日本労働研究雑誌 2020年2・3月号~学界展望:労働法理論の現在 / 特集:産業としての就職活動
2015年の雇用形態と企業内転換後(2016年)の賃金残差分布の関係(男性) pic.twitter.com/r16k73oaIC
2020-05-30 00:47:57フルタイムと短時間の有期非正社員からの転換者は,継続者の25パーセンタイル前後の低位に集中している。検定を行うと,それらの転換者は正規雇用継続者に比べ賃金残差の平均も有意に低かった。
2020-05-30 00:47:58ここからは,正社員呼称の付与は,企業による暗黙的評価,もしくは非正社員との処遇面での差別化を少なからず意味し,そのことが高賃金のみならず,柔軟な企業内転換に影響を及ぼしている
2020-05-30 00:47:592015年の雇用形態と企業内転換後(2016年)の賃金残差分布の関係(女性) pic.twitter.com/LzBqyFKHiX
2020-05-30 00:47:59無期短時間正社員からの転換者の分布は継続者のそれと遜色なく,平均値も有意な差が生じていない。有期フルタイム正社員からの転換者に至っては,転換後の賃金残差の平均値は,継続者よりもむしろ有意に高くなる傾向すらみられた。
2020-05-30 00:48:00他方で,フルタイムと短時間の有期非正社員からの企業内転換者では,平均値は有意に低い。正社員呼称が暗黙的評価と密接に結びついていることは,女性についても男性同様,もしくはそれ以上に確認できる。
2020-05-30 00:48:01(・д・)ホォー 無期短時間正社員ほど,賃金,訓練,企業内転換が有利な状況にある背景には,正社員呼称の付与による能力に関する高い潜在評価が影響していることが示唆される。
2020-05-30 00:48:56(。 ・ω・)フム 無期フルタイム正社員を除く広義の非正規雇用のなかでは,未だそのシェアこそ小さいものの,無期短時間正社員に対して,企業からは特に優位な処遇が与えられていることを確認した。
2020-05-30 00:48:57具体的には,相対賃金が高い他,OJT,Off-JTなどの企業による訓練機会も豊富に提示されていることがわかった。無期フルタイム正社員という狭義の正規雇用への移動もしくは社内での転換も,有期フルタイム正社員とならんで,無期短時間正社員からは,より高い確率で実現していた。
2020-05-30 00:48:57背景として,正社員呼称の付与が労働者の潜在能力に対する一定評価を意味するとすれば,短時間からフルタイムへの就業時間の変更を通じて,狭義の正規雇用化は他の形態に比べて比較的柔軟に実現されることが示唆された。
2020-05-30 00:48:58[PDF] 社会保障制度の所得保障と労働条件規制の関係の検討─イギリスとドイツの近年の法政策の変遷を参考に 安部 愛子(内閣府食品安全委員会事務局) / jil.go.jp/institute/zass…
2020-05-30 00:49:50イギリスでは,就労者の貧困に関し在職給付の拡充が行われてきたが,近年は在職給付を削減し最低賃金を強化する方向性が見られる。ドイツでは,就労促進のため行われた各種改革が低賃金労働につながると認識され,法定最低賃金制度の導入に至った。これらの過程では,低賃金を補う公的給付は
2020-05-30 00:49:51労働市場で低賃金労働への誘因としても働き,低賃金労働の拡大は社会保障制度の安定性にも影響するという,社会保障制度と労働条件の相互影響が認識されている。また,賃金引上げにより生計の保障を行おうとすると,世帯の中で就労可能な者の割合が少ないほど不利になるという限界も確認できる。
2020-05-30 00:49:51日本でも今後,生活が困難であるような低賃金の問題には,一般的な給付で補うよりも,家族扶養等のニーズへの対応は公的に行いつつ,賃金水準を引き上げていく努力が重要となる。
2020-05-30 00:49:52就労の対価を軸に生計の保障を行うならば,社会保障制度のサポートを前提としつつ,労働市場で,多様な事情を抱える人の就労の場を確保し,その対価を本人の生計を支えられる水準としていく必要がある。
2020-05-30 00:49:53(・д・)ホォー イギリスでは,社会保障給付の削減と最低賃金の引上げをセットで進めていることが確認されたが,これについて日本との比較で留意すべきは,イギリスでは低賃金・低収入を補う在職給付が以前から存在する一方,日本ではそうした給付が存在しない点である。
2020-05-30 00:50:21日本とイギリスでは制度体系が異なるため一概には比較しにくいが,日本の生活保護制度や児童扶養手当制度とイギリスにおける在職給付は,カバーする範囲や受給のしやすさが異なるといえよう。こうした状況で,今後生計の保障に関して
2020-05-30 00:50:22就労に軸足を置くとしても,現行の所得保障制度の給付削減を伴うべきとは考えられない。また,個別の場面での,イギリスで見られたような所得保障給付から就労収入への移行の要求についても,日本とイギリスでは既存制度の前提が異なり,同様に考えるべきものではないだろう。
2020-05-30 00:50:23[PDF] 論文Today:情緒的サポートによる違い─ワーク・ファミリー・コンフリクトと、ワーキングマザーの就業による罪悪感 花堂 奈緒子(九州工業大学講師) / jil.go.jp/institute/zass…
2020-05-30 00:51:01子育て期にある女性の多くは家庭と仕事の両立においてワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事から家庭生活へもたらされる葛藤。以下,WFC)および
2020-05-30 00:51:02ファミリー・ワーク・コンフリクト(家庭生活から仕事へ持ち込まれる葛藤。以下,FWC)を経験しながら働いており,企業側もまた,こうした女性たちが抱える葛藤への対応を検討しはじめている。
2020-05-30 00:51:03(´ω`) 特に,上司による情緒的サポートが罪悪感の低減に大きく貢献するという点は,本研究によって新たに得られた結果であるという。
2020-05-30 00:51:04上司からのサポートが重要となる理由としては,雇用におけるトルコの文化的背景,すなわちパターナリズム的階層構造の存在を挙げ,上司には雇用者の私的な事柄についてもケアする,親のような役割が期待されていることを指摘している。
2020-05-30 00:51:05(´ω`) 本研究の結果から見えてきたのは,働く母親が抱えるWFCと就労に伴う罪悪感を減らすためには,配偶者が愛情や困難な状況への共感を示して,ともに考え,必要に応じて助言するという情緒的サポートが必要であるという,シンプルな結論である。
2020-05-30 00:52:02また,職場の上司が彼女たちの健康や家族について気遣い,よりよい職場環境を生み出すこともWFCを減らすことにつながるとしている。
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