Twitter界隈で出回る「PCRの感度70%」とはどこから来た数字なのか

PCRをやっている人間であれば絶対に不思議に思う「PCRの感度70%」と言う数字。今や1copyのRNA/DNAを増幅することが当たり前のこの時代において、いったい何処からこの数字が現れたのか検証してみました。
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研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

特に高くもなく低くもなくという状態を説明するのに都合がよかったのでしょう。岩田健太郎さんがこんなツイートをしました。事前確率が1%の場合感度70%特異度99%の事後確率は41.4%で半分以上間違うと。でもこの条件で感度99%特異度99%の場合事後確率は0.50%。あるぇぇ? pic.twitter.com/OthATgdOll

2020-05-02 14:33:52
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研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

あれ?感度99%もあるのに50%も間違っちゃうの?って思いません?推測ですが「感度70%では半分以上を間違ってしまう!危ない!」から「感度99%もあるのに半分も間違っちゃうの?検査する意味なくない?」って疑問点が変わっちゃうと思うんです。それをさせない都合のいい数字が70%なわけです。

2020-05-02 14:35:06
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

感度99%なら一応陽性者を99%捕らえられますが特異度99%だと偽陽性をいっぱい出してしまって検査結果の判定で困るわけです。

2020-05-02 14:36:00
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

余計なことを考えさせず良い感じにヤバイ感を演出するには70%という数字は全くもって都合が良かったわけです。エビデンスっぽい中国の報告もあるので使いやすかったのでしょう。それを察知したウォーゲーマーのカン恐るべし(笑) twitter.com/Q47SM9/status/…

2020-05-02 14:36:47
高橋「ホーキング」けんじ(CV:高橋けんじ) @Q47SM9

数多くのゲームデザインで「一番いい感じにヤバい」って経験則にある数字を使う事の危なさには、すごい疑問あった。このイラストは以前に描いた物だけど、本当にこんな感覚で、70%だと外れた事後を視野に入れて戦術立てるのがデフォなんですよウォーゲーマー。 pic.twitter.com/UURskkQJu3

2020-04-26 13:49:42
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

岩田さんのこれは例え話で事前確率も感度も特異度も全く仮定のものでそれぞれに意味は全くない。しかも「検査」の話で「PCR検査」でも「PCR」の話でもない。CT検査かもしれないしレントゲン検査かもしれないし血液検査科もしれない。要は医学統計の教科書的例題なんです。

2020-05-02 14:37:52
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

では岩田さんの条件で事後確率を高くするにはどうしたらいいか。事前確率が1%感度99.0%特異度99.9%だと事後確率は90.91%になります。これなら本当は陽性なのに陰性と判定されてしまう偽陰性の人が11000人調べて1人でに対して偽陽性が11人、これなら目を瞑ってもいいかなぁ?ってなりませんか

2020-05-02 14:39:28
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

ついでに感度も99.9%にしてみましょう。事前確率が1%感度99.9%特異度99.9%だと事後確率は90.98%になり110000人調べて偽陰性が1人となり十分にほとんどの陽性者を捕捉できそうです。ただ110000人調べると偽陽性が109人になるのでだんだん再検査が必要な人が増えてきてちょっと困ります

2020-05-02 14:40:59
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

まあそれでも偽陽性が109人ならもう一回調べるのにそれほど手間ではないのでちょっとだけ医療資源を圧迫しますが問題になるほどでもないです。

2020-05-02 14:42:13
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

オマケで感度99.9%特異度99.0%にして見るとどうでしょう。事前確率が1%感度99.9%特異度99.0%だと事後確率は50.2%になり「陽性者の半分が実は陰性だった!えらいこっちゃ!」となるので検査がおよそ信用できなくなります。だから検査では偽陽性に対して神経質になってます。

2020-05-02 14:43:33
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

結論として事後確率を上げるなら特異度を上げるのが効果的です。

2020-05-02 14:43:58
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

正解の一つは事前確率を上げる事で、そのために日本では症状のある人に対してCTやレントゲンで異常がある人と絞っていきましたが、感染症が指数関数的に増えている状態では、じきに意味が無くなります。

2020-05-02 14:45:53
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

街中に感染者に溢れて素人があてずっぽうで指さした人が感染者である確率と、医師が診断して感染の疑いがあるとする確率がだんだん近似してくるからです。

2020-05-02 14:46:20
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

例えば感染症が蔓延して感染率が10%とかになってしまえば、街中で咳をしている人は目的の感染症に罹っている可能性が高いわけです。そういう状態で素人があてずっぽうでピックアップした事前確率と医師が診断しても事前確率の差が近似してきて事後確率の差が小さくなってきます。

2020-05-02 14:47:05
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

そのうちもっとざっくり疑いのある集団でやっても変わらなくなってきます。検査対象を絞る意味が無くなってくるわけです。

2020-05-02 14:47:36
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

どうにも岩田さんダイヤモンドプリンセスの時にも言われていましたが、話を怖ろしく(面白く)するために話を盛る傾向がある。しかしどうも医学的正しさからは逃れたくないという良心は揺るがないようなので、結果として盛った話と科学的正しさの間の葛藤によって詭弁めいた奇妙な言葉を残してしまう

2020-05-02 14:49:59
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

問題はダイヤモンドオンラインの記事の方でこれは完璧詐欺なのであとで時間を使ってじっくりやります。完全にギルティ

2020-05-02 14:52:39
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

続き。PCRの感度70%問題で酷いのがダイヤモンドオンラインのこの図のです。これ二つパラメーター変えているの気付きました?なにかいかにも検査数を増やしたら事後確率が変わってしまうので検査を増やしてはいけないみたいな感じで完全にミスリードを誘ってます。 diamond.jp/articles/-/234… pic.twitter.com/mebBrjDj8S

2020-05-04 19:19:01
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研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

事後確率に関わるパラメーターは事前確率と感度と特異度で、検査数を計算に入れても良いですが途中で約分されて消えちゃうので関係ないんです。欺瞞に満ちてるとは思いません?こういった図を描くなら変えるパラメーターは一つにしないとダメです。それを2つ変えたのは明らかな意図を感じます

2020-05-04 19:19:38
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

ではパラメーターを一つだけ変えた場合どうなるかをExcelで描いてみました。人の人数は整数なので小数点は存在しないのでナンセンスですがパラメーターを自説に都合良くなるように変えているのはあちらの方なので仕方がありません。結果は一目瞭然で事後確率は変わりません。一応n=112で近似した物も pic.twitter.com/ZbuWqUJeuW

2020-05-04 19:23:46
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研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

検査数が事後確率に関わらないというのは先ほど示したとおりですが一応もう一方の検査数20としてパラメーターの事前確率を9%に変えた表も示しておきます。人の人数は本来は整数ですが仕方がありませんが相手の詐術を示すにはこうするしかありません pic.twitter.com/OiCOfYhag6

2020-05-04 19:24:47
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研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

検査数が少ないときはあたかも偽陽性が少ないかのような図を書いておき一方で検査数が増えると偽陽性者が多いような図にすり替えていて完全にトリックと言っていい。この図で欺された人も多いでしょう。明らかにミスリードを誘うようにわざと数を増やしている

2020-05-04 19:26:20
研究者「」@1copyからのRT-PCR @uwemon

記事では濡れ衣と言っていますが要はこれ特異度のことです。特異度が上がれば陰性なのに陽性であると判定される事が少なくなります。事後確率を上げたければ特異度を上げればいいわけです。特異度(感度も)を100%に近づけることができる技術それがPCRという技術なのです

2020-05-04 19:27:00