【R-Type】R-Type Delta ゲームブック【二次創作】

続きが気になるので勝手にひっそりまとめて見守るだけのやつ。
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Akikundayo @azuregreenxx

太平洋から弓状列島に上陸したR-13はそのまま列島中央を走る山脈を横切り、山肌を舐めるように金沢市へと突入する。 モリッツGを投下した軌道要塞アイギスとの通信は未だ途絶、しかしアイギスとモリッツGとの戦術チャンネルは機能している可能性が高い。

2020-06-13 22:13:37
Akikundayo @azuregreenxx

高空を飛行しモリッツGのセンサーに補足された場合、アイギスから対地レールガンで狙撃される可能性があった。 R戦闘機は生命要塞などの体腔内での閉所戦闘に特化した設計思想をもつ。前世紀の戦術である匍匐飛行などは問題にならない。

2020-06-13 22:13:37
Akikundayo @azuregreenxx

前面展開したアンカーフォースが山腹に連立した樹木をへし折り粉々にしながら吸収する。 眼前には黒煙を何本も空にたなびかせる都市がみえた。 レーザークリスタル、F3-100”ターミネイトγ”をポンピング。

2020-06-13 22:13:38
Akikundayo @azuregreenxx

恐らくモリッツG投下の際にあわせて地表に降下したであろう鹵獲バイド兵器が地表には溢れていた。 パイロットはサイバーコネクターを通して射撃命令を伝達。位相の揃ったレーザー光がフォースに照射されると、フォース内部で性質を改変された黄色い光が地表から空に向けて広範囲に薙払った。

2020-06-13 22:13:38
Akikundayo @azuregreenxx

周囲の酸素を軒並みオゾン化しながら黄色い破壊光線がビルの谷間を幾条も走る。 R-13はすでに敵の哨戒網の内側にあったが、先んじて戦闘領域に侵入していたR-9Eミッドナイトアイが対抗電子戦を行っており、モリッツGの戦術リンクを阻害していた。

2020-06-13 22:13:38
Akikundayo @azuregreenxx

直接光学センサーに補足されなければアイギスはもとよりモリッツGからも長距離砲撃される心配はない。 アンカーフォースはターミネイトγを断続的に射出。撃ち漏らした敵をフォースそのもので粉砕吸収し、R-13はグラウンドゼロに向けて疾走する。 都市部の惨状にくらべると敵の脅威は驚くほど低い。

2020-06-13 22:14:56
Akikundayo @azuregreenxx

ようやく口の中にたまった唾液を飲み下す程度の余裕を感じたとこだった。 ビルの谷間、街の中心近くの一際大きな交差点に差し掛かるときサイバーコネクターを通してケルベロスの戦術AIから危機感の概念伝達。

2020-06-13 22:16:54
Akikundayo @azuregreenxx

ザイオング慣性制御システムをフル稼働。ベクトルを一気に反転した下矢先に前方に血の色のような凝集波動砲が、倒壊して僅かに残っていた窓のガラスを一瞬で蒸発させた。 ゲインズ……!

2020-06-13 22:16:54
Akikundayo @azuregreenxx

人類が開発した空間戦闘用の人型機動兵器。 バイド戦役による記録の散逸によってこの機体に関しての開発経緯は不明瞭な部分が多い。 唯一わかっているのは対バイド兵器の切り札である波動砲を装備しておきながら容易にバイドに侵食され防衛兵器として役にたつことは稀であったということだけだった。

2020-06-13 22:16:55
Akikundayo @azuregreenxx

閉所での凝集波動砲は脅威だった。しかしゲインズは初撃を外した。さながら決闘のようなエアデュエルははずしたほうが負ける定めだった。

2020-06-13 22:20:06
Akikundayo @azuregreenxx

慣性制御システムの出力を全開。ゲインズに向けて接触上等の吶喊を行う。懐にフォースをねじ込ませ凝集波動砲を無理やり上方に反らさせるとゼロ距離でターミネイトγを射撃。

2020-06-13 22:20:06
Akikundayo @azuregreenxx

アンカーフォースの力場で正面装甲を喪失したゲインズは、内部に巣くうバイド細胞を焼き尽くされて四肢をバラバラに散らしながらビルの瓦礫に突っ込んだ。

2020-06-13 22:20:07
Akikundayo @azuregreenxx

反応炉が爆発して地表が大きく陥没した、に見えた。 違う。反応炉の触媒はフォースが大部分吸収していたはずだ。陥没の規模が大きすぎる。 ゲインズが穿ったかのように見えた大穴から、巨大な蛇のようなメカニズムが鎌首をもたげ、こちらを指向した。 なんだこれは!

2020-06-13 22:22:00
Akikundayo @azuregreenxx

パイロットは操縦桿を強く握るとサイバーコネクターに殺意を込める。機体主機関が叫ぶような唸りを上げると臨界点に達した波動エネルギーが電気エネルギーに変換されて敵めがけて虚空を走った。 しかし大蛇のようにうねる敵の外核は波動エネルギーを受け流す。なんて硬さだ。

2020-06-20 10:17:56
Akikundayo @azuregreenxx

バイドコアに届かなかったライトニング波動砲はアスファルトを粉々に粉砕して空へとまいあげた。ラウンドキャノピーに破片が衝突しバラバラと音を立てる。 ケルベロスは記憶槽のデータベースから目の前の異形のデータを即座に検索しパイロットに提示した。 自律式都市開発支援掘削機コントライト。

2020-06-20 10:17:56
Akikundayo @azuregreenxx

大規模土木装置を自動化して放置していた都市計画課の怠惰さを感じ取ってパイロットはウンザリする。そもそもこいつは兵器ではなく土木機械だ。火器は搭載していない。その機体に見合った巨大なバイドコアは禍々しい光を放っているものの、攻撃手段としては先端部の削岩用バイスクローとその巨体のみ。

2020-06-20 10:17:57
Akikundayo @azuregreenxx

距離をとれば恐るるに足らない敵だった。飽和攻撃はバイドの常套手段だったが、市内の警備ドローンや自動車両などは軒並みバイド化してはいるものの飽和攻撃が効果を上げるような物量には遠く及ばない。なりふり構わない攻撃としてもこんなものが前線にでてくるのは違和感がある。

2020-06-20 10:17:57
Akikundayo @azuregreenxx

ではなぜこんな、こけおどしのようなものが地中からわざわざ……。 地中。 当然のことだが電波は地面を透過しない。当然ミッドナイトアイが継続発振している妨害電波も地中に効果を及ぼすことはない。 もしコントライトがモリッツGとR-13の間をトンネルでつなぎ、有線通信でつないでいたら。

2020-06-20 10:17:58
Akikundayo @azuregreenxx

グラウンドゼロはモリッツGが大口径レーザー砲を空に向けた。大気圏内でも減衰の少ないブルーグリーンレーザーが放たれ、それは瞬時に軌道要塞アイギスにR-13の所在を伝える。 大型バイド殲滅用対地レールガンが地表に向けられると、プロジェクタイルが速度マッハ8.2で地表へと撃ち落とされた。

2020-06-20 10:17:58
Akikundayo @azuregreenxx

初弾はR-13後方100m地点に着弾。劣化ウラン飛翔体はその運動エネルギーによって辛うじて倒壊を免れていたビル群に留めをさした。 おそらくこれは観測砲撃、きっと次は当ててくる。 コントライトは不気味な蠕動を繰り返しながらにじり寄りつつ変わらずこちらを指向していた。

2020-06-20 10:17:58
Akikundayo @azuregreenxx

奴は今もリアルタイムで位置情報を送り続けているはずだ。この場所はまずい。 どこへ逃げる?

2020-06-20 10:18:00
Akikundayo @azuregreenxx

再びケルベロスからの危機感概念伝達。ザイオング慣性制御場でフォースを機体前方に空間固定すると、目の前の高速道路高架下へ機体を突っ込ませた。僅かな間をおき、後方にレールガンが着弾。凄まじい衝撃波が機体を煽る。 機体がぐらつき、フォースが高架を支える巨大な脚柱に接触した。

2020-07-04 09:59:26
Akikundayo @azuregreenxx

フォースがごっそりと橋脚をえぐり取る。 構造体の密度の差からか、僅かに「喰い残された」鉄筋が切削面から飛び出て真っ赤に焼け溶けている。 コントライト先端のバイスクローが高速回転し、目の前の障害物を軒並み粉砕しながらこちらに迫ってきた。

2020-07-04 09:59:27
Akikundayo @azuregreenxx

全長100mを超えるヤツメウナギがいたらこんな感じなのだろう。頸椎に感じる寒けは、ケルベロスからの概念伝達だけが原因でないのは明らかだった。 吹き飛んだ車両や倒壊したビルの破片、同士討ちした警備ドローンなどが累々とばら撒かれた高架下をケルベロスは疾走する。

2020-07-04 09:59:27