ぱすイカ二次創作21

一応最終回のつもり 要望があったら短編とか書くつもりなので要望がある方はちゃんと要望出してくれると助かります みんな読んでくれてありがとな!! 書いたもの https://togetter.com/id/pascal_syan 2019/11/24追記:つづきや短編はトゥギャってないけど、#ぱすイカ二次創作 で検索するといろいろ投げてあります!
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「ありました!」 スタッフの一人が声高に叫ぶ。 「不正な装置が取り付けられています。証言のものと一致します!」 会場は、より一層ざわつく。 「ブキの不正な改造に相当する。大会の規定に則り、チーム・サキモリの試合出場権を取り消しとするッ!」

2019-09-25 15:24:03
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あ……」 アヤメが、ふらつく。支えを失ったかのように、その場に座り込んだ。 「え、ええと、じゃあこの試合、どうなるの……?」 サキが戸惑いの声をあげる。 『と、いうことは、ええっと……不戦敗……で、処理、ですか?』 アナウンスが代弁してくれた。

2019-09-25 15:26:44
ぱすかる❄ @pascal_syan

「その通り。よって、チーム・無銘の、不戦勝となるッ!」 会場のざわめきが、徐々に色を変える。 不戦勝。決勝戦で、不戦勝ということは…… 『さ、サイキョー杯優勝はっ……王者シグルイ率いる、チーム・無銘となりますっっっっ!!!!』 若干戸惑いはあるけれど、歓声がスタジアムに鳴り響いた。

2019-09-25 15:29:27
ぱすかる❄ @pascal_syan

「う、嘘でしょ!?!?」 真っ先に反応したのはサキだった。 「こ、こ、こ、こんなの、ある!?ええっ!?た、戦うつもりで来たんですけど!私たちーーーっ!!」 チーム全員がそのつもりだったのだ。毒インクにやられてしまう覚悟をした上で、試合に臨んだのに……

2019-09-25 15:31:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

『え、ええーと、……よ、予想外の事態で、私頭が混乱しています…!』 アナウンスも困惑しているようだ。 その横で、スタッフに連れられて、サキモリの面々が退場していくのが見える。 クライスと双子は平然としているが、アヤメは項垂れていた。歩くのもやっと、といった様子。

2019-09-25 15:34:52
ぱすかる❄ @pascal_syan

『予定よりも早いですが、優勝セレモニーを開始いたします!が、あの、何ぶん急ですので、少し準備にお時間をいただきますっ!』 そりゃそうだ。まさか試合なしで優勝が決まるなんて、誰も予想していなかったのだから。 「ジジイ……」 シグルイの態度を見るに、彼にも知らせてなかったのだろう。

2019-09-25 15:37:50
ぱすかる❄ @pascal_syan

ゲンイチロウがライブステージから降り、サキたちのいるフィールドまでやってきた。 「と、いうわけじゃ!優勝おめでとうシグ……」 ゲンイチロウの顔面に、黄色いインクがぶちまけられた。 「やるなら事前に知らせろと言っただろうッ!」 シグルイの怒声が響く。マジギレだ!

2019-09-25 15:40:11
ぱすかる❄ @pascal_syan

「儂を殺す気か!?」 「……それに、試合はさせろと言ったぞ。何も聞いてなかったのか?」 「もちろん聞いたし覚えておったぞ。孫の声に耳を傾けぬなど爺失格じゃ!」 「なぜ無視した!?俺たちは全員、戦う覚悟をしていたんだぞ!」 「そうだー!そうだー!」 「そうなのねー!!」 女子が加勢する。

2019-09-25 15:43:01
ぱすかる❄ @pascal_syan

「馬鹿者ォォッ!!」 老齢のものとは思えぬ、一喝! 「かわいい孫を、その片腕を、そして可憐なお嬢さん方を!危険な目に晒すなど!言語道断ッッ!あってはならぬことッッ!何故それが分からぬのだッッ!」 「せめて事前に知らせろッッ!」 「そこは儂が悪かった。ごめんね」

2019-09-25 15:45:31
ぱすかる❄ @pascal_syan

ゲンイチロウは言い訳するように。 「で、でも、言ったら絶対、怒るじゃろ?言えんわ。孫に怒られとうないわ。くすん」 「その愚かな考えのせいで、縁切りを考えるまであるぞ、爺」 「やめんか!やめるんじゃ!爺のことは嫌いになっても、爺のことは嫌いにならんでくれ!」

2019-09-25 15:48:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ま、まあまあまあ、いいじゃないですか!カマトットの試合楽しかったし、あれを決勝ってことにしましょうよ!」 おじいちゃんが可哀想なので、サキは助け舟を出した。 「確かに」 しがみつくおじいちゃんを片手で引き剥がす。 「救われたな」 「そうじゃの……」

2019-09-25 15:52:04
ぱすかる❄ @pascal_syan

『優勝セレモニーの準備が整いました!が、あれ、ゲンイチロウ氏はどこへ?』 「おおっと、早いな。では数分後にまた会おう!表彰台での!」 年寄りとは思えないスピードで、ゲンイチロウは去っていった。 「……おじいちゃん、かわいいのね」 「どこがだ?」

2019-09-25 15:54:35
ぱすかる❄ @pascal_syan

優勝セレモニーが開かれた。 表彰台に全員で登り、暗闇の中、スポットライトに照らされる。 観客席からのカメラのフラッシュが、星空のように瞬く。 首に、メダルをかけられた。金色に光る、美しいデザインだ。

2019-09-25 19:41:55
ぱすかる❄ @pascal_syan

サキは、メダルを手に取り、食い入るように見つめた。この輝きも、首にかけられたときの、ずっしりとした重みも、全部初めての感覚だ。他の3人は慣れた顔だが。 そうか。 私、大会で、優勝したんだ……。 やや他人事のように思う。

2019-09-25 19:45:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

「重たい?」 隣にいるヨーコが問いかける。 「…うん。重たい」 「嬉しい?」 「う、うーん……なんか、夢みたい」 ヨーコはサキの頬をつねった。 「いてててて!?」 「夢じゃないのね〜」 「ふあ、そ、そうふぁへほ、よーほ!ほっへははひへぇ!」 「ウフフ〜」

2019-09-25 19:49:57
ぱすかる❄ @pascal_syan

「お二人共、何をしているんです?」 オクトーが心配そうに声をかける。ヨーコがサキの頬を弄んでいるのを見て、呆れ顔になる。 「撮影されてるんですよ、やめてあげてください」 「そうはほぉ!むえ、戻った!」 「これ、夢じゃない、現実なのね。信じるのね〜!」

2019-09-25 19:53:00
ぱすかる❄ @pascal_syan

ヨーコの笑顔。 釣られて、サキも笑う。 「……えへへ」 『優勝賞品として、賞金と、豪華客船の旅などなど……豪華賞品がそれぞれ贈られます!』 賞品が描かれた巨大なボードが運ばれてくる。 「なにあれ?」 「みんなで持つのね〜!」

2019-09-25 19:59:20
ぱすかる❄ @pascal_syan

四人でボードを持つ……というよりは、2名ほど怪力で持ち上げて、2名ほどは手を添えるだけという形だ。 「ピースするのね、ピース」 「こ、こう?」 表彰に慣れないサキを、ヨーコが陽気にナビゲートする。まるでお姉さんのようだ。実際年上だし。

2019-09-25 20:02:18
ぱすかる❄ @pascal_syan

「こ、こういうのって、後日来る感じ?」 「そうなのね〜」 「ど、どうしよう、口座に賞金入り切るかな?だってこれ節約してれば普通に一生暮らしていけるよ!?」 「サキの目、ぐるぐるなのね。ぶるじょわなのね」 「無駄に裕福になっちゃうよお!」 「…元から高収入ですよね…?」

2019-09-25 20:06:39
ぱすかる❄ @pascal_syan

セレモニーは滞りなく進んだ。終了した瞬間、報道陣が怒涛の勢いで押し寄せる。その後はもう、質問とか、質問とか、無茶振りとか、質問とか、質問とか質問とか質問とか………もう、もみくちゃだった。何を聞かれて何を答えたのか覚えてない。質問が多すぎて!

2019-09-25 20:11:31
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あ~~~っ……」 帰る頃にはもう、日が暮れていた。 「なんか、試合するより疲れた……」 グロッキー状態のサキ。 「妙にハイテンションでしたが、大丈夫ですか…?」 オクトーが心配そうに声をかける。 「大丈夫じゃない!大丈夫じゃないよお!」 「叫べるならまだ元気だな」 「シグルイさん!!」

2019-09-25 20:18:17
ぱすかる❄ @pascal_syan

サキはため息をついてから、空を見上げる。 「なんか…」 他の3人は、静かに彼女の言葉を待つ。 「違う世界に、来たみたい。一ヶ月前までは、味気ない人生だったけど……色がついた、っていうか……」 何と言っていいものか、分からないけれど。

2019-09-25 20:24:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あ、ええと」 サキは咳払いする。 「これだけは分かるんです。この四人だから、ここまで来れたんだって。……本当に、ありがとうございます」 サキは頭を下げた。 「ワタシも、ありがと、なのね!」 ヨーコも頭を下げた。

2019-09-25 20:29:47
ぱすかる❄ @pascal_syan

「こちらこそ、ありがとうございます」 オクトーも頭を下げる。 「俺からも……」 「下げなくていいです!」 「ダイジョーブなのね!」 「無闇に頭を下げないでください…!」 「なんだ、駄目なのか?」 「「「駄目です!!」」」

2019-09-25 20:37:18
ぱすかる❄ @pascal_syan

シグルイはやや不満げだったが、すぐに気を取り直した。 「俺も、感謝しているぞ。この巡り合わせに。願わくは永遠に共にいたいが……」 少しだけ、目を伏せる。 「俺もそろそろ限界だ。いつ戦えなくなっても、おかしくはないだろう」 齢30を越えてもまだ現役でいられることは、奇跡に近いことだ。

2019-09-25 20:45:06
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