140字描写企画

主催:@mikotomikotan 様 / 写真提供:@yatsukami 様 / タグ:#tn_by 同じお題(写真)を物書きさんに140字(タグ込み)で描写していただき、並べて違いを楽しもう!という趣味企画です。 ・お題は二種類(両方での参加も可能) ・お題1の時は「①」を、お題2の時は「②」を文頭に入れてください(タグも忘れずに!) ・質問・要望などありましたら@mikotomikotanにリプを。 続きを読む
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ながれざき@流崎詠 @kotonoha_kan

①必死に耳を澄ましたせせらぎが耳を塞ぐ激流となり、そして穏やかに広がった。山から夜中じゅう川沿いに歩いて、やっとなんとか町に出た。濁った水面、匂い。下も雨だったようだ。あの人に聞いてみよう。携帯は電源が入らず、何も持っていない。体が、頭が、痛い。ここはどこ。私は、誰。#tn_by

2011-06-26 20:37:15
tunacook @tunacook

① 見つけた。涙とともに僕の前から姿を消した彼女。どことなく幼さを残す制服姿は、何度となく一緒に散歩をした海辺にあった。潮騒に翻弄される蟹。持ち主の見えない貝。彼女はそれらを弄びながら、じっと水面の中のなにかを見つめているようだった。 #tn_by

2011-06-26 20:47:57
めい @delight_gr00

@create_box ① 潮風に髪が揺れる。細波が白い浜辺に寄せては返し、座り込む二人の足元を静かに浸していく、そんな酷く穏やかで安らかな情景。大丈夫。そう呟けば言葉の代わりに微笑みが返って来て、重ねた手の指先がそっと絡まった。 #tn_by

2011-06-26 21:55:21
恵陽@けーよー @ke_yo_

①じっと見つめる先には寄せては返す波。手を伸ばせば波は私の手をわざと避けるように引いていく。ザザッとその音だけが響いていく。太陽の光が私にも注いでいるのに、寒いままだ。体も心も冷え切って、私の視界は気付けばぼやけていた。再び手を伸ばすも、やはり私を避けたのだった。 #tn_by

2011-06-26 22:00:56
@TyP1

①波のように、想いも揺らぐ。寄せては返し、返しては寄せ、ゆらゆらゆらゆら足元ににじり寄ってくる。身を屈めてみなもに触れれば、滑らかな波紋に掻き傷が入った。指の周りに白藍が小さな渦を巻く。引き結んだ口元を、ふ、と緩め、彼女は立ち上がった。そろそろ彼がやって来る時間だ。 #tn_by

2011-06-26 22:04:34
くろネコ @crescensruna

①ここから果てまでの距離だけで世界をはかることはできない。地球が動くのは常識で、陽が海に沈むのも当然で。触っているこの水でさえ、数日、数ヶ月前には、見知らぬところから流れてきている。日は移ろい、時間が流れる。理不尽でも尊くても、全てを与えて奪う今ここに、私はいる。 #tn_by

2011-06-26 22:12:21
Hrathnir @Hrathnir1

①海で出会ったその娘と、あたしは恋に落ちた。空想豊かな娘で、自分は人魚で、人とキスをすると泡になるらしい。ある日、不意をついて彼女にキスした。彼女は目を見開いて海に向かって駆けていき、その後消息は途絶えた。初めて出会ったこの海で、寄せる波に手をかざす。泡は応えない。 #tn_by

2011-06-26 22:19:44
神奈崎アスカ @k_aska_

①寄せて返すそれに足を付けて、じゃれあう。こんなこと、今しか出来ないだろうから。「麻耶」名前を呼ばれる。私は「はぁい」と返事をして後ろを振り返る。そこには、楽しそうに悲しそうに笑うお父さんとお母さん。「じゃあ、もう行こうか」「うん」私がここに来ることは永遠にない。 #tn_by

2011-06-26 22:21:54
こうやまゆたか @whatakiadia

①すぐそばまで市街地に迫られながらも湖の水は澄んでいる。学校帰りの少女たちが通学路に面した公園を抜けて砂浜まで下りてきた。真っ先にやってきた一人がまだ流れ藻も少ない波打ち際で指さしたのは、魚影か、はたまた思い出か。追いつかない仲間たちを呼ぶ声が波音の狭間でゆらいだ。 #tn_by

2011-06-26 22:38:48
みこと @mikotomikotan1

①湿気をはらんだ向かい風が、短い黒髪をなぶる。潮のにおいが、つんと鼻の奥いっぱいに広がった。唇を引き結ぶ。彼方では飛沫の音が低く静かに響いている。靴底で感じる砂粒は細かく、白いスニーカーを汚した。指先で打ち寄せる波に触れると、刺すような冷たさが、骨から全身へとのぼる。#tn_by

2011-06-26 22:38:54
bond&morzez @bondmorzez

①黄ばんだ木の葉の揺れる水面を駆けて、冷えた風が紺のスカートと肩で切り揃えた髪をさらう。背中に感じる陽光で丁度相殺されるはずの寒気は、まだ腹の下にわだかまったままだ。枯れ葉の季節なのだ。少女は立ち上がって水際から前方へ目を移した。浜辺から拾い上げたものを握りしめて。 #tn_by

2011-06-26 22:47:04
@itsuki319

①水辺を一人で歩く。波の揺れと共に、足が濡れる。長いスカートの裾が少し重たくなった気がする。ふと、寄ってきた波を蹴り上げてみた。ぱしゃ、と小さな音はすぐに波の音に消え、蹴り上げられた水飛沫もすぐに仲間の元に戻った。羨ましい、なんて苦笑いして、一人ぼっちで駆けだした。#tn_by

2011-06-26 23:59:45
こま @sae_todo

①透明に過ぎる水が、砂浜をそっくり映し出した。それでも確かにそこにあるとわかった。だからこそ水と名前がつくのでしょう。彼女は波が揺らす水が砂浜を撫でるのを、ぼんやりと眺めていた。水が水と見えるのは、空を吸い込んだからなのかしらん。伸ばした指で、空に触れることを希う。#tn_by

2011-06-27 01:19:42
植栖価値 戯書465 @lost_taboo

①波が寄せ、木陰が揺れ、海を指さすしゃがんだ少女。波が引き、木陰が揺れ、少女が立ち上がる。また波が寄せ、木陰が揺れ、少女が歩き去る。何を見ていたのか気になって、おんなじようにしゃがんだけれど、見えたのは揺れる波と、揺れる木の陰。何にも無いや……。なぁに?私も揺れてる?#tn_by

2011-06-27 03:13:25
柚原紗希*Suzuki Yuzuhara @yu2u_l4qz

①ざざっ、ざざっという音を伴って、波が浜に打ち寄せ、砂を少し暗い色に変え、刻まれた凹凸を均して去っていく。その境目で膝を折り、一緒に浚って欲しいと言わんばかりに去っていく波を指先で追いかける人影があった。完成されたその光景はまるで映画のワンシーンのようですらある。#tn_by

2011-06-27 08:06:59
深森浅羽 @mimori_asaha

①カモメが円を描いて飛ぶ。潮風が髪を撫でる。砂が靴に入りこむのも構わず、誰もいない浜に足を投げだす。ジーンズが擦れた。掌で、波を掬う。銀のピアスの片割れを、えいと蒼い海に投げて、泡沫の恋の名残りを想う。ああ、波間にただよえ、消えていけ。泣いてないよ。忘れないよ。ばか。#tn_by

2011-06-28 00:59:56
Hrathnir @Hrathnir1

①あっちゃー、こりゃすごい。公園の噴水の水道管が破裂したらしい。昔からの水はけの悪さも加わって、結構広いはずの公園が完全に水没している。猛暑の下、突然現れたオアシス。否、幻の湖。彼方で未だに水柱を噴き上げる噴水を眺めながら、我知らず「椰子の実」を口ずさんでいた。 #tn_by

2011-06-28 21:38:29
@tkuszono

#tn_by お題①心地よい海風。陽光に立ち上る潮の香。寄せる波の音が浜を行く少女の耳を打つ。足の下、サクサクと崩れる砂の感触を楽しむ。思いつき、汀の小石を一つ、しゃがみ込み手に取った。丸く波に削られた小石。記念にと言いつつ、きっと直に忘れてしまう小石を手に、再び少女は歩き出す。

2011-06-28 15:17:34
みこと @mikotomikotan1

【140字描写企画】http://bit.ly/jrHAAf お題写真その2「鳥居」です。提供は八束さま@yatsukami #tn_by http://twitpic.com/5gy36a

2011-06-26 11:20:50
拡大
望月あん @border_sky

②隙間なく並んだ鳥居の下を歩いていると、自らの意志で歩いているのか、何か大きな力に歩かされているのかわからなくなる。鳥居の赤は落日の悲鳴だ。ひとつ鳥居をくぐるたび、空を切り裂くような唸りがする。風か、木々のざわめきか。どれひとつ確かなものなどなく、ただ鼓動が跳ねた。 #tn_by

2011-06-26 12:15:16
八束🌱【か-46】文学フリマ東京 @yatsukami

②延々と連なる鳥居の中は、ぞっとするようなしじまに満ちていた。わだかまる夏の気配。縞模様に影を落とす光が、こがね色に耀いている。奇妙に現実感を失ったその空間の中で、少女の背は遠くなるばかりだった。黄金色の光に吸い込まれていくように。伸ばした手は、いつまでも届かない。 #tn_by

2011-06-26 13:05:59
糸(水守糸子) @itomaki_ito

②何処へ往かれるのですかお嬢さん。ゆぅらゆぅらと、並ぶ朱鳥居から射した光がふれる。石畳に落ちたまだら。夏の盛りであるのに、緑の翳りはひんやりして、ああ、この鳥居の森にはひとならぬにおいがする、と思う。風も立たぬのに光が狂れた、道ゆきのあおい少女をかどわかすように。:#tn_by

2011-06-26 13:51:30
@kirihara_sakumo

②こんじきの斜陽。あかの鳥居の合間から、ゆらゆらと揺らめいて。ちかちかする視界。気づけば音も熱も、鎮守の森が吸い込んでゆく。残るは清浄な空気と異質な自分だけ。早くここからでないと。そう思うのに、足音を立てるのも憚られて。まってと前を歩く彼女に叫びたいのに声も出ない。 #tn_by

2011-06-26 16:35:46
@SorrowlessTree

②いってしまうの。後ろ髪をひくような囁きにも、少女は耳を傾けず。白い空気のみちた石畳を踏みしめ、歩く。ねぇ、本当にいってしまうの。ここを抜けてしまったら、二度と引き返せないのに。―― いいの。少女の静やかな答に、風は凪ぎ、ひかりは沈黙する。目指すは、朱き うつつへと。#tn_by

2011-06-26 17:06:35
比紗由 @hisayoshiyurara

②連なる赤い鳥居は、少女をいざなう。聞こえるのは少女の心細げな足音と、木々のざわめきだけだ。中天よりやや傾き始めた夏の陽は、少女と鳥居の影を参道に描き出す。鳥居の影をひとつ踏むたびに、少女の影は濃く鮮やかになっていく。 #tn_by

2011-06-26 17:29:26