小銃の脚について

雑感
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ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

小銃の、脚について、お話したいと、思います まずは、日本陸軍の脚からです 三八式銃や九九式銃に脚がつくようになったのは「書面上」昭和十三年頃からです 「書面上」といったのは三八式銃に関しては脚がついたものの存在を今のところ確認できてないから、です さて、なぜ脚がつくようになったか pic.twitter.com/9bpTQXER5U

2020-05-05 11:33:44
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ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

これはあまり確証はないものの、昭和十年に満州で行われた実験が影響しているものと思う 「JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C13010155700、昭和10年度冬季試験報告 其の1 歩、工兵基礎 昭和14年8月(防衛省防衛研究所)」 第1篇/6 小銃射撃試験 jacar.archives.go.jp/das/image/C130… をご覧ください

2020-05-05 11:36:50
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

ご覧になれない方のために一応私もその書類の図などはこのツリーに引用するつもりだ この実験は北満州のような酷寒地で小銃射撃を行う場合、その寒気がどのような影響を及ぼすか調査したものである 供された銃はもちろん三八式銃である 防寒装備が窮屈なため左腕に疲労をきたしやすいというところだ

2020-05-05 11:43:37
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

つまり防寒装備を着用して戦闘する必要のない時期に比して正確に据銃し続けることは実際困難である しかし、斎藤部隊考案の簡易な針金製託架をつける場合そういった困難さは軽減されるし、命中精度も向上する(と書いてある) この針金製託架、銃についている写真か何かを見てみたいものである pic.twitter.com/N9wztOl12R

2020-05-05 11:49:54
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おそらくこのような要素が相まって脚が銃につくようになったのだろう 実際昭和十五年の歩兵操典から銃の扱いについて脚の使用が出てくるのだが、初級幹部向けの解説にも「極寒地においては銃の脚を利用することが有利である」というような説明がつけられている 寒地における据銃の補助が目的であった pic.twitter.com/cCcVu3InDP

2020-05-05 11:56:44
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ときどき九九式銃の脚が曲がりやすい、という批判があるが、先ほどの歩兵操典にもあるように元来「脚を曲げる」ことによって地形に合わせて用いることが想定されていたものであることがうかがえる そう考えると高さが可変で寒さの中でも据銃が補助できるというそこそこ価値のある脚であると思える pic.twitter.com/kWo9jfsOU0

2020-05-05 12:00:28
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ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

三八式銃や九九式銃の脚は寒地における据銃の補助具という要素がその主眼であったのだろう 三八式銃に脚がついたものがぜひ見てみたいものだ。斎藤部隊考案のものであってもかまわない

2020-05-05 12:03:45
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

一方で64式銃と89式銃に付された脚は微妙に文脈が異なる 自衛隊が満州やシベリア、アリューシャン列島で戦争することを想定していたと考えるのは非常にナンセンスだ 考えていないと言い切れるかというと微妙だが、少なくとも主流ではないはずである これは酷寒地で据銃を安定させるものではない pic.twitter.com/QQsZWBlNI5

2020-05-05 12:10:12
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ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

これは軽機関銃よろしく銃を安定させて多くの弾丸をより効率的に敵に投射せんとするものである 銃口につく消炎制退器というものもその象徴といえよう 銃を安定させ、敵に見つかる前に可能な限り効率的な射撃を為すという明確な目的があっての要素であろう pic.twitter.com/Vg6QrcGFIm

2020-05-05 12:16:00
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ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

わずかながらその文脈が異なる しかしある種正反対にも見える帝国陸軍と自衛隊の小銃がともに脚を有するというのは非常に面白いと思う そしてその要素が何を目的にしているか観察することでそれぞれの考え方の差異を見つけることができるだろう 小銃はその国のドクトリンがよく反映される武器である

2020-05-05 12:19:13