アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡―グラゼニ(シリーズ構成・全話脚本):周回時感想1期分
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F-エフ-の軍馬と、『カイジ』のカイジは外見的アドバンテージがあったが、夏之介は三枚目なわけで、それをどう魅せていくかは結構な手腕が必要なのではないだろうか。それを、わずか6話(1期全12話中)にして成し遂げているのは、やはり離れ業。高屋敷さんの担当作を追って本当によかった、推しが増えた pic.twitter.com/mAuuz8Pbf4
2020-06-04 00:33:13dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、7話。 東光・北村の初登場が今回7話で、再登場するのが2期7話(19話)という構成が凄い。 東光・北村にスポットを当てつつ、野球で生きていきたい夏之介を揺さぶる構成にもなっている。 グラゼニ7話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-04 22:22:1212話(1期最終回)や15話(2期)で明らかになるが、夏之介の「野球で生きる」という決意は固く、そして熱い。これは、アニメでは強化されている。 そのため、東光や渋谷など、野球に熱意を持つ人間を見ると夏之介は「微笑む」(アニオリ)。高屋敷さん担当作には、原作にはない、キャラの微笑が結構ある。 pic.twitter.com/caBw7dYbaO
2020-06-04 22:33:53この「微笑」のあとハイタッチするのもアニオリ。手から手へ感情を伝える場面もまた、高屋敷さん担当作では頻出。 このように東光と夏之介の関係を、原作より少し濃い目にすることで、19話で東光に(原作より若干強めに)肩入れする夏之介に説得力を持たせている。つくづく構成の「計算力」が恐ろしい。 pic.twitter.com/M5rr2hyv42
2020-06-04 22:44:07dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、8話。 トーマスや、球場まで選手がどうやって行くのかの話を軸にしながらも、夏之介が2勝目を上げている。 小里コーチの解説もあり、夏之介は地味に凄いことがわかる話でもある。(続) グラゼニ8話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-04 23:26:03ラスト近くの信号機、原作では小さいコマなのに、アニメではかなり「間」がある。 意味深な信号機は、高屋敷さん担当作にしばしば登場している(特にカイジ2期、一条の過去場面は印象的)ので、気になるところ。 pic.twitter.com/XDpkOifLGd
2020-06-04 23:35:14夏之介の地味に凄い所に話を戻すが、ワンポイントも火消しもイニングまたぎもしてくれるところ。23~24話(2期)でも、球団側が夏之介を酷使しているのが明らかになっている。その「酷使」の1つが今回の試合。まあ信頼されてはいて、夏之介の「誇り」につながっている。
2020-06-04 23:42:547話で言及した「微笑」の追加だが、今回の場合も原作の「がんばれよ…」(ニッコリ)が「がんばれよ、トーマス!」(微笑)に変更されている。これも「熱く野球をする人を見ると夏之介は微笑む」という事かも。 これも、2B話の「負けんなよ、章!」(アニオリ)と同じく、イントネーションが若干熱い。
2020-06-04 23:53:31こうして見ると、ゲストやレギュラーの掘り下げもしっかりやりつつ、夏之介の掘り下げがどんどん進む構成になっていて、やはり唸る。この1期があるからこそ、2期の色々な事が心に染みる。早い話、捨て回が全くなく、全て繋がっている。 これはワンナウツ(高屋敷さんシリーズ構成・脚本)でも同じ。
2020-06-05 00:09:26dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、9話。 ワンナウツやカイジなど、高屋敷さんのシリーズ構成は9話が節目になっていることが多い。これらの作品ほどでかい節目ではないが、フォームを変えるかどうかの節目で地味にでかい。 グラゼニ9話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-05 23:51:21前も書いたが、栗城に言われるままスピードを追い求めていなら、早めに野球人生が終わっていたかもしれないという、結構怖い話。それに気付かせてくれた栗城に夏之介は感謝し、自分で考えてフォームを戻す。 原作通りだが、「自分で自分の道を行け」という、長年高屋敷さんが提示するテーマも感じる。
2020-06-06 00:01:14あと、アニメで蓄積してきた「夏之介の熱さ」が、今回もやはり出ていて、最後の夏之介のモノローグ「コントロール!コントロール!グラゼニ!」が熱い(原作から少し改変されている)。また、関谷とのライバル関係が原作より強め。ここらは、あしたのジョー2やF-エフ-(高屋敷さん脚本)を彷彿とさせる。 pic.twitter.com/cziMOMHlQy
2020-06-06 00:09:16こうして見ると、6話で自分を超え、7・8話で、悲喜こもごもあれど熱く野球をする人と接し、9話でフォーム変更をするかどうか、夏之介が「自分で」決断する──と、一見ゲストを迎えての一話完結エピソードに見える裏で、夏之介の「生きる道」についての「物語」が進行しているのがわかる。
2020-06-06 00:21:53これは、一見単発エピソードに見えて、シリーズ全体でスタッフや監督の言いたい事が見えてくる『じゃりン子チエ』(高屋敷さん脚本参加)を思わせる。度々書いてきたが、出崎統さんが、高屋敷さんの「演出の師」ならば、(じゃりン子チエ監督の)高畑勲さんが「脚本の師」なのではないかと思っている。
2020-06-06 00:28:29それくらい、じゃりン子チエはでかい。高屋敷さんの構成計算の精密さや、テクニカルな話の組み立ては、じゃりン子チエでかなり確立された感がある。 これも何回か書いてるが、これがなければカイジ、ワンナウツ、RAINBOW-二舎六房の7人-、グラゼニなどでの、高屋敷さんの見事な構成は拝めなかった。
2020-06-06 00:36:55ところで高屋敷さんの1作品内脚本数トップがF-エフ-(31話全て)、次いでグラゼニ(24話全て)、その次がじゃりン子チエ(20話以上)。 書いているうちに気付いたが、グラゼニのテクニカルなシリーズ構成はやはり、じゃりン子チエっぽさがある。やはり高畑勲さんは偉大だと思う。
2020-06-06 00:44:52dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、10話。 丁度さっき、じゃりン子チエ(高屋敷さん脚本陣)について書いたが、甲子園の話。じゃりン子チエと違い、関西人を敵に回す内容。だがヤクルトファンと阪神ファンが険悪なのはリアル グラゼニ10話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-06 01:28:24前書いたことの繰り返しになるが、高屋敷さんは、生きているような建物を表現することが多々ある。 例えば、はだしのゲン2(脚本)の原爆ドーム、めぞん一刻(脚本・最終シリーズ構成)の一刻館、ワンナウツ(脚本・シリーズ構成)のトリックスタジアムなど。 そして今回は、ファンの怒号で揺れる甲子園。 pic.twitter.com/842bMUYNTI
2020-06-06 01:37:03今回もまた、ゲストの石元・江連のエピソードを進行させながら、夏之介の「物語」も積み上がっており、夏之介なりの誇りや熱さ、負けず嫌いさが出ている(相変わらず卑屈さもあるが)。負けず嫌いさに関しては、最後のアニオリモノローグ「一杯やんないと収まんないよね」にも表れている。
2020-06-06 01:51:10この、夏之介の「負けず嫌い」さ、原作では高校時代編も交えてじっくり描写されるが、アニメは、実に精密な構成によって、それが描かれている。 こういった蓄積が、15話(2期)で爆発する、夏之介の「熱さ」に繋がっていく。本当に、無駄や捨てがない、目一杯詰まった構成なんだなと、改めて思う。
2020-06-06 02:01:10dアニメでグラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)周回、11話。 相手チームのベテラン中継ぎ・原武を通し「中継ぎで生きるとはどういうことか」「投手とは何か」を夏之介が考える。この話が1期最終回の手前に配置されている構成は意味深(続)。 グラゼニ11話 anime.dmkt-sp.jp/animestore/cd?…
2020-06-07 22:08:11高屋敷さんは「自分とは何か」というテーマを作品に織り混ぜる事が多い。 今回は、長年の経験から「自分」というものを(ダメな部分含めて)よく知り、「自分」と上手く付き合っている原武と、「自分」をある程度掴み、自分なりに悟りと誇りを持つが、野心もある夏之介との対比が面白い。
2020-06-07 22:15:47投げるコースがなくなると開き直り、ど真ん中を投げて打者を仕留める原武の戦法は、偶然にもワンナウツ(高屋敷さんシリーズ構成・脚本)序盤で渡久地が児島に使った戦法に似ており、結構強い。 そんな原武から、夏之介はHRを放つ。 原作通りだが、やはりこれが11話に配置されているのが凄い。
2020-06-07 22:24:40原武を夏之介がリスペクトしているのは、(アニメにおいては)彼が「自分」というものをよく知っている男だからではないだろうか。 そして、そんな原武からHRを打つ夏之介もまた、「自分」を知っており、そしてそれを超えつつある。 そういう意味で、1期最終回(12話)手前にこの話があるのは非常に重要。 pic.twitter.com/IQpJvpcCW7
2020-06-07 22:34:59今回は、マウンドでも打席でも、中継ぎ対中継ぎの対決が行われるわけで、夏之介にとって「自分超え」の儀式のようなもの。そして夏之介は勝つ。 F-エフ-(高屋敷さんシリーズ構成・全話脚本)では、ライバル・聖に導かれて軍馬が自分を超え、そして勝っている。 pic.twitter.com/ua8eMc9CU4
2020-06-07 22:45:31