烏賀陽(@hirougaya)さんの「こうして交付金・補助金に頼る町ができてきた」ほか

ジャーナリストの烏賀陽(うがや)弘道さんが、原発などの交付金・補助金に頼る市町村ができた背景をツイートされてます。 最後に烏賀陽さんが取材された南相馬の写真を入れておきました。
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烏賀陽 弘道 @hirougaya

原発(関連の施設でも)立地候補になると、調査費など立地決定まででも大量のお金が投下される。だから立候補すると、お金の魔力にクラクラになります。

2011-06-05 05:06:59
烏賀陽 弘道 @hirougaya

原発ができると潤うのは自治体=市町村「だけ」だと思うのは間違いです。固定資産税だけで自主財源の45年分なんて金(交付金は除いている!!)が入る→地方税は安くなる&雇用が増える→収入が増える→可処分所得が増える→住民がお金持ちになる→(つづく)

2011-06-05 05:11:02
烏賀陽 弘道 @hirougaya

→住民がお金持ちになる→商圏が成立する→大資本が店を開く→コンビニ、ロードサイドストア、モール、ファミレスなどができる→ユニクロ、ABCストア、ステラおばさんのクッキー、ミスタードーナッツ、KFCなど「都会的な」店舗が進出する→街の風景が原色の看板・店舗で埋まる→「都会的」な風景

2011-06-05 05:14:24
烏賀陽 弘道 @hirougaya

つまり、原発&関連施設がもたらすものは住民にとっては「お金」ではなく「都会からやってきた大手資本のモノ、グッズ、食べ物、衣服、ファッション、消費空間(店舗そのもの)など」なのです。

2011-06-05 05:16:14
烏賀陽 弘道 @hirougaya

そういう「都会からやってきた大手資本のモノ、グッズ、食べ物、衣服、ファッション、消費空間(店舗そのもの)など」ができると「最近はこのへんも開けた」「都会になった」「田舎じゃなくなった」などとホイホイ喜んでいたのが私たち日本人の1980年代以降の姿です。

2011-06-05 05:17:25
烏賀陽 弘道 @hirougaya

こうした店舗によって街がフラットに没個性化する様子を三浦展氏は「ファスト風土化」と呼んでいます。三浦さんは新潟県の出身で、ファスト風土によって故郷が無機質な風土になったことが執筆の動機だったと「ファスト風土」という本で述べています。

2011-06-05 05:19:27
烏賀陽 弘道 @hirougaya

実は、こうした原発(と類似した迷惑料経済)マネーがめぐりめぐってファスト風土になっていくグッズの中には「CD」や「渋谷系」ファッションがあり、店舗としてはパルコがありタワーレコードがありHMVがありました。

2011-06-05 05:21:42
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「全国総渋谷化」を拙著「Jポップとは何か」(岩波新書)で書きました。あの現象の財源のひとつは原発をはじめとする「迷惑料経済」「地方開発マネー」だったんだなあといま理解しつつあります。

2011-06-05 05:23:27
烏賀陽 弘道 @hirougaya

かっこいい渋谷系ファッション(といってもライトオンとかユニクロですが)に身を包みたい、自分の故郷を(蔑視的な)「イナカ 」じゃなくて「都会」と思いたい、という人々の願いは切ないのです。それをかなえたのが原発だった、というのがまた悲しい事実です。

2011-06-05 05:28:33
烏賀陽 弘道 @hirougaya

1960〜70年代、日本にはまだ「低開発地域」が国内に残っていました。農林漁業を主産業とする地域です。鉱工業地帯や第三次産業地帯(都市部)に比べると明らかに可処分所得や賃金が低かった。その「国内南北問題」を埋めるためにいろんな政策が取られました。地方交付税とか補助金とか

2011-06-05 05:41:06
烏賀陽 弘道 @hirougaya

米軍基地、原発、公営ギャンブル、廃棄物処理場、飛行場など「迷惑施設」を受け入れる自治体に払われる「交付金」「補助金」という名の「迷惑料経済」もそのひとつです。

2011-06-05 05:42:22
烏賀陽 弘道 @hirougaya

バブル景気の1980年代後半になって、こうした「国内南北問題」は姿を消す=政治的議題として存在感がなくなります。本当に問題が解消したのかどうかは別です。

2011-06-05 05:43:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

賃金の低い「低開発地域」から賃金の高い「高開発地域」に働きに行って格差を埋める労働力移動を「出稼ぎ」といいます。かつての「東北→東京」あるいは「九州→大阪」の出稼ぎはそうでした。

2011-06-05 05:45:59
烏賀陽 弘道 @hirougaya

農漁林業従事者が都会に行って事務職になるのは難しいので、慣れ親しんだ肉体労働に従事することが多かった。大阪の西成や東京の山谷にはそうした出稼ぎ労働者たちの街ができた。インドやアフリカの都市部では、こうした流入人口の街は「スラム」と呼ばれています。

2011-06-05 05:47:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

いま、日本のほとんどの地域は「高開発地域」になって賃金も上がったので、低賃金の「低開発地域」は外国になりました。中国や中近東からたくさんの出稼ぎ労働者が来ています。彼らは80年代以前は「日本国内の低開発地域」の人々でした。

2011-06-05 05:50:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

出稼ぎ労働は家族が一時的に離散する労働形態です。できることならやりたくない。日本国内の低開発地域から「出稼ぎ」を追放することは、地元の人たちの悲願だった。

2011-06-05 05:51:43
烏賀陽 弘道 @hirougaya

さて、原発や使用済み核燃料再処理施設はどこにあるか思い出しましょう。それが都会にないのは「危険だから」なのですが、それ以上に「国内高度開発地域だった都会には受け入れるインセンティブがなかったから」です。

2011-06-05 05:52:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

福島、青森、宮城、新潟、福井…と挙げていくと、原子力施設を受け入れている地域はことごとく「国内低開発地域」だった土地です。出稼ぎの名所ばかりですね。

2011-06-05 05:54:48
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「出稼ぎで家族が離れ離れになるのはいやだ」「汲み取り式便所はいやだ」「お湯が出る家がほしい」「ファッショナブルな服を着たい」「きれいなレストランで食事をしたい」などなどの願いを、誰も非難できません。かつて日本人はそう思っていたからです。

2011-06-05 05:56:25
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ケネディ大統領が冷戦で分断された都市・西ベルリンを訪問したときの連帯のメッセージに「ベルリン演説」=「私たちはみんなベルリン市民だ」ってのがあったけど、それを敷衍するなら「私たちはみんな福島県民だ」というのが適当なのかもしれない。などと思考。

2011-06-05 06:38:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

https://picasaweb.google.com/112808523819835759271/20110425VillageRuinsOfTsunami?feat=directlink 福島県南相馬市 津波で壊滅した集落 「弔いの村」のようになっていた 

2011-06-05 06:01:27