ぱすイカ二次創作⑤

感情がめちゃくちゃ @pascal_syan

「う、うえ、目がまわ……吐きそ……」 「アララ～、ダイジョーブ？」 「ひ、ひとの心配より……てめえの心配しやがれ！」 スペシャル発動、ウルトラハンコを発動させる。 「おりゃおりゃおりゃおりゃ！！！！」 巨大なハンコを、何度も何度もうちつける！

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ウルトラハンコの弱点は背中だ。でも、常にヨーコを正面に捉えるようにすれば、そんなの気にすることはない。近くに壁がある。このまま突っ走れば、そこへ追いやって倒すことだってできるはず……！ 「地獄に落ちなぁぁぁっ！！！」 ハンコの制限時間が終わる。そこにはぺしゃんこになったヨーコが……

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「ダイジョーブ？」 背後から声。それも、真後ろじゃない。上の方から…… 「げっ……！」 忘れていた。相手にもスペシャルウェポンがあるということを！ ヨーコの背には、バックパック。そこからインクを噴射して、天高く舞い上がっている。

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スペシャルウェポン「ジェットパック」。バックパックで空を飛びながら、ランチャーからインクを発射して敵を攻撃する、ド派手なウェポンだ。ランチャーの連射間隔は遅いので、当てるのには少しコツがいる。また、飛んでいるとはいえ無敵ではないので、敵の攻撃で撃ち落とされることもある。

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だが、ヨーコは元エリート兵士。加えて、ボールドの射程では、どう頑張っても撃墜はできないだろう。「てめええええ～！ズルいぞ！」 「ゴメンネ～？」 あっけなく爆散。相手のスペシャルには、気をつけよう。ナワバリバトルでのお約束だ。

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だが、ジェットパックにはもうひとつ弱点がある。 発動終了後、発動前にいた場所に自動的に戻されるのだが、その着地地点が敵にも分かるのだ。 つまり、着地後に無防備なところを突かれる可能性がある、ということ。 カーボンローラーは、いち早くその地点へ向かっていた。誰にも気づかれることなく。

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その時は来た。ヨーコが着地した瞬間、インクの中から姿を現す。そしてカーボンローラーを振り上げた……！ 「今度こそ、もらった！」 視界いっぱいに広がる傘。 隠れていたのは、１人だけではなかった！

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口惜しや。渾身の一撃は傘に遮られ、ヨーコの射撃で返り討ちにされてしまった。 「なんでいつもこうなるんだよおおおおお～！」 そうしてこうして。 またもやあの四人組は、清々しいほどまでにボコボコにされてしまったのであった……

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「だから無理だって言ったじゃんか！ねーちゃん！」 「もうやだおうちかえりたい」 「前よりゃ善戦しただろうが！文句言わずにとっとと反省会だよ！」 弟とカーボン小僧を抱えて立ち去っていく、姉。 「じゃ、おつかれっした～」 その後ろをチャージャーがついていく。ご丁寧に手を振りながら。

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試合後、ヨーコとオクトーは、昼間のカフェに戻ってきていた。今度はコーヒーではなく、ハヤシライスがテーブルに乗せられている。 「ここね、ご飯もおいしいんだよ。値段高いけど、そのぶん量も多いの」 確かに多い。1.5人前といった感じだ。 「良心的だな……」

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「今日はありがとうね。ジェットパックのあとの盾、ナイスだったわ。それから……シェルターの使い方も、シグルイさんから教えてもらったり？」 「ああ。それが何か……ま、まさか、」 「うん。戦い方、すごくそれっぽかったなあって」 足払いとか、ボムを弾いたりするあたりは特に。

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「流石にボスほどの力はないので、傘の柄がないとああいうことは出来ないんですよ」 「……オクトーくん。敬語、出ちゃってるよ」 ヨーコは少しむくれたような顔をした。 「……やっぱり、無理です！」 オクトーは、我慢していたものを吐き出すように反論した。

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「『同族のよしみでタメ口にしろ』、なんて無理ですよ！俺とあなたの歳の差を考えてください……！」 「ええ～？でも、敬語なんてカタくてちょっと嫌だもん……」 少しの間、思案したあと。 「……では、交換条件を出しても？」 「交換条件？」

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「まずはあの、カタコトに近いイカ語を何とかしてください」 「えっっっ……」 ヨーコは、苦虫を急に口に放り込まれたような、ばつの悪い顔になる。 「わ、私……語学、苦手なんだけど……」 「あれが矯正されたら、俺も、あなたにタメ口で話しかけます。……慣れが、必要ですが……」

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「う、ううっ……じ、じゃあ、私もがんばってみる……」 「今のレベルでも、きちんと意思疏通はできています。あとは、文法を間違えたり、助詞を省いたりするのを直せばいいと思います。というか……相手の言葉が理解できるのであれば、それをそのまま真似すればいいのでは？」

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「う、うん……そう思ってるんだけどね。聞くときと喋るときの脳みそが違う、って言ったら分かりやすいかなあ？喋るときのほうは、まだポンコツなの。訓練しないとね……」 「俺も、敬語とそうでないのと、脳が分かれている気がします。あなたの気持ち、よく分かります……」

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「お互い、頑張ってみよっか」 「ええ」 にこやかに会話を終え、ハヤシライスに手をつける。 数十分後。空になった皿が、ふたつ。 「ふぅーっ、おいしかった！」 「絶品でしたね」 「でも、やっぱりちょっと多いのよね……ミニサイズがあればいいのに」 「確かに、女性には少し厳しいでしょう……」

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「お得って感じで、悪くないけどね。いつかここで、チームのみんなで食事してみたいなあ～」 何の気なしにした発言に、オクトーは悲壮な表情で食いついた。 「だめです……」 「えっ？なんで？」 「み、店が、潰れます……！！」 「どうして……？」 「……いえ。今のは、聞かなかったことに……」