エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~7世代目・その2~

ウルトラマンの子作りってどんなだろうな…。 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ
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まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 21852 pv 167 2 users

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まとめ エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~7世代目・その1~ 7世代目まで来ちゃったよ。 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ 8178 pv 7 1 user

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ この物語はエルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系のウハウハドスケベファンタジー 今は七代目キージャの話。一族に伝わってきた美しい女奴隷が大好き。だからめいっぱい美しく着飾らせたうえで、めいっぱいいじめたい。でも故郷の影の国にはろくな服がない。なら自分で作る。

2019-12-13 20:49:24
帽子男 @alkali_acid

かくしてキージャは船に乗り、絨毯の名産地である安息の国をめざす。機織とできれば裁縫を教えてもらうためだ。途上国から先進国への留学です。 旅はいたって順調。なのでキージャの方はまた少し置いといて、影の国内外の話を少ししよう。

2019-12-13 20:51:09
帽子男 @alkali_acid

影の国を治めるのはキージャの父であるダウバ。エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の六代目。黒の料り手、つまり料理人。縦にも横にもでかい巨漢だ。 影の国の属領である魔の国の君主でもあるが、政(まつりごと)にはほとんどかかわらない。ただし敵が攻めてくれば釜茹でにして料理する。

2019-12-13 20:53:03
帽子男 @alkali_acid

普段のダウバは、影の国の農場でうはうはと楽しそうに畑仕事に保存食作りにと働いている。だが、近頃はちょっと沈みがちだ。 「何を考えている」 いつも相談に乗ってくれる仙女ダリューテがそう聞く。 「キージャさ無事だべか」 「安息の国は闇の地でも有数の大国。双蛇の女王の治世はゆるぎない」

2019-12-13 20:56:29
帽子男 @alkali_acid

「んだか…だども、やっぱりオラもついてけばよかっただ…体さ二つあればええだども…竜参さみたく真ん中でちょんぎったら二つに分かれねえだか」 「止めせぬが、キージャは二度と父に会えぬかもしれぬな」 「キージャに会えねえのはオラ困るだ…」

2019-12-13 21:00:30
帽子男 @alkali_acid

四阿(あずまや)にある華奢な椅子の上に縮こまって、しょんぼりうつむく巨漢を、向かい合って座る貴婦人は猫を撫でつつ静かに見やる。 「近頃はすこし涼しいな」 「んだ…きっと影の国の真ん中にある火の山さ少し冷えてきとるだ」 「滅びの亀裂を抱えたあの山がか」 「ちょこっとだども」

2019-12-13 21:03:32
帽子男 @alkali_acid

ダウバは先祖伝来の指輪をはめた手を円卓に載せて語る。 「オラの曽祖父(ひいじっ)さまのラヴェインさ歌った火の山さ鎮める歌、初め一時の効き目しかねえと思っただども…んでね。じっさまのマーリの色々なしかけもラヴェインの歌の上さ築かれとる。強い力だど。二人が思っとったよりずっと」

2019-12-13 21:08:40
帽子男 @alkali_acid

「大地の芯とつながる火の山を冷やすほどにか」 「んだ。マーリさこさえた黒玉、東の灯さ、火の山から血吸うようにして力を奪っとる…いずれ滅びの亀裂さ閉じる…オラのはめとるこの指輪、火の山で生まれた指輪さ葬る術さ失われるんではねえかと思う」 「そうか」 「まだ先の話だども」

2019-12-13 21:11:39
帽子男 @alkali_acid

「マーリの作り出した働き手、からくりのしもべどもは止まるのか」 「火の山の力さ奪った東の灯さ脈打つ限りあれらは動く。だども影の国の気候さ変わってくだな。薄焼菓子ちゃんさ好きな温泉も減ってくかもしんねえだ」

2019-12-13 21:15:23
帽子男 @alkali_acid

黒の料り手は親しみを込め緑の谷に住まう貴婦人を薄焼菓子と呼ぶ。 二人がともに得意とする菓子で、好物でもある。 「覚悟はしておこう」 「したら地下宮殿の大浴場さ使ってくんろ、おっどぉのこさえた香り石鹸やら香り湯やら、あそこの内侍(ないし)がたさ気に入っとるようだで」

2019-12-13 21:19:23
帽子男 @alkali_acid

「宮殿はいささか気忙しいのでな」 「んではこの谷の温泉さ枯れたら、かわりに香木で焚く風呂さこしらえるだ」 「気が早いことだ」 「んだか」

2019-12-13 21:21:29
帽子男 @alkali_acid

常若の乙女は、気まぐれな獣が膝から降りてどこかへ散歩へ行くのを見送ってから、また巨漢に顔を向ける。 「枯れると言えば、そろそろ庭に植わったままのの朽ち木を始末したいが」 「オラがやってええだか」 「…私がやるが、お前の許しを得たかった」 「オラがやるだ」

2019-12-13 21:24:22
帽子男 @alkali_acid

「あれは枯れたとは言え、どことも知らぬ地からもたらされた魔樹だ。お前の連れてきたあの竜参とかいう魔草に勝るとも劣らぬ厄介な代物だぞ」 「なおさら薄焼菓子ちゃんにさせらんねえだよ」 「ふ…私を宮殿育ちの姫宮とでも思っているのか」 「んだ」

2019-12-13 21:27:07
帽子男 @alkali_acid

ダウバは答える。 「薄焼菓子ちゃんさ大事なお姫様だ。ずっとずっとそうだども。オラだけでね…おっどぉや、マーリや、ラヴェインや、ナシールもそう思っとるだ」 仙女は鼻で笑ったが、白い頬は薄ら赤く染まっている。 「つまらぬことを。子を七人も生んだ女に向かって」 「んでもお姫様だ」

2019-12-13 21:31:22
帽子男 @alkali_acid

かつての森の奥方が目を伏せると、黒の料り手は指輪をなぜてから告げる。 「だどもバンダは違うだな」 「あの害獣のことはどうでもよい」 「バンダからすっと、薄焼菓子ちゃんさ女神様だ。うはは、オラがそう言ったらきっとバンダさ怒るだども」

2019-12-13 21:33:57
帽子男 @alkali_acid

ダウバは緑の谷の隅にある朽木を引き抜きに行った。 かつて父たる黒の渡り手、家系の五代目オズロウが出会った異界の魔導士から授かった禍々しき妖術の杖が変じたものだ。 オズロウがわだつみの底で最期を迎えた後、自然に枯れたが、仙女は今日まで片付けずにおいたのだ。

2019-12-13 21:36:47
帽子男 @alkali_acid

魔樹は死に果てていたが、しかしねじくれた枝に一つだけ棘だらけの瘤のようなものがぶら下がっていた。 「なんだべ?」 大兵の青年は猿臂を伸ばす。だが触れる前に、竜の黒鱗が指をすっぽりと覆って手袋か籠手の如く守る。 ごつい腕が熟練の農夫の巧みさで奇妙な果実をひねりもいだ。

2019-12-13 21:41:49
帽子男 @alkali_acid

すると待ち構えていたように魔果は棘を太く長く伸ばし、竜鱗の守りをあっさりと貫いた。 「いで…」 実が脈打ち、芽吹き、根を生やし始める。

2019-12-13 21:43:04
帽子男 @alkali_acid

おお何たることか。 異界の魔導士メバカシ、またの名をオークメイジが与えた贈物には幾重もの罠がしかけてあったのだ。 なるほど確かに持ち主たるオズロウが死ねば木は枯れる。だが実を成らさないとは言わなかった。

2019-12-13 21:46:18
帽子男 @alkali_acid

鉄壁の防御を誇ったオズロウを餌食にできずとも、後嗣はあるいは毒牙にかかるかもしれない。 オークメイジは、「良い男」を巡って考えを別にする強敵との戦いで殊勝に敗北を認めたふりをしながら、裏では別の邪悪な企みをなしていたのだった。

2019-12-13 21:48:36
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