戦国島津氏を読む…『島津四兄弟の九州統一戦』『島津貴久』『中世島津氏研究の最前線』所感まとめ

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日光81 @nikko81_fsi

新名一仁先生『島津四兄弟の九州統一戦』読了。島津義久の苦悩を考えるとこちらまで胃が痛くなりそうな程、義久の立場に興味が深まる。政策決定プロセス、義久自身の性格と健康不安、家中のガバナンスの効かせられていなさ…義久の立場を深く理解し手足となって動ける有能な側近が欲しかっただろうな。

2020-01-04 21:03:06
日光81 @nikko81_fsi

島津氏の宿願たる三州統一を過ぎたあたりで、家中のガバナンスが効かせられていない弱点が露呈してきているし、割りと敗戦も経験しているのに要所要所で勝ちを得る島津は強いというか幸運というか。やむなく義弘を後継指名したとはいえ、読む限り義弘に総大将としての視野は義久に敵わないように思う。

2020-01-04 21:09:33
日光81 @nikko81_fsi

領国拡大に伴い、取次の担当方面の利害対立が起きるあたり、取次ってどこも使いこなしが難しいんだなと実感。こんなに割れた一門、重臣でよくやれたな島津。客観的にみて方針ぐちゃぐちゃだけどもそれでも空中分解しなかったのは義久だからなのかも。そして義久優しいなとも。だから病んじゃうのかな。

2020-01-04 21:16:33
日光81 @nikko81_fsi

この島津四兄弟の戦国時代の状況がなぜ生まれたか…さかのぼって『島津貴久』を読むことと致しましょう。

2020-01-04 21:17:52
日光81 @nikko81_fsi

新名一仁先生『島津貴久』読了。やっぱり信虎信玄勝頼の武田三代を念頭に置いて、様々な観点から比較しながら読み進め、非常に興味深く拝読。守護家の衰退とそれに伴う混乱から貴久『三州太守』までは信虎の甲斐統一と武田支流との戦いを、有力御一家の承認から修理大夫任官あたりは晴信期をイメージ。

2020-01-11 19:03:52
日光81 @nikko81_fsi

義久への家督継承については、武田方としては羨ましく見えた。スムーズな継承は義久の性格に起因するところもあるかなとも感じたが、早期(結果的に貴久が亡くなる時期を考えたらベスト?)の家督継承判断に至れたのはGJか。信玄が第四次川中島あたりで家督継承してるイメージ。

2020-01-11 19:09:27
日光81 @nikko81_fsi

領域支配の拡がりという観点や時系列でみたときの比較よりも、守護家衰退、国衆や一門の乱立から権力基盤や拡がる領域への支配体制を確立し、権力委譲を進めるという、組織の成立から継承という観点で眺めるのがわたしの好みらしい。

2020-01-11 19:13:47
日光81 @nikko81_fsi

『島津四兄弟の九州統一戦』で感じた義久の苦悩を考えたとき、勝久から自立した権力を志向しだした天文初期に総州家奥州家双方から老中を起用してからも、権力を支える人がやはり貴久近い一門からが多い印象で、他所から抜擢されたのは後に義久に近い上井覚兼くらいなのかな?という点が気になった。

2020-01-11 19:23:28
日光81 @nikko81_fsi

と言うのも、本書からは貴久が非常に近しい存在を『育てる』感じがなくて、樺山玄佐にしても姻戚関係による近しさ(そして考えも合ったのだろう)から始まってるように思え、そういう存在の有無が偶発的にならざるを得ない感じがした。

2020-01-11 19:30:31
日光81 @nikko81_fsi

貴久→義久の権力委譲自体はすごくスムーズなんだけど、当主ひとりの采配で組織が管理できないくらい拡張したとき、当主の意を汲んで動ける人を意識的につくるインセンティブが働かなかったんだろうなぁ。ある意味日新斎が長生きして、権威をもって長く後見できたことも影響していたりするかな?

2020-01-11 19:32:19
日光81 @nikko81_fsi

貴久の晩年。連歌和歌好きというのは信玄とも好みが合いそうだなぁとか。加世田に入って名実ともに隠居してから3年後に死去。どう過ごしていたかわからないけど、和歌三昧で過ごしていたらいいなぁ。

2020-01-11 19:38:57
日光81 @nikko81_fsi

後年、義久にしても義弘にしても、長くご意見番だったからか、祖父日新斎と合わせて権威付けに名前を出してるあたり、精神的な部分が日新斎ばかりにフォーカスされ、戦国島津氏の歴史で確固たる存在であるはずの貴久の印象が一般的にやや薄いのは残念かな。

2020-01-11 19:43:12
日光81 @nikko81_fsi

精神的な支柱としての島津日新斎と、目立って分かりやすい武功のある島津義弘に隠れ、戦国島津氏を着実に飛躍させてきた島津貴久・義久にもっとスポットライトが当たってもいいと思う。イイトコを息子に全部持っていかれた武田信虎的な(笑)

2020-01-11 19:45:46
日光81 @nikko81_fsi

今やレア書になりつつある「中世島津氏研究の最前線」を読み進める。島津氏研究の視座を手軽に知れてありがたい。義久義弘の関係性は新名先生の二冊を読んですでに関心の高いテーマだったが、室町~江戸初期の明、朝鮮、琉球との国際関係に位置付けられる島津氏は特に興味を引いた。

2020-02-11 12:24:57
日光81 @nikko81_fsi

島津義弘への権力委譲がはじまる天正十年以降、天正十五年九州平定までの、戦国期島津氏に限られる内容だがそれがよい。あくまで「名代」であり当主義久が上位であり、両殿体制が義久義弘並立ではない…恐らく後年、義久死去後に「島津十七代」と称したように義弘としては…なんだろう。 twitter.com/nikko81_fsi/st…

2020-02-11 12:35:16
日光81 @nikko81_fsi

現代の島津宗家は島津十七代として、義弘を数えていると聞くしその源流は近世薩摩藩の認識の継承だと理解するが、義久の立場と主張を尊重するか、後世にどう捉えられたかを尊重するのかは難しい問題だろう。どちらかに纏めるべき問題ではないなというのが個人的所感。

2020-02-11 12:39:43
日光81 @nikko81_fsi

恒例の(?)武田目線では信玄の勝頼への「陣代」指名と義久の義弘「名代」指名と重なる印象も。例えば義久が秀吉来襲前の早い段階で亡くなっていたケースを想定すると、義弘の権力基盤の不安定さを容易に想像できるし、逆に信玄が長生きした場合の勝頼・信勝との関係性を想像するよすがにもなりえる。

2020-02-11 12:45:31
日光81 @nikko81_fsi

もちろん勝頼の陣代の件は甲陽軍鑑でのみ言及されているという点は理解をした上で。

2020-02-11 12:46:47
日光81 @nikko81_fsi

島津氏と東アジアの国際関係。室町幕府の対明外交と島津氏の関係は全くノーマークだったし、李氏朝鮮との単独通交は興味深い。そして、通交に明るい一方、対明対朝鮮とも通交上の有利な立場をもち得なかった島津氏が琉球に目が向くのは自然とナットク。 twitter.com/nikko81_fsi/st…

2020-02-11 12:57:57
日光81 @nikko81_fsi

中世の薩琉史。江戸初期の島津氏の琉球侵攻に至る前史、知らないことだらけで楽しい。島津氏と琉球が海を挟んだ大勢力として種子島を含む島嶼群が「境目の国衆」のようなみなし方をしてたり、薩琉各々の内部の権力基盤の安定性とその差が外交の態度に出ていたりする点、延長された戦国感がある。

2020-02-11 13:08:27
日光81 @nikko81_fsi

16世紀前半の薩琉停滞を経て貴久段階で交流が再開。安定的な交流関係から薩隅日三州統一以降の島津領国の膨張と豊臣政権・徳川幕府に内包される島津氏という段階で薩琉のパワーバランスに著しい変化をきたしたという点、非常におもしろい。

2020-02-11 13:16:32
日光81 @nikko81_fsi

中世島津氏研究の最前線、読了。修験道を中心とする島津氏の宗教政策、朝鮮出兵時の島津軍による巧みな民政、豊臣政権下における三殿体制確立までの経緯、あたりが興味深いかな。近世薩摩藩の修史事業、大名家として残ったら残ったで、滅亡家とはまた異質の歴史研究の困難さを実感。

2020-02-11 22:39:57
日光81 @nikko81_fsi

すっかり御鬮のイメージのある島津氏。軍配者として兵法家として島津家中で相伝されていく様子に、山本菅助から馬場信春への流れを思い起こす。伊集院忠朗や川田義朗らに関心。相伝される軍配者の諱に「朗」がつく点、興味深い。 twitter.com/nikko81_fsi/st…

2020-02-15 10:42:18
日光81 @nikko81_fsi

朝鮮における還住政策。中世の逃散した民を戻させる戦国大名を思い出した。この民を慰撫する巧みさが泗川の戦いなどの軍事的活躍と並んで「鬼島津」に表現される明・朝鮮側の恐れに繋がってる点に惹かれる。腕っぷしとともに民政手腕で恐れられる島津義弘、というのはわたしの中で新しい。 twitter.com/nikko81_fsi/st…

2020-02-15 10:51:31
日光81 @nikko81_fsi

あくまで義久が当主で名代義弘という段階で剃髪して後退した印象のある義久改め龍伯。豊臣政権への服属過程で個別に降伏、個別に所領安堵するやり方に秀吉いやらしいなぁと思っていたが、ある意味貴久義久期を経て猶克服が難しかった家中各位の自立性ゆえという側面もあり、一定の必然性を感じる。 twitter.com/nikko81_fsi/st…

2020-02-15 10:58:46