2020-03-30のまとめ
もしバラツキ自体が,各産業内で大きく異なり,そしてある産業のシェアが国内で増えているのであれば,全体のバラツキがその産業のシェアに依存することとなる。図7は法人企業統計における産業のシェアの推移をまとめたものだが,
2020-03-30 00:47:38実際,工業が趨勢的に低下しつつあり,(小売業,運輸・通信などのぞいた狭義の)サービス業が増加傾向にある。しかしながら,両者とも非常にスムースなゆっくりとした動きをしており,こうした傾向から離れたようなバラツキの動きがあるかが,特に注目すべき点となる。
2020-03-30 00:47:39年度ごとの業種固定効果モデルによる回帰分析の結果(被説明変数は営業利益/総資産比率) pic.twitter.com/e8YeqZHizh
2020-03-30 00:47:40現預金保有比率については,バブル期(1986年)以前では有意な年はないが,その後は多くの年度で有意に正の係数を示している。このことは,バブル期とそれ以後の日本企業における現金保有の有用性を示していると考えられる。
2020-03-30 00:47:40(・д・)ホォー つまり資金の退蔵という見方とは異なっている。実際,企業の流動性(市場性証券含む)保有が2000年代になって日本を含むG7各国で増加していることは以前から知られており,
2020-03-30 00:47:41様々な理由があることも分かっている(早期の論文としてCardarelliandUeda(2006)を参照)。ただし,前述の通り,現預金保有が全体として我が国で増加しているわけではない。
2020-03-30 00:47:42年度ごとの業種固定効果モデルによる回帰分析の結果(被説明変数は営業利益/総資産比率)[30のリサンプルから算出されるジニ係数のうち中央値を示すサンプルを使用した回帰分析の結果] pic.twitter.com/wjiukBXbTR
2020-03-30 00:48:47すべてのサンプルを使った表4の結果とほぼ同じである。むしろ,有意性はより多くの変数と年度で見られる。つまり,回帰分析の結果がよりクリアに現れているとともに,その頑健性が確保された
2020-03-30 00:48:48利益率のジニ係数の変遷(各年において30のリサンプルごとのジニ係数。ボックスの中にある実線が30のジニ係数の中の中央値を示し,ボックスの上が第3四分位点,下が第1四分位点,ヒゲの上下の先端値はそれぞれ最高値と最低値を示す。) pic.twitter.com/6Zs1xxHEIv
2020-03-30 00:48:50(´ω`;) 2003年には,利益率のバラツキはジャンプして高くなっているが,この年は,政治主導の積極的な不良資産問題の解決があり,時価会計の浸透とともに,特殊な年であったためではないだろうか。
2020-03-30 00:48:511980年代,特にバブル期において非効率な資本配分というものが散見できなかった一方,1990年代前半のバブルが弾けた時期に急速に資本配分が非効率になったと考えられる。その非効率性は,そのまま2003年まで高位安定していた。
2020-03-30 00:49:58一方,2004年には統計のサンプリング手法の変化などがあり簡単には比べられないが,それでも資本の限界生産性のバラツキが低下したような状況とは言えず,再び上昇に転じた。2009年の世界金融危機後は,利益率のバラツキは高位安定または若干上昇基調にあるというのが現状である。
2020-03-30 00:49:58これは,利益率の低い企業も温存されていることを示す。世界金融危機時の一時的な影響を除けば,2004年以来,このような傾向が続いている。
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