【願ったのは】福間健二 #k2fact250

福間健二 @acasaazul

願ったのは、こういう、家々がふしぎに明るい夜。静けさは下から。光は上から。人はぼんやり。「思い出は性に濡れている」と千石先生は言ったが、思い出してもいい。だれの思想も受けつけなかった大きな木。旅をするとはね。目が追う。いつも半分だけは、汚れていない。（願ったのは１）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

遠いところから来て、ミルキー。大きくなりすぎないうちに裸で、光のうるおいにひたること。衰弱も、次の枝にからむ銀の糸だ。すぐそばで生まれている、悪い方法にさわる指のような、ＳとＨとか頭文字の踊る夜を吸収したいサナギ。たしかにまだサナギ。でも、かみつくよ。（願ったのは２）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

雨がつくるもの。水たまり。ベルの鳴る窓辺のしずく。これもまた、あれもまた。小さな映画だが、心理と青い麦をかくしながら実はありかを教えている灰色のなかに天と地はある。おとなの息も、子どもの息も、含む夜はだれかにやさしくしたい夜。近づいてくる影がある。（願ったのは３）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

晴れた。思い出せないこと。あきらめないこと。それを気にしている目でも、この明るさ。塔から落ちる記号のエキストラを冷遇しない地面。新聞紙にくるんだネギ、輪郭はヒトに似て、広告の臓器という文字に反射する。これか。革命とは。おいしい飴、どんどんなくなるね。（願ったのは４）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

この音にあわてているだろう。母たち。ディケンズ、エイゼンシュテイン、小林多喜二。久しぶりに、枝と葉をもつ事情にも興奮して。虫になったらいい。カーテンをあけると昔食堂だった場所。だれもいない。埃をかぶったテーブルと椅子。笑おう。影でいっぱいになるまで。（願ったのは５）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

やせ我慢。原作ありというわけじゃないけど、それがだれかの冬の帝国を旅してきたということはある。縛ったもの。しゃべったこと。豆電灯のある、窓のない部屋での長い夢のあと、不運がブランコで待っているという構造だ。三月の歌。でも、夜が作ってくれたわけじゃない。（願ったのは６）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

【訂正】 でも、夜が作ってくれたわけじゃない。 ↓ 「夜が僕のために作ってくれた」と越郎さん。 （願ったのは６）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

あっ、船に乗っているんだ。名前を思い出せない港から星と渦巻きの動悸を「取り去り得ない」半島への航海。流行遅れのテルスター、アイスクリームを売る人造人間、ふりだしに戻って早起き鳥。この人のとりつかれている、青い、青い、青いビートは、何を白紙にしたいのか。（願ったのは７）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

存在はしているが、この近くにはいない。そのはずだった。彼女とそれ。静かに眠る人と次の爆発のために世界の入り口をふさぐもの。でも、入りたい。もう春。その教室。掃除、大久保あたりからの風のために。知的好奇心のことじゃないよ。千石先生は七時四〇分にやってくる。（願ったのは８）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

事故。写ってしまった不必要なものからの、地球は丸い、それを実感させる水平線の夢見る人がいればきっとおこること。一ミリの失敗がおおごとになる。次元の問題。仕事ないし、そばで心配してくれる動物もいない彼とそれ。土曜日ごとの悪意。ぶつかった。運がわるかった。（願ったのは９）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

願ったのは、愛。正直に言えば、そうだ。たどりきれなかった稜線、だれの足を洗うのも拒んだわけでもないのに。人の音を聞くのが怖かったときも熱おびる色彩を追って道が放射状になるところに立った。もっと簡単に言うね。きみに会いたかった。好きで好きでたまらなかった。（願ったのは10）#k2fact250

福間健二 @acasaazul

【訂正】 拒んだわけでもないのに ↓ 拒んだわけではないのに （願ったのは10）#k2fact250