どんな強い男も雌に変える最凶の魔法少女が誕生する話(#えるどれ)

今回はタイトル詐欺じゃない ハッシュタグは「#えるどれ
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帽子男 @alkali_acid

「獣鬼の戦士を産む肉の蓄えとすべ…さない…ほうが…」 なし。なし。もうちょっと考えよう。 「いいや!!雌に!この大地ことごとく雌にしたのちは!さらに外へ、西の果てにおぼろなる大地が見えるぞ…!かの地をみな雌とせん!さらに失われし影の国を見出し…冥皇を!竜帝を!巨人を!」

2020-04-04 21:26:13
帽子男 @alkali_acid

やるからには徹底しないと。 「いや…でも…まず…ククク…しかるのち再び異界とそれぞれをつなぎ、獣鬼の群を招き入れ、すべてを犯させ…孕ませ…だめ…だめ…だめ…だめじゃない…すっごく楽しい…だめ…」

2020-04-04 21:28:09
帽子男 @alkali_acid

まだ煮え切らないの。 闇の魔女は歪んだ笑みと怯えた面差しを交互に繰り返した。 戦慄は狭の大地からついに外へ広がったかもしれない。 はるかに次元を隔てた冥府では、蝙蝠の翼と竜の脚、山羊の角に鬼の首を持つ闇の君主、冥皇が六腕の一本で器用に碗に入った紅茶を啜りながらふと面をあげた。

2020-04-04 21:31:04
帽子男 @alkali_acid

「何か…寒けがしたような…」 遠く世界の壁を超えた至福の地では、神殿のいや奥に燃える霊気、焔の男神がまばゆいゆらめきをかすかにくすませた。 "妙な冷えだ。とうに肉の器を失った俺が…"

2020-04-04 21:34:11
帽子男 @alkali_acid

再び狭の大地に視点を戻す。 ウィストは、少女の中の少年は必死に沸き起こる破壊と創造の衝動に抗っていた。 「だめ…いい…だめ…いい…こんな…う…」 頭の中に何かがひらめく。 間違いない。今が差し迫った危機。 本当に何もかもがどうしようもなくなった瞬間だ。 「ダリューテさん!!」

2020-04-04 21:38:05
帽子男 @alkali_acid

掌から鏡が飛び出すのを、女童は頭突きで叩き割った。 たちまち漣だつ水面が虚空にあらわれ、華奢な裸身を呑み尽くすと、きれいさっぱりと黒竜の背から拭い去ってしまった。

2020-04-04 21:39:40
帽子男 @alkali_acid

カラはしばらく夢中で飛びつけてから、ふと乗り手がいなくなっているのに気づく。 ”あやつ。もう降りたのか。よい。また会うこともあろう” そうして竜の女王はまた翼に空を打たせて速度を上げる。とりあえず、食べごたえのある獲物を探すつもりだった。

2020-04-04 21:41:53
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 荒野では、白狐と黒猫がもう何百回目かになるか解らない死闘を繰り広げていた。 互いに腹を空かせては、しとめきれぬ獲物からいったん離れて適当に何かを狩って飢えをみたし、また宿敵の喉笛を狙い合うのだ。

2020-04-04 21:44:13
帽子男 @alkali_acid

力と速さ、闘いのうまさにおいてすべて白狐が上回っていたが、黒猫はしぶとさと狡さ、意表をつく無謀な捨て身の攻撃で補っていた。 「フシャアアア!!!」 もはや物狂いのようになってひたすらに白い獣を追う黒い獣。

2020-04-04 21:45:53
帽子男 @alkali_acid

雄猫の尽きることない戦意を浴びるつど、雌狐は背筋をほかに例えようもない昂ぶりが駆け抜けるのを感じる。 二頭はいずれも、ほかになすべき一切の業を忘れ、ひたすら牙の舞踏に酔い痴れ、ただ誰よりも憎むべき敵を屠るために全霊を傾けていた。

2020-04-04 21:50:09
帽子男 @alkali_acid

だが、だしぬけに白き獣が止まった。黒き獣の息切れを突き、必殺の一撃を加えるべく身を伏せ、ばねをためていたところだった。 傷だらけになってなお優美な四つ足の輪郭が溶け、二つ足の女のかたちに固まる。

2020-04-04 21:54:27
帽子男 @alkali_acid

破れほつれた深緑の緊身裙(タイトスカート)に、穴だらけの黒の毛織の胴着、髪は乱れ、銀縁眼鏡はずれ、靴のかかとは折れている。 「…お前は…後で始末する」 「ヴナアア!!!!ナヴ!!ナヴ!!」 決着を前にした衝撃の宣告に、黒猫は二本足で立って前肢をぐねぐねさせたあと、仰向けに倒れた。

2020-04-04 21:56:43
帽子男 @alkali_acid

そのまま背を地面にすりつけて激しくのたうつ。感情をどう処理していいか解らないという印象だ。 「だだをこねるな。行かねば…あの子が…ウィストが危機に陥った…」 「ヴナ!?」 黒猫はかっと目を開いて跳ね起きる。

2020-04-04 21:58:21
帽子男 @alkali_acid

女がどこからともなく鏡を取り出し、口遊むような呪文とともに高々と掲げると、平らかな表面が漣立ち虚空がゆがむ。 猫はとっさに飛びつこうとしたが、飛んできた靴の片方をかわす間に逃げられる。

2020-04-04 22:00:18
帽子男 @alkali_acid

「ナ…ナウウウ…ヴ…ヴナアアア!!!!」 納得いかないというように怒りの叫びを上げながら、黒猫はしばらくあたりをぐるぐる回り、不意に静かになると、黙って何もない場所で匂いを嗅ぎ、たっと駆けだした。 離れ離れになった相棒、ウィストを探すという本来の目的を果たすために。

2020-04-04 22:02:33
帽子男 @alkali_acid

さて「ウィストの狭の大地あっちこっち」シリーズ、 次回は「決めた。牙の部族の女衆を作る。まずはお前と、それからダリューテだ。仲良くしろよ。んだよ文句あんのか?」 乞うご期待。

2020-04-04 22:05:18

シリーズ全体の目次はこちら

まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 21945 pv 167 2 users

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