10周年のSPコンテンツ!

東谷暁氏「MMTの懐疑的入門」を批判する

東谷暁氏の批判は、重大な誤読・勘違いに基づいており、悉く明後日の方向を向いたものとなってしまっている。 キーワード:統合政府、統合政府負債、水平取引、垂直取引、MCT(Monetary Circuit Theory)、ミンスキーの金融不安定性仮説、ミンスキーの半世紀、財政黒字は危険信号、古典派的クラウディングアウト、IS-LM的クラウディングアウト、国際的インバランス、輸出はコスト/輸入はベネフィット
経済学 財政 財政政策 経済政策 金融 クラウディングアウト 中央銀行 金融政策 通貨 MMT
6
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
予告通り、今回は東谷暁氏のブログ「コモドンの空飛ぶ書斎」 komodon-z.net/category/newit… から、「MMTの懐疑的入門」を論評していこうと思います。 東谷暁氏は、野口旭氏よりかはまだ真正面からMMTを論じようとする気概があるだけマシですが、それでも色々と錯誤があるように思われます。
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
(1)は単にMMTの主張紹介に終始していたので飛ばします。 というわけで、MMTの懐疑的入門(2)基本的構図を知っておく komodon-z.net/2019/05/29/mmt… から。 ここでは、のっけから東谷暁氏の重大な誤解が明らかになる。
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
東谷暁氏はここで、「政府の負債は中央銀行の国債保有によって相殺されている」という主張を、あろうことかMMTの主張として紹介している。 これは全く転倒した見方で、MMTは実際には全く逆のことを主張している。 twitter.com/motidukinoyoru… pic.twitter.com/QgRwIJ0LOc
拡大
拡大
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
MMTは、ビル・ミッチェルが「赤字財政支出101 Part3」 econ101.jp/%E3%83%93%E3%8… で論じているように、財政収支が(統合)政府負債の水準を決定するのであって、中央銀行は(統合)政府負債の内訳(国債か準備預金か)を組み替えているに過ぎないと指摘している。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
つまり、中央銀行が国債⇔準備預金の”両替”をいくら行おうが、統合政府債務レベルの負債水準(=民間純資産水準)は変化しません。 こうしたMMTの金融財政理解は、巷の経済評論家による「買いオペすれば政府債務はチャラ」論とは全く対極に位置するものです。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
MMT的理解に基づいて「買いオペすれば政府債務はチャラ」論を徹底批判した記事としては、拙記事『「財政再建は終わりました」をMMT系財政出動派として批判する』 ameblo.jp/nakedcds/entry… を僭越ながら推奨。 ともあれ、東谷暁氏の理解はこの点で致命的な転倒に陥っている。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
この部分にも東谷暁氏は著しい錯誤が垣間見える。 東谷暁氏はここで、「MMTは、民間部門の水平取引はプラスマイナスゼロであるから、経済を金融的に拡大しているのは統合政府であると主張している」と論じているが、これもまた全く転倒したMMT理解である。 pic.twitter.com/sTdRNgvdea
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
「民間部門の水平取引はプラスマイナスゼロ」というのは、単に民間の金融資産と金融負債がパラレルに拡大・縮小するということを表現しているに過ぎません。 むしろMMTはミンスキー的な理解を継承し、民間信用のブームトバーストが経済の不安定性の源だと考えている。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
もし東谷暁氏が、MMTの上記のようなアイデア、つまり『民間金融資産・負債のパラレルな膨張or収縮によって経済変動が引き起こされる』というMMT的経済理解を把握せずにMMT批判を行なっているのだとしたら、それは荒唐無稽な藁人形論法に過ぎないということになります。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
上記で指摘した東谷暁氏の誤謬は、MMTの懐疑的入門(3)水平マネーと垂直マネー komodon-z.net/2019/06/08/mmt… においても、以下のように展開されてしまっている。 「垂直取引が民間の純資産を増減させる」ということは単なる事実ですが、それなくして資産拡張が生じないというわけではありません。 pic.twitter.com/mc5UKrCAib
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
拙note『Modern Monetary Theoryの概説』 note.mu/motidukinoyoru… で論じたように、MMTの構成理論の一つであるMCTでは、民間信用が、たとえ総和がゼロであったとしても、創造→決済→破壊を通じて実物生産・消費を生じることが説明されています。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
水平取引の総和がゼロだというのは、水平取引における信用の創造と破壊が金融資産と金融負債のパラレルな膨張or収縮によって生じるということを指すに過ぎず、だからこそミンスキー的な金融不安定性の理論が導出されるという構造なのですが、東谷暁氏はそれを理解していない。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
余談になってしまうのだが、一応この部分についても指摘しておきたい。 確かにある時点での実物資産は純資産としてカウントされるものなのですが、私のMMT概説note note.mu/motidukinoyoru… で詳説したMCTに見るように、貨幣性生産サイクルの完遂時には実物資産も"償却"されることに注意されたい。 pic.twitter.com/Xchzy1Z980
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
詳しくは拙note note.mu/motidukinoyoru… での解説をご覧いただきたいが、「信用創造→投資→生産→消費→売上による返済」という一連の貨幣性生産サイクルにおいて、設備や在庫といった実物資産は一過的にのみ存在し、減価償却ないし在庫一掃によって最終的にはゼロになる。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
もちろん、通常の経済では中途過程の貨幣性生産サイクルが多数あるのが当然であり、ある時点で計測する実物資産(経済全体の純資産)がゼロになることはほぼ有り得ないわけだが、一つ一つのサイクルを「解剖」すると実物資産が最終的に"償却"されていることには留意しておこう。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
続いてMMTの懐疑的入門(4)ハイパワード・マネーとレヴァレッジ komodon-z.net/2019/06/16/mmt… について。 まず以下の部分。 既に示したビル・ミッチェルの記事 econ101.jp/%e3%83%93%e3%8… に見るように、中央銀行のオペはあくまで統合政府負債の内訳両替に過ぎず、これは外生的貨幣供給には当たらない。 pic.twitter.com/vNx25ae76T
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
「民間の純金融資産は、財政収支によって増減する」 「中央銀行のオペレーションは、コールレートを変動させるだけで、民間の純金融資産を増減させない」 というのは、MMTのメインメッセージの一つなのですが、東谷暁氏はこの肝心要の部分を掴み損ねてしまっています。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
この部分についても、既に指摘した東谷暁氏の誤解が再び顕わになっています。 私のMMT概説note note.mu/motidukinoyoru… で解説した通り、MMTの構成理論の一つであるMCTでは、民間の信用活動が水平マネーを"追加"し、経済の信用水準を"増幅"させる様が示されています。 pic.twitter.com/XqYBbE8H1X
拡大
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
東谷暁氏の引用するように、そのような水平マネーの増幅は、垂直マネー(HPM)のレバレッジングではあるのですが、それは垂直マネーのみが経済活動を増幅させるという意味ではありません。 むしろMMTは内生的貨幣供給理論に基づき、全く逆のことを主張しているのです。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
民間の『純』貯蓄(民間金融純資産)を追加できるのは確かに財政赤字だけですが、既に紹介したMCT(MMTの構成理論)を見ても明らかなように、民間の貯蓄は、同じ民間の負債発生という形でも形成可能です。 水平取引では資産と負債がパラレルに発生するので総和はゼロですが。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
(5)はMMTの主張紹介がほとんどで論評に値する批判部分がなかったので飛ばして、MMTの懐疑的入門(6)クラウディングアウトは神話? komodon-z.net/2019/06/28/mmt… の以下部分について。 ここで東谷暁氏は、乗数がどうとか、好況不況の差異がどうとか、無関係な議論を絡めてしまい混乱に陥っている。 pic.twitter.com/doDcbE2Drb
拡大
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
MMTの「政府支出はクラウディングアウトを起こさない」という主張については、野口旭氏のMMT批判記事の検討 togetter.com/li/1392289 でも論じたのですが、実のところ極めてシンプルな話で、通貨発行権のある政府においては政府支出が事実上の通貨発行となっているため、 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
IS-LMが想定するような政府支出増加→金利上昇→民間投資減少というような動態は(少なくとも自動的には)発生しない、という至極当然の事実が指摘されているに過ぎません。 しかもここで想定されているのは、IS-LM的な総需要のクラウディングアウトであって、 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
古典派的な実物資源のクラウディングアウトではありません。 ここを混同すると議論が意味不明になってしまいます。 経済がいわゆる好況に入り、実物資源制約に直面すれば、いわゆる財政乗数は低下して当然ですし、MMTはそれを否定する議論をしているわけではありません。 twitter.com/motidukinoyoru…
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru
次に、MMTの懐疑的入門(7)マネタリー・ベースと税金 komodon-z.net/2019/07/07/mmt… の以下部分について。 既に指摘したように、東谷暁氏はMMTにおける垂直取引、水平取引の理解について、いくつもの重大な誤解をしており、そのため彼の"懐疑"は全く無為なものとなってしまっています。 pic.twitter.com/rnPuOn8oVv
拡大
拡大
残りを読む(45)

コメント

hizen31415 @hizen31415 2019年8月22日
金融論を批判するMMTを批判する東谷氏のtweetを批判するまとめ。批判批判で訳が分からない。こんなまとめは批判されるべきだ。とネタに走ってみる。
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする