Lタンクを左袖部に装着した。 pic.twitter.com/LSh7iD7koX

2020-03-13 14:36:34
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三式トニー @type3fighter

SS-3の6T115エンジン。6T110の改良発展型で、ボアを115mmに拡大。排気量8100cc、130仏馬力/2300rpm、最大トルク46kg-mと出力アップした。反面重量は650kgとわずかに軽くなった。 pic.twitter.com/IOXVYCCeHW

2020-03-12 21:38:20
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三式トニー @type3fighter

SS-3の5速シンクロメッシュ変速機と操向機ケース。エンジンのフライホイールに取り付けた乾式多板メインクラッチからトランスファーで床面に落とし、プロペラシャフトで変則機に入る。変速容易化のため前後進各5段とし、ワーナーシンクロの容量を増大した。変速レバー一本で操作でき… pic.twitter.com/iz6qFKGfBK

2020-03-12 21:57:34
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