まっかなくちべに

よつげ @Eight_os

１５６ 俺の誰にも言えんかった恋は そこで静かに幕を閉じた。 ━━━━━━━━一旦は。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/Y1diZZIQhg

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１５７ 同窓会は正直気は進まへんかったけど 会いたい顔もいくつか浮かんで 結局は行くことになった。 でも来てすぐに後悔。 …やたら絡まれるしめんどい。 もう隅の方でひっそり飲みたい… 視線を逸らしたその時 やたらと男性陣が群がる一角が目に入ってきた #エイトで妄想

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１５８ 上手い言い訳に使ってやろう。 「…ごめん、ちょおあっち挨拶してくる」 周りの女の子にそう言い添えて さり気なく輪に加わる。 「はぁ〜ちょっと休憩させて…」 そんなことを言って輪の中心に目を向ける。 瞬間、目を疑った。 そんで神様に感謝した。 #エイトで妄想

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１５９ 見違えるほど綺麗になってて、誰も気づいてなかったみたいやけど 散々目で追ってた相手や。間違うはずもない。 あの頃好きだった彼女が、目の前にいた。 自分が『木下さん』やって気づかれたくないんか、偽名を使ってくるからとりあえず合わせる。 #エイトで妄想

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１６０ …前より明るくもなってるけど 笑い方とか、あの時から全く変わってへん。 あの頃の淡い想いが込み上げてくるのが分かった。 …彼氏が居るって分かった時は、正直ビックリしたけど でも、上手くいってへんみたいやし どうにかしてモノに出来ひんかなって #エイトで妄想

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１６１ あの頃は出来なかった猛アピール。 今やってそういう柄やないし、下手くそな方やけど それでも少しずつ、距離は縮まってきてる感じがして 「昔から悪い癖やで、それ」 変わったとこも、変わらないとこも たくさん見えて 出来ればこのまま続いて欲しい。 #エイトで妄想

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１６２ このまま俺に堕ちて欲しい。 彼女が俺に少しずつ惹かれてんのも、何となく知ってた。 もう少しでどうにかなるかも、なんて 淡い期待を抱いたのも束の間。 「…もう、終わりにしたい、です」 そう言われたのがついさっきやった。 #エイトで妄想

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１６３ 俺といて、彼女はさらに楽しそうに明るくなった気がしてて それが嬉しかってんけど そこに居たのは、あの頃の『木下さん』に見えた。 そして、そのすぐ後には 同窓会の時の『早苗ちゃん』の顔をして 最後まで、俺を翻弄して。 でも 「…俺の事、ちょっとは好きやった？」 #エイトで妄想

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１６４ その時一瞬だけ、視線が揺らいだ。 「…かもね」 この子は。 きっとちゃんと、俺のことを好きで付き合ってくれてた。 そんな気がした。 じゃあ、どうしてこうなった？ 何をしてやればよかった？ 俺は… 俺はこれから、どうしたらええ？ #エイトで妄想 pic.twitter.com/Qa1T6zg2yD

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１６５ 私を縛るだけ縛り付けておいて 丸山くんが私を永遠に傍に置くつもりはないらしい。 「やって僕、お前の人生に責任持てへんしぃw」 そんなこととうの昔に分かっていたことだけど 一つの恋を諦めた私には腹立たしいことこの上なかった。 貴方が私に嘘の吐き方を教えた。 #エイトで妄想

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１６６ 私もそれを望んだから応じた。 変わりたかったから。 でも一つだけ。 貴方は嘘を本当にする方法だけは教えてくれなかったね。 …大倉くんは、あれから連絡をしてくることは無かった。 というより私が大倉くんからの連絡を全部シャットアウトしたことと #エイトで妄想

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１６７ たまたま大倉くんと別れたくらいのタイミングで知り合いに誘いを受け別の会社に入ったことが原因だろう。 …職場に行って『九条早苗なんてうちには居ない』なんて言われて大慌てしてないだろうか。 計画通りなんだけど 大倉くんに溺れてしまってからだと心配でしかない。 #エイトで妄想

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１６８ 「お待たせ〜」 丸山くんが特製のお鍋を作ってくれる。 「わー、美味しそ」 「せやろ〜？ たっぷり愛情込めて煮込んだからなぁ」 愛情ね。 執着の間違いなんじゃないのかな。 お互いに。 でも、結局何を思ったって既に過去だ。 ふーふーと息を吹きかけて流し込む。 #エイトで妄想

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１６９ 「あつっ」 「あぁもう、大丈夫？焦らんといてよ」 あたふたと水を差し出す丸山くんにちょっと笑った。 …大倉くんならこんな時、どうフォローしてたのかなw #エイトで妄想 pic.twitter.com/sVYJUgt1TN

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１７０ 新しい会社にも慣れてしばらくした頃 「木下さーん、ごめんだけど応接室にお茶持ってってくれる？ 僕行きたいんだけど今手離せなくて」 「分かりましたー」 さっきスーツの後ろ姿が入っていくのが見えた。 きっと営業に来た人なんだろう。 #エイトで妄想

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１７１ お茶を持ってドアをノックして「失礼します」と言って入る。 入って…目を疑った。 そこに居たのは、大倉くんだった。 向こうも驚いたのか、目を見開く。 竦む足を何とか動かして、お茶を置いて 「ごゆっくりどうぞ」と言い添えてその場を後にした。 何で今。 #エイトで妄想

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１７２ 静かに自分の部署に戻って仕事をする。 そのうち心臓も落ち着いてきて、息をゆっくり吐き出した。 (…営業マンって言ってたもんね) 入ったこの会社は、大きい訳では無いけど最近業績を伸ばしている。 目に留まるのも無理はない。 関わらなきゃいいだけの話だ。 #エイトで妄想

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１７３ もう帰った頃合だろうと飲み物を買いに休憩スペースに向かう。 「…！」 「ん、お疲れ」 もう帰ったと思っていたのに、 そこには自販機で買ったコーヒーを飲む大倉くんの姿があった。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/CEyyc0gvnp

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１７４ 向かいの席に座ったまま、何も言えないでいる私。 「…そんな感じとちゃうかったやん」 大倉くんがあくまでも優しく言う。 「…ごめん」 「もぉだから、謝らんといてって またこうして会えて嬉しいんやから 木下さん」 最後に呼ばれた名前に あぁ、知ってしまったんだと #エイトで妄想

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１７５ …思いかけた、けど。 「…知ってた、最初から」 「え？」 「黙っててごめん もしかしたら、彼氏おんのに面倒やったから偽名使ったんかなとか後から思ったけど でも止められへんかった。楽しかってん、俺も」 俯いて黙り込む。 そんなんじゃない。 #エイトで妄想

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１７６ 嘘を吐いたのはもっと勝手な理由だ。 「…彼氏とは？」 「まだ続いてる、一応」 「結婚は？」 「…しない、と思う」 「じゃあ、まだ俺にチャンスある？」 大倉くんはそっと、テーブルの上に置かれた私の手を握った。 「俺といた時の顔は 嘘やないと思ってるから」 #エイトで妄想

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１７７ その言葉は 嘘を吐いていたことに罪悪感を感じていた私を 真正面から肯定してくれたように感じた。 だって確かにそうなのだ。 名前こそ偽っていたけど、楽しかったのは本当だ。 気づけば本気で笑っていたんだ。 「もし、少しでも俺にまだ気があるんやったら…また連絡頂戴」 #エイトで妄想

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１７８ 「…携帯変えちゃった、連絡先残ってない」 「えぇ〜w」 困ったように笑う大倉くんに、また無意識な笑顔が零れる。 刺激と執着に囚われた人 嘘を肯定する人 どちらが正しいかなんて分からないけど 私がどちらを選びたいかなら もうずっと決まってる。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/MVOA4iiE9P

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１７９ 丸山くんに『今日家に行くね』と連絡を入れる。 すぐに既読が付いたけど返信はなかった。 丸山くんの家まで送ってくれたのは…大倉くん。 「長引かせたら付け込まれるからあかんよ サクッと終わらしてきい」 「うん…」 不安そうな顔をする私をぎゅっと抱きしめて #エイトで妄想

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１８０ 「…大丈夫大丈夫」と背中を軽くトントンしてくれる。 でもその声色は私よりも震えていて、思わずふふっと笑った。 「ちょっと、大真面目やねんけど」 「分かってるw …ありがとう、いってくるね」 そう言って ちょっと考えて、離れる瞬間頬にキスを落とした。 #エイトで妄想