剣と魔法の世界にある学園都市でロリが大冒険するやつ5(#えるどれ)

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まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 21941 pv 167 2 users

前回の話

まとめ 剣と魔法の世界にある学園都市でロリが大冒険するやつ4(#えるどれ) 今でも極制服がスケベなデザインになる理由がよく解ってない。 4133 pv 4

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ この物語はエルフの女奴隷が解放された後日譚ファンタジー 略して #えるどれ エルフの女奴隷の長いつながれ暮らしについては以下をどうぞ togetter.com/li/1479531

2020-05-02 17:49:26
帽子男 @alkali_acid

エルフの女奴隷を代々受け継いてきた黒の家系は没落し、領土である影の国は地上から消え去り、住みつく魑魅魍魎とともに冥府へ降った。 だが家系の末裔ウィストはともに行かず、父ドレアムの願いにより時を超え、魔法ではなく科学が支配する世紀に辿り着き、そこで大きくなった。

2020-05-02 17:53:52
帽子男 @alkali_acid

親は子に、神々や竜や巨人や妖精の戦いと縁のない平凡で幸福な人生を願ったが、あいにくとこの時代にも危険な変化や怪異はひしめいていた。 「遺物」と呼ばれるそれらは、影の国の最後の太守だったドレアムが、光と闇の大勝負の果てに世界から古い魔法の力を放逐したいわば空隙を埋めるように、

2020-05-02 17:56:53
帽子男 @alkali_acid

各地に次々とあらわれ、恐るべき災いをなすようになった。 しかしもはや人間を闇の脅威から守ってくれた光の民、エルフはことごとく西の果ての至福の地に還り、工芸の技によって名剣を打ち鍛えてくれる地の民ドワーフも、窖深くへ潜って戻らない。

2020-05-02 18:00:27
帽子男 @alkali_acid

人間は遺物から自力で身を守らねばならなかった。 かくして発展したのが国家や宗教、民族、階級の枠組みを超えてつながる秘密結社「財団」である。 財団は遺物を素早く確保、収容、防護し、放置すれば社会や文明、いや生きとし生けるすべてを破滅に導きかねない現象を素早く鎮圧する。

2020-05-02 18:03:03
帽子男 @alkali_acid

しかし不運にも、いや必然にというべきか、強い魔法を宿す影の国生まれの少年を、財団は邪悪な遺物の一つと見なし、収容しようと蠢き始めたのだった。 はじめは結社に協力の姿勢を示したウィストだったが、しかし収容とは遺物にとって快適とは言い難い。いやありていに述べれば、拷問に近かった。

2020-05-02 18:07:18
帽子男 @alkali_acid

財団は、遺物に対抗する力を求めるためか、収容したさまざまな生物、好物、現象、概念などを使ってありとあらゆる実験を繰り返す。 明らかに不必要に異物を刺激し、災厄を引き起こしかねないような試みさえ躊躇しない。矛盾しているようだが、それが財団というものだった。

2020-05-02 18:09:34
帽子男 @alkali_acid

ウィストはほかの遺物が収容違反により脱走した混乱に紛れ、自らも「安置所」と呼ばれる拘留施設から逃れ、魔法によって姿を少女に変えると、学問の都という街に潜り込んだ。 学問の都は財団もおいそれと手が出せない特別な地位と知識を持ち、そこでなら父ドレアムが望んだ平凡な生活が送れると、

2020-05-02 18:12:40
帽子男 @alkali_acid

そう信じたからではあったが。 だが財団の追手はついに学問の都にまでやってきた。財団の最高戦力、機動部隊の一つ、終端の騎士団に属する傭兵、通称「絶滅請負人」こと牙の部族ガウドビギダブグ。 どこかウィストに似た風貌を持つ暗い膚の若者は、単に任務という以上の執念で獲物を探し求めていた。

2020-05-02 18:15:27
帽子男 @alkali_acid

「あいつは絶対に俺の女衆にする。ガキを百人は産ます。ほっとくとどんな虫がつくか解んねえ」 謎の気迫とともに、金釦つきの黒い制服をまとい学生に身をやつし、学問の都を荒らしまわるガウド。

2020-05-02 18:17:12
帽子男 @alkali_acid

ウィスト、いや今は名を変えウィスティエは、下腹のあたりを何か変になるのを覚えながら見つからないよう縮こまるのだった。 「かえって…」

2020-05-02 18:18:05
帽子男 @alkali_acid

しかしなかなかそうはいかない。 学問の都は財団に門戸を開かないが、しかし付け入る隙がないではない。 ひとつは番長制度だ。 学問の都の中等部は、だいたい十代を中心に少年少女が六年間を過ごす期間だが、勉強や運動に身が入らず力を持て余した不良が互いの拳をぶつけられる仕組みとして存在する。

2020-05-02 18:21:30
帽子男 @alkali_acid

学問の都にいくつもある学園は、この番長制度を快く思っていないが、自然発生した学生のあいだの伝統は、そうそう根絶はできない。 教授や学生会の管理の及ばぬところで、番長は隠然たる威勢を保ち、腕っぷしを恃む不良学生の間ではその意向は無視できないものとなっている。

2020-05-02 18:24:20
帽子男 @alkali_acid

ガウドは次々と各校の番長を襲い、一対一(タイマン)の素手喧嘩(ステゴロ)に勝ち、傘下に加えていった。 「だから!背が小さくて!餓鬼っぽいけどすげー可愛い!やせっぽちだけど尻だけ丸い女子だよ。触ったら殺すかんな」 「…いや…それだけじゃきついっすよガウドさん…」

2020-05-02 18:26:41
帽子男 @alkali_acid

番長を通して、学園に潜り込んだ遺物を駆り立てる。まさしく財団の機動部隊の面目躍如たる機知と剛腕の組み合わさった収容手法だ。 「似てんだよ。すげーいい女に」 「いや意味わかんないっすよガウドさん」 「あ?」

2020-05-02 18:28:33
帽子男 @alkali_acid

このままだと時間はかかりそうだが。 さてウィスティエの方はというと、古典の府付属中等部で毎日ぜんぜんちんぷんかんぷんの授業を受け、よろよろになって帰ってくる。 家は学園の敷地にある戸建て。わざわざ後見役のリンディーレ教授が、職員用の住宅を空けてくれたのだ。

2020-05-02 18:31:07
帽子男 @alkali_acid

屋根では、百足だか蜘蛛だかに似た木と鉄でできたからくりが這い回り、背中に生えた義肢を振るってトンテンカントンと大工仕事をしている、胴にあたる部分には黒い蝙蝠が一匹さかさまにぶらさがり左右非対称の翼をばたつかせ仰いだり、足を動かすだけで器用に傀儡を操っていた。 「キ!キ!」

2020-05-02 18:34:31
帽子男 @alkali_acid

「ち、チノホシ!だめ!」 「ヘッヘッヘッヘ!」 はっと視線を庭に向けると、黒い犬が楽しそうにはずみ車を漕いでいる。車につながった散水機が井戸から水を組み上げ、庭にいつの間にかできた香草薬草園におしめりを与えていた。

2020-05-02 18:36:28
帽子男 @alkali_acid

「あ、アケノホシ…え…どうだろ…ギリギリ…」 怪しまれないだろうか。そんなはずない。 「だめ!」 しかし続いて屋内から楽器の音が聞こえてくる。 「!?」 中へ入ると、円柱の周囲に螺旋状に並んだ鍵盤の上を、黒い小鳥がぴょんぴょんと飛び移っては元気よく演奏をしているではないか。

2020-05-02 18:38:07
帽子男 @alkali_acid

「ホウキボシ!だめ!!!」 「ナンデサ?」 ホウキボシはすぐ口答えしてくる。 「…だ、だって…人が見たら」 「ベツニイイジャン。ウィストモヤロ?」 「…や、やらない…」

2020-05-02 18:39:20
帽子男 @alkali_acid

そこへ明らかに市場から盗んできたらしい大きな魚を咥えて黒猫が入ってくる。 「カミツキ!だめ!泥棒だめ!」 「ヴヴヴ…」

2020-05-02 18:41:07
帽子男 @alkali_acid

黒い鳥や獣はそれぞれ好き勝手をしたあと集まってきて今度は少女を玩具にしようとする。剣術や組打の稽古をさせようとしたり、歌唱や演奏の練習をさせようとしたり、工作や設計の勉強をさせようとしたり、本草や施療の手解きをしようとしたり。 「しゅ、宿題あるから」 「ヴナ」 「ウェ、ヤダ」

2020-05-02 18:44:30
帽子男 @alkali_acid

黒猫は引き下がる。 黒歌鳥は文法だけはつきあってくれる。 黒蝙蝠は代数と幾何、理科は一緒にやってくれる。とても役に立つ。 でも一番面倒見がよいのは黒犬。

2020-05-02 18:46:25
帽子男 @alkali_acid

悩んでいると参考になる教科書の場所を鼻で押して読めと進んでくれるし、うまく解けるとすごい喜んで駆け回る。 「…いぬ…」 ウィスティエは犬が苦手なのだが。 「ガル!」 今更ちょっときりっとした表情になるアケノホシ。 「おおかみ…」 「ガウ!ガウ!」 「いぬ…」 「クゥン…」

2020-05-02 18:48:56
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