「相対論への道」 by @kanaya 先生

@kanaya 先生の6/3の連ツイ。近代物理の発展に関する解説。連ツイ後のやりとりを含む。
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いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(1)物理現象を時間と空間に分けて考えたのはガリレオ・ガリレイである。彼以前は、物理現象を時間で計るという発想はなかったようである。振り子時計がガリレオによる発明であることを思い出せば、当然かも知れない。

2011-06-03 12:11:25
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(2)ガリレオは、航行中の帆船のマストの先からボールを落とすとマストの根元に落ちることに何らかの理由を求めず、「宇宙はそのように出来ているのだ」と主張した。これをガリレイ相対性と言う。

2011-06-03 12:11:41
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(3)ガリレイ相対性と、当時ケプラーによって発見されたばかりの惑星の運動法則から、アイザック・ニュートンは画期的な法則を発見する。一つは万有引力(重力)の法則。ニュートンによると重力は質量によって生み出される.もう一つは運動の法則。

2011-06-03 12:11:50
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(4)巨視的に見て、我々が感じる力は二数類しかない。重力と電磁力だ。そのうちの半分をニュートンは体系づけたのみならず、運動の法則まで発見している。運動の法則は運動方程式と呼ぶ。

2011-06-03 12:12:01
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(5)運動方程式の主張はこうだ。物体に力を与えなければ、物体は等速直線運動をする。物体に力を与えれば、物体の運動量が変化する。運動量とは、物体の質量と速度を掛け合わせたものだ。ニュートンはまた「運動のしにくさ」としての質量を定義した.

2011-06-03 12:12:11
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(6)運動方程式によると、物体の運動量の「時間当たりの変化率」は物体に加わった力に正確に比例する。この時間当たりの変化率という考え方はニュートンによって初めて明確にされた。ニュートンは時間微分を発明したのだ。

2011-06-03 12:12:20
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(7)ニュートンはもう一つ重要な考え方を残している。力や運動量(或いは速度)がベクトルであるということである。ベクトルは大きさの他に向きを持つ量で、足したり、何倍かにしたり出来るが、数ではない。

2011-06-03 12:12:42
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(8)ニュートンはガリレオ以来の時間と空間の厳密な区別を継承し、それぞれ絶対時間、絶対空間と名付けた。絶対空間はユークリッド幾何学そのもので、運動の問題は方眼紙の上に図を描くのと同じになった。

2011-06-03 12:12:53
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(9)ニュートン以降の問題は、不可思議な電磁現象に関する法則を見つけるだけだと誰もが思っていた。それは運動方程式や重力がそうであるように、絶対空間上の作図問題でなければならなかった。

2011-06-03 12:13:03
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(10)永久磁石が地球の南北を向く性質を持つことはガリレオ以前から知られていたし、静電気の存在も知られていた。雷が静電気と同じ性質を持つことさえベンジャミン・フランクリンの実験によって確かめられていた。

2011-06-03 12:13:11
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(11)クーロンは電荷の存在を予言し、電荷の間にどの様な力が働くかをクーロンの法則として発表した。例えば、プラスチック製の定規をセーターの擦り付けて、そのあと頭の上に持って行く遊びはクーロン力のおかげである。

2011-06-03 12:13:20
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(12)その後電磁現象は無数に見つかることになる。ヘルツは電波を発見し、マルコーニは無線通信機を作った。アンペール(アンペア)は電荷の流れ(電流)が方位磁針の向きを変えることを発見した。

2011-06-03 12:13:27
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(13)無数に見つかる電磁現象を、マクスウェルが後にマクスウェル方程式と呼ばれる一揃えの方程式にまとめ上げる。その方程式は電気と磁気に関するもので、電気と磁気と光が同じものであることを示唆していた。

2011-06-03 12:13:36
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(14)ここに困った問題が持ち上がる。マクスウェル方程式の主張は、ガリレイ相対性と相入れないのだ。ガリレイ相対性によれば、物理現象は足し算で合成できる。方眼紙の上に、直線を繋ぎ足していくイメージだ。

2011-06-03 12:13:47
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(15)マクスウェル方程式が予言する電磁現象は違う。もし足し合わせを実行しようとすれば、絶対空間である方眼紙か絶対時間である時計のほうを歪めなければならなくなってしまうのだ。ローレンツは方眼紙の歪め方を発見し、ポアンカレは時計の遅らせ方を発見した。

2011-06-03 12:13:55
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(16)一方,アルベルト・アインシュタインはローレンツたちとは独立にマクスウェル方程式に取り組んだ。彼は最初から絶対空間,絶対時間という考え方を捨てて、時間と空間が一体になった時空間というものを考えていたようだ。

2011-06-03 12:14:02
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(17)時空間で考えれば、マクスウェル方程式は新しい相対性に従う。この相対性はアルベルトによって特殊相対性と名付けられた。あらゆる慣性系(つまり特殊な系)から見てマクスウェル方程式がその形を変えないからだ。

2011-06-03 12:14:07
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(18)若きアルベルトの師匠であったミンコフスキーは、特殊相対性に見事な幾何学的解釈を与えた。簡単に言うと、横軸に空間、縦軸に時間を取る。運動する系は、時空間の回転である。この回転によって、時間と空間が混ざり合う。

2011-06-03 12:14:17
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(19)ミンコフスキー時空間では、ガリレイ相対性は単なる平行移動(つまり無変換)だが、特殊相対性は回転変換なのだ。(虚時間を導入することで回転変換になる。一般の時間を使った場合は押しつぶす一次変換。)

2011-06-03 12:14:28
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(20)ただアルベルトはこの理論に満足しなかったように思う。自ら特殊と名付けたこともその証拠かもしれない。理由は巨視的な力の一つである重力を考慮に入れられなかったからである。つまり、ニュートンとは反対側の半分しか満たしていない。そして両者はまだかち合ったままだった。

2011-06-03 12:14:38
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(21)一般相対論は特殊相対性を加速する系つまり一般系にまで拡張したものだ。なぜ加速系を考えると重力を考えることになるのか。アルベルトはガリレオのように「宇宙はそのように出来ている」カードを切る。

2011-06-03 12:14:47
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(22)アルベルトは「加速度と重力は区別できない」と主張する。これを等価原理と呼ぶ。そして加速系でも局所的には特殊相対性が成立すると仮定する。ニュートンは重力の原因としての質量と、運動のしにくさとしての質量を主張したが、アルベルトはその二つを同じ物にした。

2011-06-03 12:14:59
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(23)一般相対論では、場所によって時空間の回転の分量が異なると主張する。重力の大きなところは(つまりそれだけ加速しているところでは)時空間の回転の度合いも大きい。

2011-06-03 12:15:09
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(24)ニュートンが主張したとおり、重力は質量によって生まれる。質量があるところは時空間が歪む。この歪をアルベルトはリーマン幾何学を用いて記述し、アインシュタイン方程式としてまとめた。

2011-06-03 12:15:17
いち🌻STEAM.fm @kanaya

相対論への道(25)アインシュタイン方程式は、アルベルトが修正した重力の法則である。一般相対論によって、電磁力と重力は同じ枠組み(リーマン幾何学)の中で説明が可能になった。これが、ガリレオからアルベルトへと受け継がれた相対論への道である。

2011-06-03 12:15:57