岩から美少年を掘りだしたらベタ惚れされてめちゃくちゃ尽くされたったww

ああ。俺はガンギマってる。 ガンギマってるが…別にクスリとかは使ってない。 脳が勝手にこうなるんだ。脳がな…。
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関係あるようなないような

まとめ お嬢様の身がわりにバケモノに嫁いだメイドがひどい目に遭う話・前編 はーやでやで。後編もまとめました。 https://togetter.com/li/1400985 13745 pv 17

以下本編

帽子男 @alkali_acid

岩の中から掘り出した美少年にべた惚れされて甲斐甲斐しく尽されてえ。

2019-09-17 21:02:27
帽子男 @alkali_acid

掘り出したい。 岩盤から。人ならざる都合のいい万能無敵の美少年を。 すでに空から落ちてくる美少年や海に打ち寄せられた美少年、ランプの中から出てくる美少年は先人が漁りつくしている。 でも!!岩盤の中なら!シェールガスやシェールオイルを掘るみたいに! まだ!手つかずの資源が!

2019-09-17 21:04:24
帽子男 @alkali_acid

もちろん普通の岩とかには入ってないでしょうよ。 特別な岩だよ。何かすごいやつ。どっかにあるでしょ。 岩というか、もう美少年が入ってるなら宝石と呼んで差し支えない。 昔風に言えば玉。そう玉。 珍しい玉。 略して珍玉。 変な想像しなかっただろうね。ちんぎょくと読む。

2019-09-17 21:06:17
帽子男 @alkali_acid

あるいはチェンユェーとかね。 さて珍玉がどういうものかと言うと。 あらちょっと、何うんざりした表情でそっと画面閉じようとしてるの。 大事な話だから。美少年が入ってる貴重な岩っつーか玉の話だから。 まじめに聞いて。 まじめにね。

2019-09-17 21:08:49
帽子男 @alkali_acid

珍玉とは内側に水を閉じ込めた岩です。 解るかな。岩ってものができる際は、まあたいていは強い熱や圧がかかって色々な鉱物が塊になるので、普通あいだに入ってた水とかはどっかいっちゃうのだが、まあ出口がない状態だとたまに岩の中に水が残る。

2019-09-17 21:11:48
帽子男 @alkali_acid

昔の人はこういう水の入った岩をありがたがって、上手に掘り出して削って磨いて置物にしたりした。 握り拳ほどのものから、人の頭ぐらいあるものまであれこれと残っている。 でも美少年が入るぐらいだともっと大きくないとな。 寝台ぐらいか、小部屋ぐらい。いやでもまだ何か窮屈そう。

2019-09-17 21:14:16
帽子男 @alkali_acid

よし。家ほどある珍玉があったと思いねえ。 もちろんどこにでも落ちてる訳じゃない。 そうだな。何かずっと西の方。 戎やら胡やらが跋扈し、地の底を泳ぎ人を食らう化生が棲むという山々の奥懐。そういう秘境にね。あったと。 万能無敵の美少年が入ってるぐらいだからね。そう簡単には手に入らない。

2019-09-17 21:19:38
帽子男 @alkali_acid

わざわざ行けねえよんな田舎まで。 大丈夫。珍玉は都会で大人気。金持の大人(たいじん)はこぞって奇瑞を呼ぶという不思議な岩を庭とか部屋とかに置きたがるから。 変な石をありがたがる都会のお偉いさんのために、ちゃんと掘って運んで削って磨いて仕上げをするさまざまな人足やら職工がいる。

2019-09-17 21:22:18
帽子男 @alkali_acid

家ほどもある美少年入りの珍玉を見つけたのは、幼い子供。 五歳ぐらいかな。でも働いている。いささか浅黒い肌は戎(えびす)の血でも入っているのか、まあなりは小さくてもすばしっこい。 大人(今度はおとなと読む)じゃ入れない狭い窖(あなぐら)に潜り込んで、玉だの珠なんだのを探す。

2019-09-17 21:24:56
帽子男 @alkali_acid

たくさん似たような童児は働いてた。よく命を落としたけどもね。 目立たぬ場所に開いた暗い亀裂に落ちたり、狭いところに挟まって動けなくなったり、有毒のガス、瘴気っていうんだけど、そういうの吸ってしまったり。 するとまあ子供を使ってる大人は 「鰐(わに)に食われたな」 と言って終わり。

2019-09-17 21:26:43
帽子男 @alkali_acid

山の下には岩の中を泳ぐ鰐のかたちをした神様だか妖怪だかいて、たまにむしゃりと地の底に降りてくる人間を平らげちゃう、というまあ迷信があって、信じてるか信じてないかはともかく、とにかくそういうのがとって食ったんだからしょうがないだろ、みたいなのり。

2019-09-17 21:28:34
帽子男 @alkali_acid

珍玉を見つけた子供は、しかし“鰐”には食われなかった。 血筋のせいか暗がりでも不思議と目が利き、おまけに切通の壁や床に耳を押し当てると、岩の声を聴けたからね。 声って言ったら変かな。 かすかな音のような何か。 幾重にもなった砂礫や結晶や泥土の層が、自らの重みで軋む響きを。

2019-09-17 21:32:16
帽子男 @alkali_acid

名前がないと不便だから適当につけておこう。 ラオラオ。ラオ君としようか。 ラオは岩の声を聴き分け、決して道に迷わず坑道の中を駆け回った。 何度か他の子供を助けたこともある。大人はたいして感謝もしなかったが。 でもやっぱり仲間と同じく親方の鞭が恐く、饅頭が欲しくてたまらなかった。

2019-09-17 21:34:52
帽子男 @alkali_acid

でも食べ物と寝る場所と痛めつけられない保証のためだけに働いていたんじゃない。 実は鉱山に奉公に出る前から、ずっと聞こえていた、ある岩の声の源を探していた。 泣くような笑うような、怒るような喚くような。 二つか三つか、顔も思い出せない母の腹にいた時からかもしれない。

2019-09-17 21:37:55
帽子男 @alkali_acid

不思議なお喋りとともに、ずっと一緒に育ったといっていい。 でも言葉とも嗚咽ともつかない何かは、ラオが育つにつれ弱まり疲れてきているようだった。 だんだん心配になった子供は、ある日遠くまでつながっていそうな岩の出っ張りに、ちんまりした手で筒を作って押し当て、こっそり話しかけてみた。

2019-09-17 21:41:30
帽子男 @alkali_acid

すると声はぴたりと止んでしまい、ラオもすっかり悲しくなって口もきけなくなってしまった。 でも数日すると岩のお喋りはまた以前よりはっきり聞こえてくるようになったから、今度はおおはしゃぎをして叱られた。 もっともすべて、おさなごが頭の中だけでする遊びのようなものかもしれないけど。

2019-09-17 21:44:24
帽子男 @alkali_acid

ともかく岩の声が聞こえるおかげで、ラオは山の下でも迷わず、いくつも玉や珠の鉱脈を探り当てた。 すり傷ひとつ追わずにね。でも大人は満足しなかった。 もっとすごいのを見つけてこいと鞭でおどし、饅頭で釣った。 坑道のずっとずっと奥まで行けと。 よく“鰐が子供を食った”あたりのさらに先へ。

2019-09-17 21:47:15
帽子男 @alkali_acid

ラオはさすがにびびって嫌がったけど、お前が働かないならほかの子供をやるだけだと言われて、しぶしぶ従った。 薄闇を見通せる目でもどうにもらない漆黒の深淵へ、小さな蝋燭と火打だけを頼りに降りる。 案の定というか、いつも遊び場のように鉱山を走り回り、這い回ってきた童児でも、とうとう

2019-09-17 21:50:33
帽子男 @alkali_acid

亀裂に落ちた。 蝋燭はなくした。 打ち身を作り、鼻血をたらし、心細さにしゃくりあげながら、ラオは耳を足場に押し当て、地層の軋みを聞こうとする。 なんとあの懐かしい声がはっきり聞こえる。すぐそばだ。 「ぼく!ぼくだよ!」 思わず話しかける。

2019-09-17 21:52:11
帽子男 @alkali_acid

すると、はるか岩盤のかなたからも答えがあったよう。 憤りとも喜びともつかない唸りが響いてくる方へ、童児は痛む手足を動かして這ってゆく。声は間近だ。 ラオはとうとう広く開けた場所にたどり着くと、断崖のように切り立った一面にぺたっと張り付いた。

2019-09-17 21:54:39
帽子男 @alkali_acid

といってもあたりは鼻をつままれても解らない真暗さで、ただ谺(こだま)の跳ね返りぐあいでかなり天井までが高いと知れるだけだが。 どんなに坑道に慣れた子供でも怯えきる場所だろうに、岩の声を聴く仔はどうしてか安らかに寝入ってしまった。

2019-09-17 21:57:30
帽子男 @alkali_acid

目覚めると痛みは和らいでいた。 声はそばでずっと続いていた。ラオも何かあれこれぺちゃくちゃと他愛もないことを話しかけてから、はっとしてきた道を引き返す。 「またくるね!」 岩壁はひきとめるように重い呻(うめ)きを発し、童児は後ろ髪をひかれたが、とにかく帰らねばならない。

2019-09-17 21:59:09
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