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一瞬ゆるんだレンの指のあいだからするっとジョウの手首が抜ける。 「…あと、レンさんを…守って」 「ああ?」 「なんか、レンさんて、かっこいいけど、あぶないきがする」 「正解」 「…だから、アイさんが守って」 「おま…」
2019-08-15 00:25:08「絶対服従」 「ざっけんな俺がうらま…」 少年と青年の視線が通い合う。 「あんときのそういう意味かよ」 「うん…」 「ほーん」 「…じゃあね」
2019-08-15 00:27:14「ほい」 アイはジョウを抱き上げ、じたばたするのに構わずレンに投げ渡した。 「…んぎぃ!!」 「聞く耳ねーしww」 「ぜ、絶対服従って」 「そんなん言ったっけ」 「なんで!なーんで!」
2019-08-15 00:31:00「坊ちゃま頭冷やせってww」 「…だって」 「坊ちゃまがどっかいったら、皆死ぬ気で探すだけじゃん」 「…んぐ」 「っとガキな。あのさ。こっちの“先輩”は堅物そうな見ためによらずちょろくて頼りねーかもしんねーけど。期待の新人の俺がついてんじゃん」 「…ちょっとよくわかんない」
2019-08-15 00:34:31ケラケラ笑うアイ。ジョウをしっかり抱きしめたまま色々言いたいことをぐっとこらえるレン。 「ま、大学始まったら、週二ぐらいにすっけどいいよな?」 「…でも」 「でもじゃねーんだよ」 「ふぎぃ」 男児のほっぺをひっぱって反論を封じる男子大学生。 絶対服従とは。
2019-08-15 00:37:00「つー訳で、坊ちゃまの世話も含めて これから、よろしくご指導ご鞭撻のほどを。先輩?」 にっこりするアイに、レンは眉をひそめ、まだもがくジョウをさらにきつく抱きしめて逃さないようにしつつ、いまいましげにうなずいた。
2019-08-15 00:39:08かくしてお屋敷は執事が二人に増えたのだが、別に仕事の効率は上がってない。もっと厳密にいうと二人になった時点で、片方が「家令」で、片方が執事となるのだが、細かいので省く。 まず新人はそもそも仕事をたいしてやる気がない。さらに先輩の仕事の邪魔をする。
2019-08-15 00:42:13「職場でやんのもいいよな」 「…っ!…っ!」 シックな黒スーツの下をおろさせて、ド派手なエロ下着をあらわにさせて、ケバい白スーツ着た方がのしかかる。 「…レンさん気づいてる?ここ」 「…」 「隣の部屋。坊ちゃまがいんだけど」 「…っ!?」
2019-08-15 00:44:09「この時間は寝てんでしょ。最近、下校してからしょっちゅう寝てるし」 「…っ」 「すげえしまる…あー“かっこよく”て“かわいい”レンさんが、こんなんなってんの、坊ちゃま知ったらまじやべえな」 「…っ…!!!!」
2019-08-15 00:47:23坊ちゃまは、闇医者に診てもらってから、以前にもましてちょっと馬鹿になってきたのと、新しいこと覚えられなかったり、記憶がいびつになってたりして、なんか変な感じがあっても気づかない。 でも、かっこよくてかわいい執事が二人いて、皆仲が良くてうれしい。 ときどき喧嘩してるみたいだけど。
2019-08-15 00:49:57ちなみに平和なので、もう使わなくなった文房具は、ジョウがときどき出しては手入れをしている。 今はお屋敷で暮らしてるけど、いつかまた文房具屋になってもいいかもと考えている。でもその時レンさんは手伝ってくれるだろうか。何か似合うような似合わないような。でもちょっと想像すると楽しい。
2019-08-15 00:53:27おまけじゃ