オリヴィエ・ブランシャールの積極財政論

MMT的観点で見ると色々と注釈したいところもあるのですが、ひとまずまとめておきます。
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Olivier Blanchard @ojblanchard1

日本は特に悪性の「長期停滞」、つまり、国内の民間需要の不足に直面しています。完全雇用を維持するためには、積極的な金融政策と財政政策が必要になります。金融政策に可能なことは全て行いました。そこで、財政政策の役割が求められます。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

プライマリーバランス赤字を維持し、更には拡大する理由は三点あります。第一に、需要を確保するためです。財政のスタンスが引き締めとなれば、何が需要を確保するのでしょうか?民間の需要が何らかの理由で拡大すれば、財政の引き締め余地があるでしょう。しかし、現時点ではそうではないでしょう。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

第二に、インフレ率がインフレ目標を下回っていることです。インフレ目標の達成は望ましいことです。そのため、経済の過熱をある程度の期間継続する必要があります。それにより賃金と物価が上昇します。プライマリーバランス赤字の多少の拡大が、その達成の助けとなるでしょう。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

第三に、金融政策への負担を和らげ、必要なときに金融政策を活用する余地を作ることです。超低金利は金融のリスクも伴います。プライマリーバランス赤字の多少の拡大が、多少の金利上昇をもたらすでしょう。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

主なモチベーションは需要の確保ですが、プライマリーバランス赤字は供給サイド、成長のために用いられるべきです。橋やトンネルの必要性について懐疑的なことはもっともなことです。それでも、財政を用いるべき良いプロジェクトが数多くあります。例えば、出生率を向上させること、地球温暖化への対処

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

プライマリーバランス赤字の拡大や債務残高対GDP比の上昇は長期的なコストを伴うものでしょうか?その通りです。国債は資本をクラウドアウトするでしょう。しかし、超低金利を反映してリスク調整後の資本の収益率は低く、資本蓄積の阻害に伴う長期的な厚生コストは大きなものではないでしょう。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

高水準の債務はリスキーではないか?その通りです。急停止のリスクは現在も存在し、しばらくは存在し続けるでしょう。しかし、純債務が160%でも、180%でも、140%でもリスクは概ね同じでしょう。流動性の危機に対処する手段を有し、また、意思も有することを日銀は示しています。

2019-05-23 23:27:59
Olivier Blanchard @ojblanchard1

ペーパーへのリンクはこちらです(日本語のペーパーも公開しています)@takeshi_tashiro @PIIE piie.com/publications/p…

2019-05-23 23:27:59