【シナリオ】クラスメイトに正体を現す敵女幹部(スライム娘編)

学校に潜入していた敵幹部であるスライム娘が正体を現す話
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スラマイマラス🔞 @slimymars

最も大切で、守る対象だった少女が、赤い粘液に包まれ、震え、助けてと泣いていたのが、肌が赤く染まり、溶けるにつれ、その質を変えていく様を目の前で見せつけられた彼には、最早抵抗する意思はないようだ。 少女の形をした粘液が近付き、彼の唇を弄ぶように触れても、なんの反応も示さなかった。

2019-08-12 16:10:17
スラマイマラス🔞 @slimymars

「いったいいつ、気付いたのかしら?」 つい先程までの彼なら、自信満々に答えたであろうその問い掛けにも、もう彼はぴくりともしない。 「まあいいわ、どうせすぐにわかるもの。私とおにいちゃんが、ひとつになれば」 「……おにいちゃん?」 少女の形で発せられたその言葉に、彼は始めて反応する。

2019-08-12 16:15:39
スラマイマラス🔞 @slimymars

「そうよ、おにいちゃん。形だけを真似てると思った? 『これ』はね、この体はね、ちゃんと、私なのよ、おにいちゃん」 くすくすと、無邪気に笑う姿に、少女の幻影が重なって見えた。見えてしまった。 「それでね、おにいちゃんと私は、これからひとつになるの」

2019-08-12 16:19:05
スラマイマラス🔞 @slimymars

「……君と、ひとつ、に?」 「そうだよ、文字どおりの意味で、ね」 膝立ちのままの彼に合わせて、赤い少女は少し屈むと、その唇を、彼の唇とちょんと合わせ、そして離した。 「おにいちゃんが、大好きだから」

2019-08-12 16:22:46
スラマイマラス🔞 @slimymars

「本当はね、男の子は溶かして体の材料にするの。そのほうが効率的だから」 人の命より効率を優先する、人の、少なくとも幼馴染の持たざる価値観を、今や当然のごとく言う彼女に対し、彼が疑問を感じることは既に無かった。同化は、今も水面下でじわじわと進んでいるのだ。

2019-08-12 16:30:35
スラマイマラス🔞 @slimymars

「でもね、おにいちゃんはすごいから。私、別にミスをしたつもりなんて全然なかったのに、答えに辿りついちゃったから。それってつまり、私よりも優秀ってことだよね」 無邪気に笑いながら、彼女は続ける。 「だからね、私は決めたの。おにいちゃんに、新しい私になってもらおうって」

2019-08-12 16:37:40
スラマイマラス🔞 @slimymars

「そのためにね、私はまず、『私』になったんだよ、おにいちゃん」 あらゆるモノを取りこみ、あらゆるモノを自身と同じモノに変えられる彼女にとって、より優秀な知能を得ることは、より困難な状況における生存に直結する。その為になら自らすらすげ変える。粘液生命体としての生態ゆえの価値観だ。

2019-08-12 16:45:23
スラマイマラス🔞 @slimymars

もし人としての視点にこの物語を当てはめるなら、赤い粘液の怪人は、彼に一目惚れしたと、それだけの話なのだが。 「おにいちゃん、『私』を導いて」 彼女は先程の軽い口づけではなく、より深く求め、彼を押し倒す。床の赤い粘液がやわらかくそれを受けとめ、二人はそのまま、中へと沈みこんでいった。

2019-08-12 16:49:22
スラマイマラス🔞 @slimymars

それから暫くして。 どくんと。 大きく脈打つ音が学校中に響いた。彼女たちが沈んだそこから、波が広がり、床を、壁を、天井を伝ってゆく。 波が通ると、そこは元のように木面や、コンクリや、タイルのように変わってゆく。

2019-08-12 18:32:22
スラマイマラス🔞 @slimymars

いや、元に戻るのはそれだけではない。取りこまれ、消えたはずの人さえもそこに現れ、起きあがり、異変前にしていた作業へ、なんの疑問も抱くことなく戻ってゆく。

2019-08-12 18:34:32
スラマイマラス🔞 @slimymars

だが全てのヒトは戻らなかった。男性は消えたままだったのだ。教師も、生徒も、そして、『彼』も。 にも関わらず、校内の誰ひとり、それに疑問を抱くことはない。そこには、もともと男などいなかったかのように。

2019-08-12 18:38:26
スラマイマラス🔞 @slimymars

そしていつの間にか、元のようにそこに佇んでいた幼馴染と呼ばれた彼女ですら、『彼』がいないことには疑問を持つ様子はなかった。いや、彼女は少し事情が異なる。何故なら彼女は‥‥ 「これで『僕』が望んだとおり、元通り平和になりました、と」 そう言うと、自らの手を開いたり閉じたりを繰替えす。

2019-08-12 18:44:58
スラマイマラス🔞 @slimymars

「すごいな、この体、なんでも出来る。『怪人』なんて、今なら簡単に倒せる」 開いた手の平を赤く染め、そこから自分の一部を垂れさせる。 「それに、もっと簡単に平和に『導く』ことだって」 その笑顔は、奇妙な歪みがあった。

2019-08-12 18:50:11
スラマイマラス🔞 @slimymars

「ふふ、大丈夫、私のことも、忘れてないし」 ここで言う私が、誰のことなのかはもう分からないが。 「だから、私だけの楽しみなんだ、これ」 そう言うと、彼女の服が全て、赤い粘液へと変じた。現わになった彼女の体には、しかし女性が持ちえない器官があった。

2019-08-12 18:54:49
スラマイマラス🔞 @slimymars

彼女はそこに座りこむと、それを弄びはじめる。 教室の真ん中で、あってはならない行為であるが、しかしそれを咎めるものは誰もいない。 皆、そこには誰もいないかのように。いや実際、それを認識していないのだ。

2019-08-12 18:56:29
スラマイマラス🔞 @slimymars

「んっ」 ぴくんと震えたそのときに出る声は、確かに少女のものだった。 だがそこから溢れる粘液は、赤く、そして異常な量だった。ぴく、ぴくんと、教室中の床を赤く染めてゆくのだ。

2019-08-12 18:58:43
スラマイマラス🔞 @slimymars

「くす、あはは」 それが妙に可笑しくて、彼女は笑った。笑いながら、自らが出したその粘液の中へと沈んでいった。 そして残った粘液も、床へと溶けこむように消え、しかし教室に残る生徒たちは、なにひとつ疑問に思わず、帰宅の準備を続けた。

2019-08-12 19:02:55
@akuochiken

「あら……?」 じゅぶり、と元いた教室で、彼女はまるで水面で息継ぎをするようにして教室の床から顔を析出させて首を傾げた。 全ての女性が“帰った”学校で、誰もいないはずの校内を誰かが歩いてやってくる気配がする。 twitter.com/slimymars/stat…

2019-08-12 20:20:57
@akuochiken

既に学校の建物自体を自身の体、テリトリーとしている彼女にとって、下僕の少女たちの行動、そしてテリトリーに侵入してくる部外者の存在は手に取るように分かる。 だが侵入者は極力排除しない。 ここが、何の変哲もない学校だと思い込ませるために彼女の体内を、そして下僕たちを活用して迷わせる。

2019-08-12 20:27:15
@akuochiken

仮に、そういった催眠に耐性がある侵入者であっても、この学園が彼女のテリトリーであること、ましてや彼女の本体がどこにいるのか、などという情報を知る者は皆無である。 しかし、その人物はゆっくりとではあるが、迷わずに彼女のいる教室に向かってやって来ている。 「あはっ、これは……」

2019-08-12 20:36:26
@akuochiken

その人物に心当たりがありそうに声を上げる。 程なくして、ガラッと教室の扉が開く。 「ようこそお越しくださいました、『お父様』」 教室の入口には、お父様と呼ばれたスーツ姿の男性が立っていた。 彼を迎え入れる彼女は、先程までの液体状の身体ではなく、溶ける前の幼馴染みの少女の姿をしていた。

2019-08-12 21:04:15
@akuochiken

「お父様」という表現は、奇妙な単語だった。 その少女の父親も、そして溶けて消えてしまった“彼”の父親も、本来の自宅に存在していた。 だから、彼女の目の前にいる男性は、スライム娘本来の父親である。 「お前に父親呼ばわりされる筋合いはない。お前は私の部下で、そして組織の幹部に過ぎん」

2019-08-12 21:10:35
@akuochiken

「そう意地悪なさらず」 彼女は彼の元に駆け寄って右腕に抱きつく形で彼にすり寄った。 「ね、お父様?」 抱きついた少女は彼の顔を見上げ、そのあどけない表情を向ける。 その様子は傍から見ると、まるで本当の親子、父と娘の姿に見えた。 「お前は……」 ポンッと彼は左手を少女の頭に乗せる。

2019-08-12 21:50:18
@akuochiken

「今度は誰の影響だ? その身体の持ち主か? それともお前と一体化している『男』か?」 彼はぐるりと周囲を見渡す。 「いや、お前の中からは大量の人間の気配がする。誰、ではないな。これがお前の結論か?」 「ふふ、流石は聡明なお父様。そんなお父様が大好きです」 少女は微笑んだ。

2019-08-12 22:17:17
@akuochiken

「ええ。私はお父様が望まれる存在に、より近づけました。お父様の言いつけ通りにこの学校を手に入れることはできませんでしたが、この学校自体を私のものにすることはできました。それに、あんなにお父様が警戒されていた『彼』も、今では“私”になりました」 彼女は股間部を意識して擦り合わせた。

2019-08-12 23:24:08
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