エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話（ #えるどれ ）～8世代目・その23～

帽子男 @alkali_acid

死人占い師は微笑しながら、深夜の暗がりに薄明かりを放つ列石の魔法陣に立ち、優雅な辞儀をする。 「勝負の代を決めようか。影の国はこれまで申し出たすべてに加えて、すべての力あるものを狭の大地から退かせると約束しよう」

帽子男 @alkali_acid

「汝にできるのか。小さき半神よ」 「力あるもの、即ち神々はかつて冥皇エルカノールの禁を受け入れた。ならば死人占い師ナシールの禁とて呑もう。あるいは世界の壁の向こうで眠りにつき、あるいは虚無の暗黒の彼方に隠棲する…期限は…この大地を継ぐべき小さきもの、人間が力あるものとなるまで」

帽子男 @alkali_acid

「汝が勝てば何を求める」 「すべての勝負が済んだら、お前達光の諸王が出てゆくのだ。狭の大地から。空間を操る術をもって、西の果てを切り離し、まったき別の世界として暮らすがよい。二度と戻るな」 「…受けよう」

帽子男 @alkali_acid

"合意と見てよろしいですね！" 万物の審判者が確認する。死の男神がぼそりと告げる。 「精霊諸王八番勝負、第六番は風の司。種目は魔法。決着はいずれかが滅ぶか負けを認めるまでとする」 スーリスは竜に等しき大きさの荒鷲となって襲い掛かる。ナシールもまた吸血蝙蝠となって舞い上がった。

帽子男 @alkali_acid

次回、「ドレアムの賭博放浪記」シリーズ、 「出番も残り少ねえんで、手前の役回りをとらねえでいただきてえんでさ」 乞うご期待。