[R-18]凄腕の女料理人とか女執事とかが、雇い主である美少年の責めに屈服するやつ下さい、その2

夏はもう中止にしろ。はい今日から秋。いいね。
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帽子男 @alkali_acid

ピアスのついた乳房と、タトゥーの入った下腹とがあらわになる。 「かなかな!猟犬さんはもうしつけ済みかな?」 「でしょでしょ!誰かに飼われてるでしょ!」 「…れ、レン。アンタ」 レンはすばやく両腕を交差させて調教の印を隠そうとする。はじめて見せたおとめらしい恥じらいのしぐさだった。

2019-08-11 23:00:28
帽子男 @alkali_acid

ケイは真紅の双眸に炎を点して見下ろした。 「…すごいね。僕に気づかせないなんて。それ、前にすんでたてやつの趣味?相続争いに加わらないのに、使用人を躾けるのは好きだなんて」 「…っ、違う」 激しく否定してから、レンは唇を噛んだ。 「…どういうこと?ほかに誰かいるの?」

2019-08-11 23:04:18
帽子男 @alkali_acid

双子は互いの掌を合わせて飛び跳ねる。 「かなかな!いけない子かな!」 「でしょでしょ!主人に黙って悪いことしてたでしょ」 「猟犬さんは雌犬さん♪」 「悪い悪い雌犬さん♪」 身を覆う黒衣を破られた男装の麗人は肩を抱いて震える。

2019-08-11 23:06:14
帽子男 @alkali_acid

「…ちがうよチイ、ミイ。ジョウってやつは、別にレンの主人じゃなかった。ただのいそうろうだ。今の僕と同じ」 ケイがぽつりと告げた。 「…っ」 鞭うたれたようにレンがまたわななく。 「レン。君は財団からとても大きな裁量と、自由を認められている。興味を惹かれる」

2019-08-11 23:09:33
帽子男 @alkali_acid

「でもしつけ直さないとね。僕以外に従わないように」 「…っ」 「今日からお屋敷に住み込みで暮らしてもらうね」 「…」 「君を調教したやつのことも、しゃべってもらうからね」

2019-08-11 23:12:17
帽子男 @alkali_acid

「レン…なんで…アンタまで…」 幼馴染の当惑に満ちたまなざしを受けながら、雌犬はただうなだれるしかなかった。甘んじて罰を受けるように。

2019-08-11 23:13:47
帽子男 @alkali_acid

とまあそんなこんなでお屋敷に住み込み、外遊びが禁止になってしまった執事。当然恋人というか飼い主のチャラ男とも会えない。 チャラ男の方は最初は余裕を決めていたが、いくら呼び出しても既読すらつかないのでだんだん苛つきだし、街をバイクで飛ばして探し回り、ネットとコネで行方を追う。

2019-08-11 23:15:48
帽子男 @alkali_acid

だが住んでいる世界が違う。財団の使用人の痕跡を探すのは市井の人間にできるようなことじゃない。結局、レンの方から連絡を返さなければアイには近づく手段すらない。 「ふざ…」 スマホを叩きつけて壊す無軌道大学生。 「うわ?先輩最近どうしたんすか生理?」 「殺すぞ」

2019-08-11 23:17:40
帽子男 @alkali_acid

「うお…先輩らしくないすよ…もっと気楽にいきましょうよ」 「…あ?」 「…いや、ワンコちゃんが連絡よこさないって話でしょ」 「…うっせえな…」 「怪我とか病気とかして入院とかすかね?」 「…あいつに限ってそんなのねえから」

2019-08-11 23:20:13
帽子男 @alkali_acid

「じゃあ…やっぱほかにおとこ…」 エロ友が言いかけたところで、サークルで使ってる部屋のロッカーをバコンと殴って凹ませるアイ君。もうチャラ男じゃない。キレ男だ。 「は、ないとして…あれじゃないですか仕事忙しいとか」 「んなの関係ねーし」 「…もーワンコちゃんの家とか知らないんすか」

2019-08-11 23:22:24
帽子男 @alkali_acid

「…知らねーよ」 「じゃあ共通の友達とか」 「いねー」 「えー。じゃあ…どうしようもないじゃないですか」 「…あ?」 アイ君はブチキレながらマリワナタバコをすっぱすっぱ吸う。 本当はボロボロ泣きたいだろうけどそういう感情表現を知らないやつである。

2019-08-11 23:24:15
帽子男 @alkali_acid

「…つか、関係ねえし」 マンションに戻ってウィスキーの瓶抱えてソファーにごろり。 ハウスキーパーに掃除を頼んでるので家はきれいです。 「…別に女とかいっぱいいるしな」 予備のスマホでぱっぱと呼べばヤレそうな女の連絡先を眺める。が、だめ。 全然乗り気になれない。

2019-08-11 23:26:36
帽子男 @alkali_acid

こういう時悩みを相談できる人間があまりいない。 せっかく無理して話をしたエロ友(後輩)もいまいちの反応だったし。 要するにまともな友達いないのでは。だいたい貸し借りでつながってるか、利益とか上下関係で成り立ってる。それが気楽だからいいんだけど。 「…犬がいなくなったんだけど」

2019-08-11 23:28:42
帽子男 @alkali_acid

しょうがないので最近知り合ったガキにメッセージ送る。 すごく変なガキ。ぼけっとしてて、そのくせ妙に好奇心旺盛で、意地っぱりで、底抜けにおひとよし。ちょっと恋人のレンに似てる。 既読がつく。 「まじありえねーんだけど。毎日キレそう」 「さがさないと」 「探してんだよ。見つかんねえの」

2019-08-11 23:31:16
帽子男 @alkali_acid

「がんばってさがさないと」 「だから頑張ってるって」 「その子はアイさんにあえなくてさみしいとおもいます」 「俺のこと嫌いになったなったかもしんねーじゃん」 「そんなことない」 「なんでわかるんだよ」 「アイさんが大事にしてる子だからきらいになったりしない」

2019-08-11 23:33:42
帽子男 @alkali_acid

大事にとかしてないし。意地悪ばっかしてるし。 「あんがと」 「僕もさがします」 「いらねーよ」 「でもさがさないと。その子がさみしいとおもいます」 「俺が探す。飼い主俺だから」 「てつだいます」 「いらねーよ。お前は記憶喪失とかいうの治せよ」 「てつだいます」 「いらねーよ」

2019-08-11 23:35:48
帽子男 @alkali_acid

苦笑してから、ちょっと落ち着く。 「つか勝手にどっかいってんじゃねーようちの犬のくせに」 むくり起床してまた街に出るアイ君。バイクを飛ばして西東。単位は大丈夫か無軌道大学生。あとフルフェイスは熱中症に気をつけてな。

2019-08-11 23:38:11
帽子男 @alkali_acid

さてはるか遠く海辺の小さな船着き場。ここもいちおう財団の管理する不動産。こぶりだが立派なプレジャーボートとかある。 番小屋もしっかりした作り。屋根裏部屋では幼い少年がスマホをいじるのをやめてぼけっとしていた。 「ジョウ!降りてこい」 番人のおじいちゃんが下から呼ぶ。

2019-08-11 23:39:56
帽子男 @alkali_acid

「うん!」 元気よく答えてはしごをするする下ってゆく。 「今日は、サバのサンドイッチを食わしてやる」 「さば!」 「タマネギをしこたま入れたやつだ」 「えー」 「嫌いか」 「ふつう」 「なんじゃい」

2019-08-11 23:41:33
帽子男 @alkali_acid

老翁と童児は屈託なくおしゃべりしながらご飯にかかる。 すごく勢いよく食べているジョウだが、いきなりぴたっと止まって、窓の方を見やり、そのまま動かなくなる。おじいちゃんはしばらく黙って見守るが、いっかな再起動しないのでやっと軽くゆする。 「ジョウ」 「…」 「ジョウおい」 「うん」

2019-08-11 23:43:36
帽子男 @alkali_acid

少年は振り返った。 「レンさんは、生きてるよね?」 「お屋敷の執事か。思い出さん方がいい」 「うん……生きてるよね?おばあちゃんみたいに…なってないよね」 「ああ。達者でやっとる」 「そっか…ふーん」

2019-08-11 23:45:09
帽子男 @alkali_acid

ジョウは食べかすをナプキンでとってから、ハーブティーをごくごく飲む。 「花火」 「するか?でかいの買うか」 「あとでする」 「暗くなってからな」 「うん。でも僕レンさんに会わないと」 「…ジョウ。あのな。あの屋敷はお前には向かん」 「僕…レンさんに会わないと。心配するし」

2019-08-11 23:47:20
帽子男 @alkali_acid

「ジョウ。ここで静かに暮らした方がお前にはいい」 「うん。でも…僕、レンさんが好き」 「使用人なんぞ従える主人にお前は向いとらん。普通に暮らす方がいい。きっとヤナ婆さんもそう…」 「でも、僕ね。レンさんが好き…好き…ふつう…じゃない…やつの…好き」 「思い出さん方がいい」

2019-08-11 23:50:26
帽子男 @alkali_acid

少年はちんまい指が老人のぶっとい腕をつかむ。 「そうだけど…僕、レンさんに会いたい…花火するって…約束した…思い出した…あと…でっかいシャボン玉とか…勉強…見てもらうって…あと僕の作ったパンケーキ好きって…ねえ…思い出させて、ほかのことも」 「ジョウ…」 「命令、する」

2019-08-11 23:54:09
帽子男 @alkali_acid

震え声で告げてから、小さな主人は大きな使用人を見やった。 「僕に、思い出させて。全部」 「だがジョ…ご主人様。せっかく消した記憶を思い出したら、あなた様の心がどうなるか、解りませんですじゃ」 「うん。えっと…いい」

2019-08-11 23:56:48