戸坂潤の青空文庫収録作一覧をざっくり年代順にしてみたよ — 君が「ちょい不親切」と言ったから今日は〈戸坂潤記念日〉
戸坂潤:1900年(明治33年)東京神田に生まれ、5歳まで母方の実家石川県羽咋郡で育つ。第一高等学校を経て1921年(大正10年)京都帝大文学部哲学科入学。1924年同大学院へ。25年三木清帰国、所謂”哲学一高会”がもたれるようになる。徴兵で陸軍重砲隊へ。1926年(大正15年)京都工芸学校、同志社女子専門学校講師となり、「範疇としての空間について」等空間論を多く執筆。29年頃からマルクス主義研究を始める。1930年(昭和5年)共産党員を自宅に泊めたて梯明秀と共に検挙されるが、戸坂自身は一週間で釈放。1931年、法政大学講師となり上京。1932年(昭和7年)岡邦雄、三枝博音らと唯物論研究会を設立し『唯物論研究』創刊号発刊。「京都学派の哲学」(『経済往来』)発表。以後批評論文を精力的に執筆。37年大森義太郎、岡邦雄、向坂逸郎、中野重治らと共に執筆禁止になる。1938年(昭和13年)弾圧の熾烈化の中で、唯研解散。『唯物論研究』を『学芸』と改題して刊行するも、発行禁止にとなり、11月29日、所謂唯研事件で岡、永田広志、古在由重らと共に検挙された。1940年12月保釈出所。44年9月日本敗北の時期にほぼ見通しをつけてから東京拘置所へ下獄。1945年5月空襲のため長野刑務所へ移送。7月栄養失調と疥癬のため急性腎臓炎を発病。8月9日獄死。
戸坂潤は青空文庫で多くがタダで読めるのはいいが、仕様とはいえ目録がちょい不親切で、年代順にソートできれば初めて読む人にも便利だろう。 「今は民衆に伝統を強制する者は用心せねばならぬ」(日本の民衆と「日本的なるもの」aozora.gr.jp/cards/000281/c…)とか珠玉の論考がたくさん。
2020-04-04 23:30:35ざっくり年月順(初版日・刊行日・文中表記など混在)
- 1924 『カントと現代の科学』
- 1924 『物理的空間の成立まで (カントの空間論)』
- 1926 『幾何学と空間』
- 1926 『範疇としての空間に就いて ―之は一つの習作である―』
- 1927 『性格としての空間 ―理論の輪郭―』
- 1928 『空間概念の分析』
- 1928 『エマヌエル・カント「自然哲学原理」解説』
- 1928 『科学方法論』
- 1930 『再び「科学の歴史的社会的制約」に就いて ―岡邦雄氏に答える―』
- 1930 『イデオロギーの論理学』
- 1930 『イデオロギー概論』
- 1931 『範疇の発生学』
- 1931 『啓蒙の現代的意味と役割とについて』
- 1933 『社会時評』
- 1933 『唯研ニュース』
- 1933 『技術の哲学』
- 1934 『思想と風俗』
- 1934 『現代哲学講話』
- 1935 『〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)』
- 1935 『学界の純粋支持者として』
- 1935 『唯物論とファッシズム』
- 1935 『科学論』
- 1936 『思想としての文学』
- 1936 『日本イデオロギー論 ―現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判』(『日本イデオロギー論』初版1935・増補版1936/5)
- 1936 『学生の技能と勤労大衆』
- 1936 『現代唯物論講話』
- 1936 『現代日本の思想対立』
- 1936 『道徳の観念』
- 1937 『認識論としての文芸学』
- 1937 『思想議会たるを知れ』
- 1937 『科学的精神とは何か ―日本文化論に及ぶ―』
- 1937 『現代科学教育論』
- 1937 『世界の一環としての日本』
- 1937 『日本の民衆と「日本的なるもの」』
- 1937 『文芸評論の方法について』
- 1937 『私の見た大学』
- 1937 『最近日本の科学論 ― 緒論の部 ― 一般的特色について』
- 1937 『近衛内閣の常識性』
- 1937 『日本の頭脳調べ ―特に自然科学者に就て―』
- 1937 『思想動員論』
- 1937 『ひと吾を公式主義者と呼ぶ』
- 1937 『挙国一致体制と国民生活』
- 1937 『再び科学的精神について (「最近日本の科学論」続編)―教学に対して―』
- 1937 『技術的精神とは何か』
- 1937 『戦争ジャーナリスト論』
- 1937 『哲学の現代的意義』
- 1937 『認識論とは何か』
- 1937 『日本文化の特殊性』
- 1937 『社大党はファッショ化したか?』
- 1937 『一九三七年を送る日本』
- 1937 『デカルトと引用精神』
- 1938 『所謂批評の「科学性」についての考察』
- 1938 『映画芸術と映画 アブストラクションの作用へ』
- 1938 『読書法』
- 1938 『クリティシズムと認識論との関係』
- 1941 『友情に関係あるエッセイ』
- 1941 『科学と科学の観念』
- 1941 『技術と科学との概念』
- 1941 『技術へ行く問題』
- 1941 『生産を目標とする科学 ―再三「科学と技術」とについて―』
- 1945 『獄中通信』
- 1968 『娯楽論 民衆と娯楽・その積極性と社会性・』
- 1979 『辞典』(全集別巻1979/11/20収(経済学大辞典 第四巻 1931/10、 経済学大辞典 第五巻 1932/1、 経済学大辞典 追補 1936/10、 教育学辞典 第一巻 1936/5、 教育学辞典 第二巻1937/2、 現代哲学辞典 1936/9)
さらに北林雅洋編『戸坂潤全集未収録論文集』(こぶし書房、2016年)もあり、「戸坂潤」の名前ではもう公表できなくなっていた「大東亜戦争」下に、変名で執筆した文化論などがおさめられていて、そのペンによる抵抗には泣けてくるものがある。amazon.co.jp/exec/obidos/AS…
2020-04-04 23:41:52