子宮頸がんとHPV感染症

子宮頸がん罹患の最大のリスクファクターは、性交渉によるヒトパピローマウイルスHPV感染とされている。ここでは、子宮頸がん・HPV感染症の疫学、HPVワクチンの有効性・副反応などについてまとめを試みる。
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今井長兵衛 @medanjin

サーバリックスの効能は、添付文書PDF(2019年4月改訂;第12版) s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicin… に記載されており、そこで引用されている下記論文アブスト(PDF) ijgc.bmj.com/content/20/5/8… を併読すると

2019-12-21 15:04:16
今井長兵衛 @medanjin

国内臨床試験において、HPV未感染の20~25歳日本人女性387人にサーバリックスを、対照群392人に不活化A型肝炎ウイルスワクチンを0、1および6ヵ月後に3回接種し、最初の接種後24ヵ月間有効性等が評価された。

2019-12-21 15:06:19
今井長兵衛 @medanjin

6ヵ月定義持続感染(最低5ヵ月間に[同一被験者から採取した]少なくとも2検体で同型のHPVが陽性となること)が生じたのは、対照群3.8%(15/392)に対してサーバリックス接種群では0.0%(0/387)。このデータから、サーバリックスはHPV16/18の持続感染(6ヵ月定義)を100%防止すると記載されている。

2019-12-21 15:12:50
今井長兵衛 @medanjin

1回目ワクチン接種後4年間までの調査においては、12ヵ月定義持続感染(最低10ヵ月間に[同一被験者から採取した]少なくとも2検体で同型のHPVが陽性となること)の発生率は、対照群では4.2%(16/383)、サーバリックス接種群では0.0%(0/382)と記載されている。

2019-12-21 15:21:13
今井長兵衛 @medanjin

前がん病変CIN 1以上 および CIN 2以上の発生率は、それぞれ、対照群で2.0%(8/404)および1.2%(5/404)、サーバリックス接種群では両者とも0.0%(0/406)。これらから、12ヵ月定義持続感染および前がん病変発生予防効果は100%と記載されている。

2019-12-21 15:28:53
今井長兵衛 @medanjin

HPV16/18以外の型に起因する前がん病変発生事例はデータから除外されている。サーバリックス接種群では4年間の調査に382人が参加し、HPV16/18による持続感染と前がん病変の発生はゼロであった。HPV16/18以外の型による持続感染と前がん病変の発生数は記載されていない。

2019-12-21 15:36:50
今井長兵衛 @medanjin

対照群では4年間の調査に383人が参加し、HPV16/18による持続感染は16人(4.2%)、前がん病変CIN 2以上は5人(1.3%)。これより、サーバリックス接種は被験者の1.3%でHPV16/18起因の前がん病変発生を予防したと推計できる。HPV16/18以外の型による持続感染・前がん病変発生数は記載されていない。

2019-12-21 15:56:00
今井長兵衛 @medanjin

添付文書によると、海外臨床試験では、サーバリックスのHPV52とHPV58に対する持続感染・前がん病変予防効果は認められていない。

2019-12-21 15:58:58
今井長兵衛 @medanjin

添付文書には、「抗体価と長期間にわたる感染予防効果及び子宮頸癌とその前駆病変の予防効果との相関性については現時点では明確ではない。」と記載されている。

2019-12-21 16:17:02
今井長兵衛 @medanjin

国内臨床試験では、サーバリックス3回目接種1ヵ月後には高い抗体価が得られ、4年後にはHPV16抗体価(幾何平均)は自然感染による抗体価の43.1倍、HPV18抗体価(幾何平均)は自然感染の20.9倍、また、抗体陽性率は4年後でも100%と記載されている。

2019-12-21 16:22:39
今井長兵衛 @medanjin

海外臨床試験では、HPV16/18抗体価(幾何平均)は1回目接種から7ヵ月目にピークに達し、9.4年後まで自然感染抗体価の10倍以上で維持され、抗体陽性率も100%を維持した。26~55歳の抗体陰性女性対象でも、接種4年後の抗体価は15~25歳女性よりやや低いながら自然感染より高いレベルであった。

2019-12-21 16:24:15
今井長兵衛 @medanjin

このように、サーバリックスは、HPV16/18に未感染の女性への接種で、接種後10年間ていどHPV16/18の持続感染と前がん病変発生を有効に予防できると考えられる。しかし、HPV16/18に既に感染した女性からHPV16/18を排除することはできず、HPV52/58に対する予防効果・排除効果は期待できない。

2019-12-21 16:25:50


(2)ガーダシル

今井長兵衛 @medanjin

ガーダシルの効能は、添付文書PDF(2019年5月改訂;第5版)に記載されている。 s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicin…

2019-12-21 16:27:10
今井長兵衛 @medanjin

HPV16/18関連では、持続感染がガーダシル接種群414人(746.3人年)のうちの1人、プラセボ群416人(731.7人年)のうちの18人で、持続感染又は生殖器疾患がガーダシル群415人(771.9人年)のうちの1人、プラセボ群417人(763.8人年)のうちの18人で確認されている。

2019-12-21 16:30:53
今井長兵衛 @medanjin

添付書類によると、国内試験では、18~26歳女性で初回接種前から3回目の接種の1ヵ月後(試験開始から7ヵ月時)まで未感染であった被験者を対象に、ガーダシルの有効性評価が行われた。

2019-12-21 16:28:01
今井長兵衛 @medanjin

このことから、ガーダシルの持続感染予防効果は94.6%、持続感染又は生殖器疾患予防効果は94.5%と記載されている。

2019-12-21 16:32:02
今井長兵衛 @medanjin

HPVワクチンの問題点は、日本で子宮頸がんからの検出頻度が高いHPV52やHPV58に効果が無いこと。海外の殆どの地域ではHPV16/18の2型の予防で70%以上の子宮頸がんの予防可能と推定されるが、日本ではHPV16/18/52/58の4つの型をカバーしないと70%を超えないと推定される。 jstage.jst.go.jp/article/naika/…

2019-12-21 16:41:03


7.HPVワクチンの副反応


(1)サーバリックス

今井長兵衛 @medanjin

サーバリックス接種による副反応は、添付文書PDF(2019年4月改訂;第12版) s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicin… に記載されている。

2019-12-28 16:23:41
今井長兵衛 @medanjin

国内臨床試験において、HPV未感染の20~25歳日本人女性387人にサーバリックスを、対照群392人に不活化A型肝炎ウイルスワクチンを0、1および6ヵ月後に3回接種し、最初の接種後24ヵ月間有効性等が評価された。

2019-12-21 15:06:19
今井長兵衛 @medanjin

国内臨床試験で接種後7日間に記載612例のうち、注射部位の副反応は疼痛606(99.0%)、発赤540(88.2%)、腫脹482(78.8%)。全身性の副反応は疲労353(57.7%)、筋痛277(45.3%)、頭痛232(37.9%)、胃腸症状151(24.7%)、関節痛124(20.3%)、発疹35(5.7%)、発熱34(5.6%)、蕁麻疹16(2.6%)。

2019-12-28 16:28:03
今井長兵衛 @medanjin

海外臨床試験では、接種後7日間に記載された副反応のうち、注射部位の副反応は、疼痛90.3%、発赤46.6%、腫脹43.0%。全身性の副反応は、疲労35.9%、筋痛35.0%、頭痛29.7%、胃腸症状14.1%、関節痛13.5%、発疹5.5%、発熱7.1%、蕁麻疹3.1%。

2019-12-28 16:28:58
今井長兵衛 @medanjin

重大な副反応として、①ショック又はアナフィラキシー、②急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、③ギラン・バレー症候群が記載されているが、いずれも「頻度不明」という注釈が付けられている。

2019-12-28 16:29:39