エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~8世代目・その9~

クソババア好きの気持ちが抑えられなかった。 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜マジッグアンドウィザーズネタトークにでもどうぞ
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まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 21846 pv 167 2 users

まとめ エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~8世代目・その8~ 海馬はチェスが得意。 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜マジッグアンドウィザーズネタトークにでもどうぞ 4092 pv 3
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ この物語はエルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系のウハウハドスケベご都合ファンタジー。略して #えるどれ つまりは自由と隷属の物語でもある

2020-01-30 21:12:26
帽子男 @alkali_acid

かつて狭の大地に降臨した力ある精霊達、光の諸王は自由を尊んだ。 だがその自由とは、正しいふるまいをするものにだけ許された自由だった。 過てるもの、過ちに導こうとするものに、神々は厳しい罰を下した。 しかし過てるものは後を絶たなかった。

2020-01-30 21:15:20
帽子男 @alkali_acid

光の諸王はみずからが世界に与えた正しい教えを疑うことはできなかった。 いや合議し反省し方向を変えることはあった。しかし「正しい教えを与える」ことそのものに疑いはさしはさめなかった。 なぜなら、神々を崇める民もまた、教え導いてくれるものを望んだから。 世界は余りに厳しく迷いに満ち、

2020-01-30 21:17:31
帽子男 @alkali_acid

いささかなりと苦しみ少なく、幸せに生きるめに道標を授けてくれる存在を大多数が欲していたから。 もちろん、正しい教えをはねつけるものもわずかながらいた。 東には邪悪な誘惑をしかける闇の女王や影の国があり、正しい教えを支持する自由の民をたぶらかそうと付け狙っていた。

2020-01-30 21:20:38
帽子男 @alkali_acid

故に正しい教えのもとの自由がどれだけ幸せであろうとも、光の側から闇の側へ走るものは後を絶たなかった。安寧も平穏も、つなぎとめておけなかった。 光の諸王は、民のために軍を興し、闇を討った。幾度も。 だがどういう訳か、常に魔性は再び蘇り、新たな叛徒を獲得する。

2020-01-30 21:24:32
帽子男 @alkali_acid

弱きもの、苦しむものの嘆きは神々の座す西の果てに達した。 正しき教えと導きを我等に。再び保護を与え給え。 かくて使節が遣わされた。灰の伝道術師と褐の調教術師。 うわべは痩せがちな老女と太りじしの老女。 だが内に秘めるは光の諸王の眷属たる精霊の力。灰の媼はさらに別種の力も隠していた。

2020-01-30 21:29:33
帽子男 @alkali_acid

オローレイとアイウェンディ。 二人は、狭の大地における光の諸王の庇護に服する、妖精族の拠点、船作りの港に降り立った。 茶色の魔法使いが鼻をうごめかせる。 「おや。この港からもう闇の匂いがするねえ…姐(あね)さん」

2020-01-30 21:32:51
帽子男 @alkali_acid

「なら始めようじゃないか。ここから。大掃除をね」 灰色の魔法使いは応じると、出迎えにあらわれた港の長、遠い昔に船上から西の光を目にした上妖精のひとり、ニムディアに近づいた。

2020-01-30 21:34:27
帽子男 @alkali_acid

「至福の地からの使節を迎えるのは光栄のいたり」 齢を知らぬ美丈夫は胸に手を当てて静かに告げる。 烏のように痩せた老婆はじろりと眺めやり、鼻を鳴らすと、返事をせずに横に並んだ相棒に尋ねる。 「こいつだね」 「間違いないねえ。くさくてたまらないよ」

2020-01-30 21:36:20
帽子男 @alkali_acid

オローレイは骨ばった指を伸ばしてぶっきらぼうに命じた。 「よこしな。あんたの持ってる闇の魔法の品を」 ニムディアは淡々と応じる。 「…偉大な魔法使いよ。あなたが仰っているのが何であるにせよ、この場でお答えはしかねましょう」 「ならさっさと邪魔の入らない場所へ案内するんだね」

2020-01-30 21:39:52
帽子男 @alkali_acid

精霊二柱と上妖精一人は、港の大渠の外れにある船廠の一つへと向かった。 樫の扉を締め切った奥で、灰の伝道術師はあらためて船作りの長に迫った。 「さあ。呪具を渡すんだ」 「仰っているのはこの指輪のことだろうか」 美丈夫は利き手を掲げる。燃えるような紅玉のはまった指輪が嵌っている。

2020-01-30 21:45:37
帽子男 @alkali_acid

二人の媼はとっくりと眺めてから会話を交わす。 「船大工にしちゃしゃれたもんをつけてるね。どうだいアイウェンディ」 「鼻の曲がるような闇の魔法だよ。だけど…妙だね。光の魔法も匂う。闇の匂いに隠れてるけど、光の方が強いかもしれないよ」 「闇と光がひとつところにあるってのかい」

2020-01-30 21:47:54
帽子男 @alkali_acid

船作りの長は落ち着いた口ぶりで話す。 「この指輪は、私を支え、多くの仕事を助けてくれた。港に災いをもたらしたこともない。贈ってくれたのは、相手に害を与えようなどとは決して考えないものだった」 「はっ…だが影の国。そうだろう?影の国の細工だ」 「ええ」 「いいかい」

2020-01-30 21:50:04
帽子男 @alkali_acid

「影の国の細工ってことはどんなものであっても、あの女、闇の女王ゴルサイスの息がかかってるんだよ。妖精の指輪だけはそいつから逃れられるなんて、いくらなんだって都合がよすぎる話さね。すべてを見つけ、すべてを捕え、すべてをつなぎとめる。そうだろう」

2020-01-30 21:52:38
帽子男 @alkali_acid

「私は、この指輪を贈ってくれたものを信じる。闇に生まれようとも」 「正しい教えに背くつもりかい。過ちだよ」 「いいえ、自らの判断を信じるだけ。偉大な魔法使いよ。例えあなたにであっても、考えを委ねはしない。それだけです」 「はっ、妖精ってやつぁ…いつになったら」

2020-01-30 21:55:23
帽子男 @alkali_acid

オローレイは首を回してから、あらためてニムディアを凝視した。 「なら妖精の流儀に合わせてやろう。この身にはその指輪を受け取る権利がある。その指輪だけじゃない。大宝玉を除き、狭の大地にある魔法の宝玉が嵌まったすべての品を手に入れる権利がね」

2020-01-30 21:58:31
帽子男 @alkali_acid

「あなたは精霊だ。宝玉はもとより妖精の技が産んだもの。何故権利を主張される」 「石頭のニムディア…あんたのために特別に見せてあげよう。アイウェンディ。ちょいと下がりな」 灰の伝道術師は、相棒を遠ざけると、くすんだ外套をはねのけ、丸くなっていた背をまっすぐに伸ばした。

2020-01-30 22:00:43
帽子男 @alkali_acid

丈はぐんと伸びたように思え、老い枯れた体は何倍にも大きくなり、厳めしく恐ろしげになったようだった。次いで内側から純白の輝きがあふれ、あたりを眩く照らした。 眼を潰さんばかりの明るさの中で、船作りの長は息を呑んだ。 「その…姿は…では…あなたは…お前は…」 「そうとも」

2020-01-30 22:02:24
帽子男 @alkali_acid

ニムディアは嘆息し、しばらくじっとしていてから、のろのろと紅玉の指輪を外し、オローレイの掌に置いた。 「あなたは、この火の指輪を贈物として受け取ることもできた。厳しい務めのために、私は喜んで委ねただろう。だが強請りとった。違いは決して小さくない」

2020-01-30 22:04:17
帽子男 @alkali_acid

「つべこべ抜かすんじゃないよ…ほかにも宝玉があるね。どこにある。お言い」 「ご自分で探されるとよい。私はこの港を預かるだけだ」 「光の諸王に歯向かうつもりかい。過ちだよ」 「その指輪だけで満足されるがよい。過ぎた力は身を滅ぼす」 「あたしは滅ぶのが嫌だなんて言ったかい?」

2020-01-30 22:07:14
帽子男 @alkali_acid

灰の伝道術師と褐の調教術師は急ぎ足に去った。 見送った船作りの長に寄りそう二人の奥方はともに愁いを帯びていた。 「あれが西方からの使節」 「今度は、もっと思慮深く、知恵深い方がいらっしゃると思っていました」 「そうれあれば我等妖精は愛し歓迎したでしょうに」

2020-01-30 22:09:51
帽子男 @alkali_acid

港の領主は裸の指を撫でながら答える。 「あるいは…白の錬金術師が存命であれば、そういったものが選ばれていたかもしれない。だがシロキテの謀反が明らかになった今となっては、より苛烈で、西への忠義に疑いなきものが選ばれたのかもしれぬ…いずれにせよ…あの女々(ひとびと)は災いを運ぶ」

2020-01-30 22:13:29
帽子男 @alkali_acid

「誰にとっての災いでしょう」 「…まずは影の国と闇の地…だがそこで終わるかどうか。光の諸王と唯一にして大いなるものが、いよいよ正しき教えに背く一切に裁きを下そうというのならば…あるいは、選ばれたる子等である人間を除き、すべてにとっての災いやもしれぬ」 「妖精にとっても?」

2020-01-30 22:16:26
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