ぱすイカ二次創作19

ぱすかる❄ @pascal_syan

毒性のあるインク。 彼らの内ではそのまま「毒」と呼ばれていたりもする。 微弱な遅効性の毒をインクに含ませ、相手にぶつけることにより、強制的に身体機能などを低下させる。 頭痛、めまい、吐き気などの症状を伴うこともある。耐性がなければ重症になることも。

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初戦で、試作品をアヤメのブキに仕込んでいた。結果……フシチョー・ウィングスには圧勝。たまたま耐性が低かったマリコは、今も病室の中にいる。 あれでは少しやりすぎか、と、配合を変えた完成品が、サキモリ全員のブキに装填された。 だが、この毒は、サキモリ全員にも影響を及ぼす。

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そこで、「プレゼント」として渡されたのが、解毒薬だ。 飲めば、症状が和らぐ。試合後に必ず服用しなければ、重症化してしまう危険性がある。敵よりも大量に毒を浴びているのだから、当然だろう。 アヤメは特に、耐性が低い。薬を飲まなければ、先程のようになってしまうのだ。

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サキモリだけが毒を使用していれば、真っ先に疑いが向いてしまうだろう。そこはぬかりない。金でチームをいくつか買収して、彼らにも毒を分け与えた。楽に勝てる方法があるなどと、言葉巧みに騙したりもして。ついでに、「程よいところ」で退場してもらった。

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「それで、お父様は何と？いよいよ決勝だから気合入れていけ、とか？」 アヤメは何も言わない。無言の肯定として受け取る。 「ですよねえ。ここからが本番ですから。対戦の組み合わせがどうなるか、楽しみですね？」 そんなもの、分かりきったことだが。

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その日の夜、決勝トーナメントの対戦の組み合わせを決める抽選会が開かれた。 優勝候補４チーム全員が集う場に、多くのマスコミが駆けつけた。 「う、うわ、緊張する〜……」 「リラックス、リラックスなのね〜」 サキにとって、試合以外の場でこんなに注目されるのは初めてだった。

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「う、うわぁ、緊張する……」 カマトットのシローも、同じことを呟いていた。 久しぶりに、姉に尻を叩かれた。 「ビビってんじゃねーよ！」 報道陣から笑い声。見られてたー！！！ 「ね、ねーちゃん！マスコミいるのに！」 「マスコミいるのにビビってんじゃねーよって話だよッ！」

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アカネはため息をついてから。 「見ろよ、他のチーム。めちゃくちゃ堂々としてるだろ？」 確かにそうだ。サキモリのみんなは、キリッとしている。余計なお喋りをせず、ピシッと気をつけをしている。かっこいい。 フライ・オクト・フライは、カメラに向かって手を振っている。

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「ヒメ、イイダ、見てル？」 なんとカメラの向こうのお友達（著名人）に語りかけている。その様子は実に和やかだ。他のメンバーもアゲアゲって感じで、マスコミに対して、知り合いのように慣れ親しんだ態度をとっている。あれこそがスターなのかもしれない。

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そして……そして、シグルイたちのチームは？ アッ、もう分かる、見る前から分かる。まぶしい。超まぶしい。別次元だ。マスコミが逆に引いていく、あの伝説的オーラが、こんなに近くで感じられるなんて。あっ……無理！かっこいい！かっこよすぎて無理！和服！ああ！ああ〜！！

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眩しさで目が眩んでしまい、見逃してしまうところだったが、他の３人もめちゃくちゃかっこいい。流石シグルイさんが選んだ３人だ、スター的カリスマがある。まあ、サキはちょっと怪しいが、あのシグルイさんを前にしても全く動揺しないあたり、度胸のある人だ。

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「や、やっぱり緊張するよ〜」 とはいえ、カメラはやっぱり怖いよなあ。シローはサキに同情を寄せた。 「みんな、ジャガイモさん、思うのね。ダイジョーブなのね」 ヨーコさんが励ましてる！微笑ましいなあ。 「ジャガイモはちょっと……」 サキさんの倫理観が是としないらしい。

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大丈夫ですよ！マスコミなんて、シグルイさんの前ではジャガイモみたいなもんですよ！ 「ンー、じゃあ、ニンジンさん？タマネギさん？」 さん付けするのかわいいな。 「なんか、カレー食べたくなってきた」 エースケがシローの隣で呟く。 「シャケならどうだ？」 シグルイさんが喋った！！

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「だめです！全員倒したくなっちゃうじゃないですかぁ！！」 有名アルバイターの魂の叫び。キサラギとロックがうんうんと頷く。 いいんですよそれでも。倒しちゃえばいいじゃないですか！シグルイさんがシャケって言ったらみんなシャケなんだよ！！もちろん俺も！！

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「間とって、パイナップルさん、いくのね！ね！」 どう間をとったのかはさておいて、パイナップルさんはなかなかいい案だ。 「分かった、パイナップルさんでいくわ」 はい、今からマスコミのみなさんはパイナップル！決まりました！拍手！ 「じゃああたいたちはカステラにしとくか？」 ねーちゃん！！

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「だめっす、全員食べたくなります、それ」 キサラギが抗議した。この人が言うとマジで説得力あるな。 「ナマコ……」 フライオクトのハチさんが参戦してきた！ナマコ？まさかのナマコ！？ 「ハチちゃん、ナマコ好きなの？」 ナナイが問いかけると、ハチは首を横に振る。むしろ嫌いっぽい？

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「大喜利コーナー中、悪いけどさあ。マスコミの人権を侵害するのもここまでにしとこうぜ？」 サキモリのクライスから正論が出てきた。この人が一番この中で胡散臭いのに、なんで正論言われなきゃいけないんだ？おかしいよこの世の中は！

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「俺なら海老天にするけどな」 「なんやかんやてめえも乗ってんじゃねえか！！」 ねーちゃん！ナイスツッコミだ！ 「騒々しいわ」 「あー、ハイハイ、すいませんでした」 アヤメのお叱りで、彼は口を閉じた。飄々としているが、何だかんだアヤメの言うことは聞くらしい。

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「えー、皆様、大変お待たせいたしました！」 右側から聞き慣れたアナウンス。いつも実況しているあの人だ。 「これより、サイキョー杯決勝トーナメントの抽選会を開始いたします！」 カメラのフラッシュが瞬く。眩しさに目が眩みそうだ。

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「抽選方法は至ってシンプル！あみだくじでございま〜す！」 どこからともなく、巨大なボードがやってきた。 ４本の縦線に、４つの番号。下の方には、ＡとＢが交互に２つずつ書かれている。あみだはまだ引いていないようだ。

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アヤメの鉄面皮が、ぴくりと動いた。その様子にいち早く気づいたのは、クライス。 「あらまあ、予想外ですね？」 彼女の気持ちを代弁する。……そう、サキモリにとって、これは想定外だ。抽選方法はくじ引きだったはず。

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「じゃんけんで勝ったチームから順に、番号を選んでいただきます。皆さんが選び終わったあと、あみだを引きまして、結果をお出しします！えー、それではですね、チームから１人代表を選んでいただいてもよろしいですか？」 各チームで固まって、作戦会議が始まった。

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「どーする！？聞いてねえぞ！？」 「ねーちゃん、声でかいって！」 カマトットは小さな円陣を組んで、互いの額をくっつけ合わせていた。そんなに密着しなくてもよくない？ 「お、おいっ、じゃんけん強ぇやついねーのか？」 「アカネの姉御がつよそうすけど？」 エースケが言うが。

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「ば、ばか！あたいはじゃんけんだけは……からっきしなんだよ……」 声量が萎む。 「うん、じゃんけんすりゃいっつも負けるから、我が家でなんか決めるときはプロレスすることになってんだよ」 「「すごい家庭だ……」」 エースケとキサラギは同時に引いた。プロレスだとアカネがだいたい勝つ。

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「シローは？」 「うええ！？俺！？やだよ！」 シローもそこそこ負けるタイプなのだ。 「じゃ、私行こうか？」 キサラギが名乗りを上げた。 「「「よろしくお願いしやっっす！！！！」」」 「ま、何番でも別にいいよね」 「おうよ！」