「物語分析のいろは」とは?「個人的2010年代映画ランキング」から共通項を分析!

個人的な2010年代映画のベストを決め、その共通項を探る過程で物語分析の仕方の一例を紹介します。 前半はランク付けの経緯、後半が分析です。
46
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

スリービルボード:勤務態度の悪かったディクソンが他者の痛みを知り心の平穏を与える(ディクソン視点。この作品はディクソンのほうが主人公的旅路を辿っている) ヒックとドラゴン:軟弱で落ちこぼれと思われていたヒックがドラゴンと出会いコミュニティに平穏をもたらす pic.twitter.com/vbj0xuMVpK

2020-01-01 19:31:23
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

スパイダーバース:未熟な少年が新たなスパイダーマンとなり中年スパイダーマンの心のモヤを払いコミュニティに平穏をもたらす pic.twitter.com/F45wEcvkuC

2020-01-01 19:31:24
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

更に、 「自身の価値観と相反する相手と対立し、感化され、和解し、成長する」 という展開も共通して見受けられる。 マックスはフュリオサとすずさんは径子とおっこはピンふりとボンドはMとpic.twitter.com/OKfsVqa9hV

2020-01-01 19:31:26
拡大
拡大
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

ディクソンはミルドレッドとヒックはストイックとマイルスはピーターと、といった具合だ。 pic.twitter.com/0Xf9dAetB3

2020-01-01 19:31:28
拡大
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

『スリービルボードはなんで主人公じゃないの?』 とか 『スパイダーバースはむしろピーターのほうでは?』 といった疑問が出ると思うが、物語論的観点では一般的に言われる「主人公」という概念は使用しない。 「視点人物」として、ある種平等に捉えられる(脇役等は別)

2020-01-01 19:31:28
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

スリービルボードは三人視点人物が居る映画だし、スパイダーバースはバディムービー的側面が強い。 スパイダーバースはピーターの視点から語ることも出来るだろう。ピーターも「未熟でアイデンティティが不明確な人間」だ。 pic.twitter.com/PPpbc9ZqmZ

2020-01-01 19:31:32
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

特に深く考えず、印象に残った作品、繰り返し見た作品、ハマった作品を列挙して選出したランキングだったが、実際に分析してみるとこうも物語構造が共通してるものかと驚いた。 (「スパイダーバース」は「ヒック」と明らかに似ているとは思っていたが) 自分はこういうパターンの物語が好きなようだ。

2020-01-01 19:31:32
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「片隅」以外は『誰かのために鋼の精神力で大きな困難に立ち向かう人物の意思の強さの美徳』という点も共通している。

2020-01-01 21:35:53
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

むしろ自分的に一番アツい要素「誰かを助けるために必死に行動する」という要素だと思う。ここで不合格になった候補作が多い。 元来宮崎駿信者なので、そういうモチーフに弱い。 宮崎作品の主人公は「悪を倒す」といった動機ではなく、「誰かを助ける」という目的で奔走する。 pic.twitter.com/OorSGpiLib

2020-01-01 21:47:44
拡大
拡大
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

候補に挙がった作品は、完成度の上だったり部分的に好みな点はあっても、総体としてこの構造を満たしてなかったのだと思う。 個人的な分析は以上。

2020-01-01 19:31:32
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

本レビューをご覧になった皆さんも自身の10年間のベストを俯瞰して、プロップの機能論的に分析してみてほしい。きっと自分の「好み」がわかるはずだ。

2020-01-01 19:31:33
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「ライバルキャラ」といった捉え方はやめたほうがいい。「自身の価値観と相反し対立している相手」だ。 「ライバル」と言ってしまうとそう見えない者が必ず出てくる。ピンふりやミルドレッド等はいいMやストイックはそうは見えないはずだ。 pic.twitter.com/svDLLRGwPK

2020-01-01 19:31:34
拡大
拡大
拡大
拡大
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

物語分析(レビュー)は、抽象的なイメージや観賞時に抱いた感覚をいかに具体化、言語化するかにかかっている。本レビューではその方法の一例と分析の過程を書いた。 こうして「物語の構造」を自分の脳内にストックしていくと、多くの無関係に見えた作品が繋がっていく「語り」がより深くなるはずだ。

2020-01-01 19:31:35