エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~7世代目・その4~
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獣に戻った公達は、後ろ足を引きずりながら、湖水へ向かう。 「ワイアル。今は水に漬からぬ方が」 「少し…休みたい…泥竜とともに…キージャ…我が弟子…我が友…もう一つ頼みがある」 「何じゃ。何なりと申せ」 「泥竜を…泥竜(ナイロン)の股引(パンスト)を…広めてくれ…君の世界にも…」
2019-12-20 00:22:14「承知じゃ」 「…ありがとう…いずれ世界は…遍く泥竜の股引に覆われる…あらゆる貴婦人の脚…女武者の脚が…そうすれば…平和が…きっと…」 「ワイアル…」 「さらばだ…創維神カロザースの加護あらんことを…」
2019-12-20 00:23:58みずから見出し、ひとり崇める神の名を口にして、海狸は水中へ没した。 漣が広がり、そうして濡れた獣は二度と浮かび上がらなかった。
2019-12-20 00:24:37黒の繰り手は唇を噛み、やがて虚空に腕を掲げた。 「このような終わり方は気に食わぬ!河エルフがかように滅ぶのは面白くない!天使だの悪魔だの!エルフを虐めてよいのはこなただけじゃ!」
2019-12-20 00:25:49影の国の世継ぎの内側でいまだかつてない魔法が滾り、沸き騰いた。 最前まで激しくぶつかった天使の術をいささか、取り込んでいるかのようだった。故郷の世界に跋扈する精霊の呪文と同質、あるいはかなり近似した体系でもあったから。
2019-12-20 00:27:19乙女にも似た若者の指から銀の糸が無数に伸び、宙で枝分かれして、千の河と万の湖の国の全土に広がってゆくと、あちこちに植わった繭、数千にものぼる合繊の玉すべてにつながった。 「もし!泥竜が石油の穢れを浄化するのなら!妖精の肉の器を穢した天使や悪魔なるものどもも…吸い取り、拭い去れ!」
2019-12-20 00:29:15「しかして霊気は泥竜の糧となり!この世界の理に従い生きよ!無慈悲な神のため破滅の戦を広げる御使(みつかい)でなく!土や水の恵みを寿ぐ民のはらからとして!影の国のキージャ!黒の繰り手かく命ずる!」
2019-12-20 00:33:12妖精と竜と精霊と天使と宙の蜘蛛の力とを糸を撚るがごとくに束ね、呪文として放つと、キージャもまたワイアルのように膝をついた。そうしてゆっくりと薄れ、消えて行った。いずこかへ。
2019-12-20 00:34:50やがて繭の一つが破れ、尖り耳に明るい肌をした常若の丈夫(ますらお)がゆっくりと糸玉を押し広げて外へ出てくる。 「…これは…」 ソユールは手足を確かめ、肩に何かが生えていた傷痕を確かめ、首を振る。 「君が…やったのか…ワイアル…ナイロンで…」
2019-12-20 00:36:52河と湖と森の国の随所で、繭が一つまた一つと割れていった。 妖精の男女が驚きと惑いに満ちた面持ちで、しかしどこか晴れやかに懐かしい地へと踏み出してくる。まるで幼虫が羽化するように、天使も悪魔も、元通りの妖精、古き種族のかたちを取り戻したのだった。ひとりの狂える王子の死力の果てに。
2019-12-20 00:39:19ユルアリエ。大天使だけはなお翼を生やしたまま、繭を破って外へ這い出した。すらりとした脚にまとわりつく股引の艶めく穿き心地に喘ぎつつも、双眸を燃やして。 「ワイアル…」
2019-12-20 00:41:02ワイアルフリート。 皮を変えるもの。海狸の王子の最後の一人。合繊術の創始。維素をきわめしもの、泥竜を産めるもの。誘惑にも天啓にも屈さなかった男の行方は、しかしようとして知れなかった。
2019-12-20 00:42:43ただ河エルフの勇敢な探索者の間には、後になって、未踏の森の奥へ分け入った先で、あのどこか狂おしい鳴き声を聞いたという。 「キー!キキキー!金髪巨乳高慢な美女がぶざまに淫らに屈服しないと生きられない!…キキー!!」 噂を聞けば翼ある乙女はどこへなりと飛んできた。獲物を狙う鷲の如く。
2019-12-20 00:45:12不死なる妖精族の王子と王女が、悠久の果てに再び見えたかどうか。 吟遊詩人も歌い継いではいない。だがこの世には物語に残らざるできごとというのも、あまたあるものだ。
2019-12-20 00:46:37さて、「キージャの世界着だおれ縫いだおれ」シリーズ、 次回は「そ、それは我がゴンダ家の男子にのみ代々こっそり伝わるHENTAI ECCHI CONTENTS アーカイブ!キージャ君!ナゼミテェルンディス」 乞うご期待!
2019-12-20 00:49:12次の話
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