射撃の定説他

私は鉄砲わかんない
12
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

最近ツイッタでも歩兵の戦闘にあたって用いられるべき射撃の理論がわかっていない言説が見られるのは残念に思うところである しかし私も完全に射撃の理論を理解しあるわけでない そもそも私は鉄砲というものがよくわかっていない なので鉄砲とは何かというところからお話をしていかねばならないと思う

2020-04-23 10:23:13
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

そもそも鉄砲とは何ぞや 引金を引いたとき中に装填された火薬に点火されることで火薬が急速に燃焼、それによって生ずるガス圧力でもって弾丸を発射する筒である そこがわかればよろしい 極論今回はこれだけ認識していれば別に困らない ほかに何がついていようが鉄砲とは鉄砲である(謎の圧力)

2020-04-23 10:23:14
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

そして弾丸が銃口を離れるときの速度を『初速』という そして弾丸の重心が通過する線を『弾道』という 弾道は弾丸にかかる「速度、重力、空気抵抗、旋転ならびに銃の斜度」によって形状が変わるものである 完全な放物線を描くことは稀である 重力は弾丸を落下させようとする力である。

2020-04-23 10:23:14
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

これは経過時間が同じであれば度の弾丸でも同じ程度に落ちることになる どんな弾丸でも、であるこれは小学生の時に学んだかもしれないが、ガリレオ・ガリレイが証明した重力の実験の通り、質量が異なっていても落ちる速度が変わることはないからである 次に空気抵抗。これは弾丸が飛翔し続ける間

2020-04-23 10:23:14
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

働き続ける力である これによって弾丸は徐々に速度が低下し、同じ距離を飛ぶのにもより時間がかかるようになる この重力と空気抵抗の2つの力の作用によって、鉄砲の弾の弾道の最高点は概ねその飛翔距離に5分の3あたりとなる この弾道のある点における速度を『存速』という

2020-04-23 10:23:15
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

この空気抵抗による経過時間の差はこのような表から読める 経過時間の縦列が読めればよい 弾丸が600m先に達する時間は概ね1秒であるが、1200mに達するまでの時間は概ね3秒である pic.twitter.com/NfrRTR9GE5

2020-04-23 10:23:15
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

銃口の存在する水平面から弾道の高さの差を『弾道高』といい、最高点の高さを『最高度』という 三八式歩兵銃は非常に低伸する弾道を描くので、1,000m先を撃ってもその弾道の最高度は6m程度である そして弾道の最高点に至るまでの線を『昇弧』、最高度より弾着点までを『降弧』という pic.twitter.com/1j16c5wdSy

2020-04-23 10:23:15
拡大
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

そして近代の鉄砲は尖頭を常に前方に向け続けるために、銃身に腔線(ライフル)を施してあることが多い これによって弾丸を旋転させることで回転するコマのように弾丸の向きを規整するのである しかしこれによって弾丸は経過時間の程度に従い、銃軸線に対して旋転する方向に徐々にそれてゆく

2020-04-23 10:32:43
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

これを『定偏(ていへん)』という 近代的な鉄砲なら近距離に関してはすでに照準具が修正済みだったりする 基本的に私が持ってる図表は日本陸軍のものだ pic.twitter.com/z3lKcTq0N2

2020-04-23 10:32:43
拡大
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

照準具とは照準を行うための器具である 基本的には照星と照門からなっていることが多い (孔照門であれば)照門中心から照星頂を見通す線を『照準線』という 照準線と銃のなす角度を『照準角』といい、水平面と銃のなす角度を『射角』という 照準線と水平面が同じであれば照準角と射角は一致する pic.twitter.com/ElFQsSgB4s

2020-04-23 11:08:09
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

弾丸発射時に銃口における水平面と弾道のなす角を『発射角』という 実は射角と発射角は一致しない 人間は引金を引いたら動くし、ほかの要素もある pic.twitter.com/epXeB6PO9R

2020-04-23 11:08:10
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

弾着点が水平面上になく、高低差のあるところにいるとき、目標と銃を結ぶ線を『高低線』といい、高低線と水平面のなす角度を『高低角』という 弾着点の状況などによって高低角には正負がある 高低角が大きくないときは射距離に及ぼす影響は大きくないが、もし高低角が(正負にかかわらず) pic.twitter.com/jDnQOj05bw

2020-04-23 11:08:10
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

15度乃至30度に至るものであれば照尺距離を実距離よりも100m短いものにするべきである ちなみに射角が大きくなればなるほど弾道は最高点にて著しく湾曲するが、その最高点に達する目での弾道は(見かけ上)全く直線状になるため対空射撃に最適であり、その場合照準線から弾丸の離れるを考慮しない pic.twitter.com/urbK8bre4a

2020-04-23 11:08:10
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

気圧と気温は弾丸にかかる空気抵抗を増減し、弾道に影響を与える 標高が高いところ、あるいは気温が高いところであれば気圧が減じる 標高が300m上がれば気温が10度上がったのと同じ影響となる 例えば三八式歩兵銃であればこのような影響がある pic.twitter.com/ZUm5A4eaNa

2020-04-23 11:26:30
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

しかし10度程度の気温の変化の差は三八式歩兵銃で500m先であっても弾道高10cm距離15m程度しか変わらないため、近距離においては実用上修正の必要はない 風の影響であるが、銃の軸線に平行なものは射距離を増減し、銃の軸線に交差するものは弾丸を側方に遷移させる しかし縦風は秒速5mに至っても

2020-04-23 11:26:30
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

500mで1m、1000mでも7mほどしかその差を生じない。仮に秒速10mに至ってもこの倍程度であって実用上考慮しなくともよい しかし横風はその影響は大である 三八式歩兵銃であれば概して下に示す限りである pic.twitter.com/BY6jnAJDQT

2020-04-23 11:26:31
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

また照星に日光が当たるとき、照準が偏りやすくなる そして曇天であったり目標が不明瞭であれば反対に照星が上がってしまいがち ドイツのK98kはそれの対策がされているように見えるが、よくわからない pic.twitter.com/QaxBdUQuIy

2020-04-23 11:31:12
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

これ以降が大切なので必要に応じてメモするんだぞー テストに出るよ(なんの) 弾丸は様々な影響によってたとえ同一の銃身をもって完全にその射角などを固定して発射したとしても、全く同一の弾道を描くことは稀で、ある一定の範囲に散らばる し多数の弾を発射してみればわかるが、弾道は藁束めいて

2020-04-23 11:42:06
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

曲円錐形となる そしてその弾道は中心近くで緻密になっている これを『集束弾道』という 射弾が散らばる原因は重機や弾薬の構造によるもの、気候、目標の明暗であるとか、射手をしてその取扱いの過誤などが影響する 特に射手の位置姿勢、体力、気力、発射速度、精神状態などがかなりの部分影響する

2020-04-23 11:42:06
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

集束弾道をある垂直面に投影したとき、これを『垂直被弾面』という 小銃の場合概ね高さ方向が幅より大である 十一年式軽機関銃は900m程度まで幅のほうが大である そして集束弾道を水平面に投影したものを『水平被弾面』といい、地上におけるものを被弾地という 基本的に被弾面は非常に縦長になる pic.twitter.com/Uv5mfjxl52

2020-04-23 11:50:22
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

幅は距離が増せば大きくなるが、縦長は距離が増すに従い減少する また傾斜地などにおける影響は図に示すとおりである pic.twitter.com/8LNReVMX2M

2020-04-23 11:50:23
拡大
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

すべての弾丸を収容する垂直被弾面を全く均等に4等分するとき、縦と横の線の交点を『平均弾着点』という この平均弾着点を通る弾道を平均弾道といい、最も低い弾道を『最下弾道』という 目標と平均弾着点の離隔を『平均点躱避』といい、平均弾着点と各弾着点の離隔を『躱避(たひ)』という

2020-04-23 12:00:10
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

『命中精度良好』とは平均点躱避と躱避ともに小であることをもって言う

2020-04-23 12:00:10
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

多数弾の垂直被弾面をその総弾着の半数が占めるところで区分するとき、その境界線は平均弾着点より均等なところにある この縦線の境界線の距離を水平半数必中界という 同じく水平線で行えば垂直半数必中界となる 言葉で言われてもわからんと思うのでここで図を示す 基本的に射弾は半数必中界4の倍の pic.twitter.com/OBgWxitx8D

2020-04-23 12:11:28
拡大
ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao

範囲に総てが収まるので、命中精度の指標として半数必中界が用いられる この数字は戦闘の装備をした一般的な技量の歩兵が三八式歩兵銃で射撃をした時の値である pic.twitter.com/c9bBLZvfp5

2020-04-23 12:11:28
拡大