2020-03-30のまとめ
日本銀行の資金循環統計によれば,1980年代を通じて,家計の金融資産は預貯金から,株式など有価証券の直接保有や,年金・保険を通じた有価証券の間接保有に,多少シェアが移った。
2020-03-30 00:41:27しかしながら,バブル崩壊後1990年代,2000年以降もその半分強は預貯金であり,家計からの企業への資金の提供パターンには,過去30年ほど,あまり変化がない
2020-03-30 00:41:27企業においては,1980年代を通じて企業間信用と銀行貸出の負債に占めるシェアが減り,株式シェアが増加した。1990年代には,負債の各項目シェアはあまり変わらず,2000年以降は再び銀行貸出の低下と株式の上昇の傾向が見られている(図2A)。
2020-03-30 00:41:29企業の負債(簿価)の内訳(日本銀行資金循環統計) pic.twitter.com/oSS64Id57Q
2020-03-30 00:41:30時価評価と言っても銀行貸出はあまり簿価と変わらないので,負債項目の時価と簿価の違いは株式に主に現れる。そして,実は,バブル期及び2000年以降で株価が高くなってきている状況では,企業負債に占める銀行貸出のシェアは,簿価で見るとあまり動いていないことがわかる(図2B)。
2020-03-30 00:41:31家計の金融資産(現預金の内訳)と企業の負債(銀行借入の内訳)(日本銀行資金循環統計,時価) pic.twitter.com/ahqPWOofzT
2020-03-30 00:42:55家計の資産項目の傾向(時価)においては,前述の通り,特に2000年以降,株式の上昇の影響が家計の資産シェアに見られておらず,銀行預金の比率が同程度で推移してきている。つまり,株価の上昇による資産の増加に伴う程度の銀行預金の増加がある。
2020-03-30 00:42:57時価で見た企業の負債はこれほど上昇していないため,家計と企業だけで見れば,資金供給が十分な状況が続いている(図3)。これは,実質金利が低水準に止まっている一つの理由と言える。
2020-03-30 00:42:58企業の金融資産の内訳(日本銀行資金循環統計,時価) pic.twitter.com/QTK3OiGbpG
2020-03-30 00:42:59利益の高い時に,企業が預金という形でいざという場合に備えるという可能性もある。しかしながら,その現預金の企業の金融資産に占める割合が1980年以降今まで特に高まっているとも思われない(図4)。
2020-03-30 00:43:01なお現預金は内部留保の一部であり,マクロ経済全体では,新たな内部留保が企業部門の資金余剰(貯蓄)ということになるが,2000年以降プラスではあるものの,振幅が大きいことを除けば,特段の傾向が見られるという状況でもない
2020-03-30 00:43:02資本区分ごとのサンプルと母集団(1983-1995年度) pic.twitter.com/fqsnXMphXX
2020-03-30 00:44:23資本区分ごとのサンプルと母集団(1996-2008年度) pic.twitter.com/0mu6Opcv3g
2020-03-30 00:44:24資本区分ごとのサンプルと母集団(2009-2017年度) pic.twitter.com/LHJzZof21u
2020-03-30 00:44:26資本区分を統一した後の母集団(1983-2017年度) pic.twitter.com/Mu0iyygWMJ
2020-03-30 00:44:27法人企業統計における企業の資産の内訳の変遷(各年で30のリサンプルのうちジニ係数が中央値となる3,300社の合計,白地はほぼ有価証券) pic.twitter.com/rOUjkbkvKj
2020-03-30 00:44:28よく現預金を企業が持つのは無駄という見方がされるが,もしそうであれば,現預金/総資産比率(Cash)が,利益率を低下させることとなる。それに対し,むしろ,いざという時の資金調達に難があることを知っている場合,企業はある程度の現預金を手元に置いておこうとするわけであるから,
2020-03-30 00:44:29収益機会を逃さないという意味では,むしろ現預金/総資産比率(Cash)は利益率にプラスに働くということになる。なお,日本銀行の資金循環統計と同じく,法人企業統計においても,現預金/総資産比率は,サンプル期間においてほぼ一定で推移してきていることに留意されたい
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