WAC・深田萌絵事件サマリー(1) - ファーウェイ工作疑惑事件・シャープ買収騒動
深田氏が「オレンジのストールは神様の証だそうです」と提示したこのニュースは、実はひまわり学生運動について報じたもので、字幕をよく見ると「郭台銘出面協助 暗助王金平」(郭台銘氏が顔を出して協力、暗に王金平氏を助けた)とあることに気付くはず。これはどういうことだろうか。(ちなみに「發爐」というのは香炉の線香が突然燃え上がる現象で、神託とされることがある)
実は王金平氏が学生に対して退去を呼びかける数日前、郭台銘氏は国民党の2人の立法委員(議員)と野党・民進党の總召(院内総務)に「台湾の未来のために条例を立法してから再審議すべきだ」と話し、王金平氏に「両党とも調整できた。学生に返答してほしい」と電話していたという。さらに、王金平氏が郭台銘氏に馬英九総統へ学生の要求を伝えるよう頼んでいたことも明らかになっている。
深田氏はなぜこの2人の関係に触れなかったのだろうか。
2019年、郭台銘氏は鴻海の董事長(会長)を辞任し、総統選の公認候補者を決める国民党の予備選に立候補した。深田氏は「關公はカルト宗教」、「暴力団首領と義兄弟」などと言っているが、后健慈氏を獄中から救い出したという王金平氏はこの頃に郭台銘氏を実家に招き、2人で『關公兄弟好時光』というライブ配信をしていた。
予備選であえなく落選した郭台銘氏は、「総統選に向けて党内団結を」という党の呼びかけに応じず、無所属からの立候補を模索し始めた。このとき民衆党の主席で台北市長の柯文哲氏と王金平氏が郭台銘氏を推す動きを見せており、その協力関係が長らく注目されていた。
最終的に郭台銘氏は国民党を離党したものの総統選には出馬せず、同日実施の立法委員選挙で自身の腹心を民衆党と親民党の比例代表から立候補させるにとどまったが、王金平氏はその後のインタビューで今後も協力体制を継続するかを問われた際、「彼が選挙に出るなら私が支持し、私が出るなら彼が支持すると約束してある」と回答している。
深田氏は后健慈氏の命の恩人であるらしい王金平氏のこうした動向について一切取り上げていない。おそらくこういったことも「無実の罪で投獄され、暗殺されそうになったところを救い出されてFBIに保護された」という話の信憑性に疑念を抱かせる要因の1つになっているように思うが、WAC・WiLLの編集者は気にならないのだろうか。