“検察庁法改正案”についてのモトケン氏(motoken_tw)の話

5/10以降の@motoken_tw氏周辺のツイートを収録。言及された法律(案)の条文も適宜引用しています。 検察の独立性については、記事末尾に他の法クラの方々の見解も併せて収録。 前回まとめでモトケン氏の立ち位置が今一つ分からなかったので今回遡ってみたのですが、前回まとめで見た大屋教授との視点の違いが垣間見えて興味深いです。
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Takehiro OHYA @takehiroohya

Professor of Jurisprudence, Keio University Faculty of Law. Dean, Keio Univ. Correspondence Courses. Visiting Prof., Nagoya Univ. PhD Professional Office.

law.keio.ac.jp/~t_ohya/

Takehiro OHYA @takehiroohya

いやまあ理由はいろいろあったんだけど従来は定年が一般公務員60歳に対して検察官63歳だったところ前者を65歳に伸ばすんだから後者もそれなりに引き上げないとまずいだろ常識的に考えて(頭痛)。

2020-05-10 11:35:52
まとめ “検察庁法改正案”についての大屋雄裕教授(takehiroohya)の話 5/10以降の@takehiroohya氏周辺のツイートを収録。言及された法律(案)の条文も適宜引用しています。 モトケン氏他とのバトルのくだりは、記事を分けた方がすっきりしそうな気もしますがとりあえず一緒に収録。 6281 pv 9
shoya @sho_ya

不躾ながら申し上げますと,本件の問題点はそこではありません。先生のご指摘は的を射ていません。 問題は,新・国公法81条の7,新検察庁法22条です。下記のpdfの13頁以下と95頁以下です。 尚,先生ご指摘のとおり,黒川検事長の定年延長問題と,本改正法の問題は別です。 cas.go.jp/jp/houan/20031… twitter.com/takehiroohya/s…

2020-05-10 18:21:13
モトケン @motoken_tw

矢部善朗。 アイコン(作者は Y_Coronaさん)は単なる趣味(^^; アンチツイフェミのフェミニストです。個人の尊厳を基礎に男女の向上の機会の平等を求めます。 職業は今のところ弁護士(京都弁護士会所属)。いわゆるヤメ検。

モトケン @motoken_tw

改正法によると、政府(総理大臣)のお目見え麗しい検事は検事総長にしてやるぞ、という臭いがプンプンする。 検察庁は他の省庁と同列に論じることはできない。 日本の行政組織の中で、唯一総理大臣の刑事責任を問い得る機関だということを忘れてはいけない。 そういう機関が政府に隷属しかねない。 twitter.com/sho_ya/status/…

2020-05-10 19:45:22
マダオ @HasegawaTaizo20

@motoken_tw 令和4年4月1日から開始の法案でどう関係するのか?詳しく教えてください。

2020-05-10 19:52:56
モトケン @motoken_tw

@OcKIiDWYYOqcEZg 詳しく説明するのは大変ですが、簡単に言うと、検事総長人事に影響する法務大臣(=内閣=総理大臣)の権限が強化されている。

2020-05-10 19:57:15
マダオ @HasegawaTaizo20

@motoken_tw まぁ黒川関係無いから次の検事長がってことね。

2020-05-10 20:01:11
モトケン @motoken_tw

@OcKIiDWYYOqcEZg 黒川人事と同様の人事が今後も法律上の根拠をもって可能になるということ。

2020-05-10 20:02:35
realiser @realiser

@motoken_tw だとすると人事権者を内閣ではない何かにしたほうがよいということになりますか?

2020-05-10 19:55:05
モトケン @motoken_tw

@realiser 黒川検事問題以前の慣行に従えば問題ない。

2020-05-10 19:58:51

本題に入る前に

基本事項で恐縮ですが、検察庁の組織検察官の種類と職務内容についてここで整理しておきます。
(それぞれ検察庁HPから引用し、まとめ主が加工・編集しています。)

  • 最高検察庁 → 最高裁判所に対応
    • 検事総長:最高検の長として庁務を掌理。全ての検察庁の職員を指揮監督。
    • 次長検事:最高検に属し、検事総長を補佐。
      (検事総長に事故のあるとき、又は検事総長が欠けたときは、その職務を行う。)
    • 検事
  • 高等検察庁(8庁+支部6庁) → 高等裁判所に対応
    • 検事長:高等検察庁の長として庁務を掌理。高検・地検・区検の職員を指揮監督。
    • 検事
  • 地方検察庁(50庁+支部203庁) → 地方裁判所・家庭裁判所に対応
    • 検事正:地方検察庁として庁務を掌理。地検・区検の職員を指揮監督。
    • 検事:最高検・高検・地検などに配置。捜査・公判及び裁判の執行を指揮監督。
  • 区検察庁(438庁) → 簡易裁判所に対応
    • 検事
    • 副検事:区検に配置。捜査・公判及び裁判の執行を指揮監督。

モトケン @motoken_tw

連ツイです。 検察庁法の改正により検事の定年を延長する問題は、検事以外の国家公務員の定年と同じにするだけだから問題がない、という意見があるようですが、検察庁法の改正問題はそれにとどまらない問題を含んでいます。 私や多くの法クラが問題にしている(と思われる)点をまず指摘します。(続く

2020-05-11 01:21:10
モトケン @motoken_tw

検察庁法案(以下、法案といいます)22条1項によると、検察官の定年は65歳に延長されます。 しかし、法案9条によると、63歳になった時点で検事正であった検事は検事正ではなくなります。 ところが、法務大臣が一定の理由があると認めれば、さらに1年間検事正であり続けることができます。(続く

2020-05-11 01:22:33

以下、内閣官房HPの法案関連資料「新旧対照表」より、該当する条文を適宜引用しています。(太字・グレー表示は引用者による)

第二十二条
検察官は、年齢が六十五年に達した時に退官する。
(2項以下略)
第九条
各地方検察庁に検事正各一人を置き、一級の検事をもつて充てる。
② 法務大臣は、検事正の職を占める検事が年齢六十三年に達したときは、年齢が六十三年に達した日の翌日に他の職に補するものとする。
③ 法務大臣は、前項の規定にかかわらず、年齢が六十三年に達した検事正の職を占める検事について、当該検事の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該検事を他の職に補することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として法務大臣が定める準則(以下この条において単に「準則」という。)で定める事由があると認めるときは、当該検事が年齢六十三年に達した日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該検事に、当該検事が年齢六十三年に達した日において占めていた職を占めたまま勤務をさせることができる。
④ 法務大臣は、前項の期限又はこの項の規定により延長した期限が到来する場合において、前項の事由が引き続きあると認めるときは、準則で定めるところにより、これらの期限の翌日から起算して一年を超えない範囲内(その範囲内に定年に達する日がある検事にあつては、延長した期限の翌日から当該定年に達する日までの範囲内)で期限を延長することができる。
(5項以下略)

モトケン @motoken_tw

法務大臣による検事正の職務の継続を認められず、法案20条2項により次長検事にも検事長にもなれない検事正は、結局、平の検事になりますから、原則として降格人事になり、例外的に法務大臣の裁量により降格されないということになります。(続く)

2020-05-11 01:25:04

第二十条
他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者のほか、次の各号のいずれかに該当する者は、検察官に任命することができない。
一・二(略)
② 前項の規定により検察官に任命することができない者のほか、年齢が六十三年に達した者は、次長検事又は検事長に任命することができない。

63歳になった検事正(地検トップ)は、この規定により次長検事(最高検No.2)にも検事長(高検トップ)にもなれないので、役職なしの検事になる という流れですね。

モトケン @motoken_tw

同様に、法案22条4項によると、次長検事、検事長は、63歳に達した時に法務大臣によって平の検事に任命されます。これも降格人事です。 しかし、この点も、同条5項6項により、内閣の裁量によって、2年間、次長検事または検事長の職務を継続させることができます。(続く

2020-05-11 01:25:49

第二十二条
(1~3項略)
④ 法務大臣は、次長検事及び検事長が年齢六十三年に達したときは、年齢が六十三年に達した日の翌日に検事に任命するものとする。
⑤ 内閣は、前項の規定にかかわらず、年齢が六十三年に達した次長検事又は検事長について、当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事又は検事長が年齢六十三年に達した日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事又は検事長に、当該次長検事又は検事長が年齢六十三年に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる。
⑥ 内閣は、前項の期限又はこの項の規定により延長した期限が到来する場合において、前項の事由が引き続きあると認めるときは、内閣の定めるところにより、これらの期限の翌日から起算して一年を超えない範囲内(その範囲内に定年に達する日がある次長検事又は検事長にあつては、延長した期限の翌日から当該定年に達する日までの範囲内)で期限を延長することができる。
(7項以下略)

こうして見ていくと、先ほど見た検事正の規定とパラレルな構造になっていることが分かります。
検事正の場合に要求されていた準則が、次長検事・検事長の場合には不要とされている点も目を引きます。

モトケン @motoken_tw

要するに、法案は、総理大臣のお気に入りの検事正、次長検事、検事長に対し、法務大臣または内閣の裁量により、人事上の優遇措置を行うことを可能とします。 それとの対比において、気に入らない検事正などには冷や飯を食わせることもできるということです。(続く

2020-05-11 01:27:37
モトケン @motoken_tw

慶應大学の大屋雄裕教授(@takehiroohya )は、「検察だけをどうこうしようとしている法案ではありません。」と言いますが twitter.com/takehiroohya/s…検察庁の特殊性を全く無視しているように思われます。 検察庁は、日本の行政組織の中で、唯一総理大臣の刑事責任を問い得る機関です。(続く

2020-05-11 01:34:00
Takehiro OHYA @takehiroohya

②もちろん検察庁法もその一つですが、ここからもわかるとおり、国家公務員全体に関する定年制度の改正がまず中心にあり、個々の事情で例外が定められている各種の組織にも同様の措置を講じるというのが全体の構成。検察だけをどうこうしようとしている法案ではありません。

2020-05-10 11:35:52
モトケン @motoken_tw

検察庁以外にも独立性を求められる行政機関はありますが、検察庁は、総理大臣の地位すら左右しかねない権限を有しており、いわゆる準司法機関として特に独立性が求められる機関です。 改正法案は、検察庁に対して内閣が介入する余地を大幅に増大させ、内閣が違法行為を行う可能性を高めます。(続く

2020-05-11 01:38:57
モトケン @motoken_tw

大屋教授は、法改正の趣旨について「年金支給の基準である65歳まで雇用継続するのが目的」だと言います。twitter.com/takehiroohya/s… しかし、検事についてはこれは当てはまりません。 すでに述べたように、現在の定年である63歳に達した検事のほとんどは、その時点で降格されることになります。(続

2020-05-11 01:42:54
Takehiro OHYA @takehiroohya

③改正の中心は60歳から65歳への段階的な定年引き上げであり、それに伴って生じる60歳以上の職員について、(1)給与引き下げ、(2)希望すれば短時間勤務に移行可能、(3)管理職からは外す(役職定年制)というもの。民間にも要請しているように年金支給の基準である65歳まで雇用継続するのが目的ですね。

2020-05-10 11:35:53
モトケン @motoken_tw

定年が65歳に延びたとしても、降格人事を受けてそのまま検察庁に残る検事をほとんどいないと考えられますので、実質的に見て雇用継続にはなりません。 内閣に優遇された一部の検事だけが63歳以降も最高幹部として検察庁に残るだけです。 これは由々しき事態と言うべきです。(続くかも

2020-05-11 01:46:10
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