『「中国」の形成』評
つーか『清朝の興亡と中華のゆくえ』からそうだけど、岡本先生、清朝の「改革」が社会構造の抜本的改革に至らなかったからって「無惨に失敗」「後世から長期的に見ればほとんど烏有に帰した」と康雍乾ひいては清朝全体に否定的にみてるときが多々あんだよな
2020-07-19 03:46:24うっかり夜っぴいて岡本隆司『「中国」の形成』を読破してしまったんですが、三章二節「経済」から岡本先生の本領が始まって面白くなる感じですね。あと黒田明伸先生の銀銭二貸制と岸本美緒先生の貯水池連鎖モデルが分かりやすく説かれてるのもポイント。
2020-07-19 05:15:56全体として事件史・政治史の記述が大丈夫かってくらいばっさりおおまかにされてますが、社会構造に注目するというシリーズの構成上むしろ適切でしょう。問題はこの巻で出てくる話は『中国「反日」の源流』『近代中国史』以来一貫して著者が説いてきたことなので「もうみた」ってなりがちなことですが
2020-07-19 05:18:21あとはそうですね…『李鴻章』と『袁世凱』でした話も盛り込まれてますが、これらを読んだ上で本書を読むと物足りなさがヤバイことですね(当たり前ですが そういう意味では本書→『李鴻章』『袁世凱』はありかもしれません(逆に反日の源流や近代中国史は本書よんだら無理に戻らんでもいい
2020-07-19 05:20:15@trinh_JP 確認しましたけど「岸本美緒の卓抜な「貯水池群」の譬喩を拝借したい」ってあるんですよ…『銀の流通と中国・東南アジア』に載ってる(と思われる)岸本先生の論文でデニス・フリンによって述べられたのを孫引きする形なんですかね
2020-07-19 05:22:55@Historian_nomad だと思います。日本語だと秋田茂・西村雄志編『グローバル化と銀』に載ってて、解説によると経済学者からはけっこう厳しい批判も来てるらしいです(但し、どういう批判が来てるのかはちゃんと書いてない)。
2020-07-19 05:27:48ちなみに「結局清朝は明末のカオスから多元共存を成し遂げたが、しかしそれを一元に転化する実力はなかったのであって、実力・実績を過大評価してはならない」という清朝評については、本書が特に重視する「官民の乖離」という観点からは納得できます。死ぬほど業腹ですが(メンタルが悲しいほど旗人
2020-07-19 05:26:10でもそれはそれとして頭から74ページまでの清初から康熙にいたる清朝の勃興とユーラシア史のところについては…その…僭越ながらもうしますと無理に書こうとしなくてもよかったのではというか…(暴言 いやだってちょっとうーん。
2020-07-19 05:32:30なんというか、初学者にはあのくらいの記述のほうがいいのかもしれませんが、明らかなミスではなくても「そう書かれると誤解を生むからやめて」「その参考文献あげといてこの書き方、第何章は読んでないな?」ってのがちょっと…目立つので…清前期については紫禁城の栄光読んで…みたいな…
2020-07-19 05:35:02@Historian_nomad まぁ、元論文(の日本語訳)はそれだと言うだけの話なので、気になったときに図書館で借りればOK案件かと。実はこの貯水池の例えの発表を聞いたことあるんですけど、さっぱり分かりませんでしたw (英語力……
2020-07-19 05:39:32致命的なミスはないんですけどね(強いていうなら夜中に呟いたモンゴル高原の二大勢力のとこのあの雑さくらい ただその、間違っちゃないけどその書き方は…うーんみたいなとこが一章のユーラシア史というかモンゴル・チベット関係のとこは目立つというか…
2020-07-19 05:38:08TLツラツラ見てたら遊牧民先生がもう例の新書読破してて笑……えんよね…。まぁ、ワイが読んでる康熙年間のジュンガル戦まではまだ本題じゃない気はしてたけど
2020-07-19 08:49:36『「中国」の形成』読んでるんだけど、満洲人・清朝がカオスのなかを勝ち抜き、勝ち残ることができたのは、多分に偶然であり、もっといえば奇跡であった。(p.41)は確かにそうやねぇ…てか、必然的に勃興した国家なんてあるのかしらという気もするけど。
2020-07-19 10:25:40漢語世界もモンゴル・チベット世界も、結果的に併せることになったにすぎない。(P.42)は全くその通り。むしろ入関あたりから後はむしろ清朝は巻き込まれ型主人公のように周りで起きるトラブルに巻き込まれて、善処してるうちに段々版図が広がっていった感じだよなぁ…。特に企んでる感じしないし…。
2020-07-19 10:30:25うーん……九王奪嫡についても、康熙帝が皇太子を廃嫡してから後継者争いが激化したことになってるけど、後継者争いが激化したから皇太子が廃嫡されたんで、因果が逆転してないかしらん…
2020-07-19 10:46:01おうこれか…雍正帝がロンコド、年羮堯を即位するなり処罰してる感じになってる箇所は…併せて兄弟たちも即位後すぐに処罰した感じになってるけど、八阿哥にしても即位後すぐは抜擢されてるし、処罰されるまで何年かあったよね…。
2020-07-19 11:00:27さっそく、岡本隆司『「中国の形成」ー現代への展望』シリーズ中国の歴史5(岩波新書)をこれから読んでいく。 まずは「17世紀の危機」論からか。
2020-07-19 16:02:46清朝の勃興から入関、モンゴル・チベット仏教世界への展開に関してはやはり大雑把かな。大筋では正しいけど。 その辺は著者の専門分野ではないから、ある程度は仕方のないところかも。
2020-07-19 16:28:39清朝について「あいついで押し寄せる目前の難しい局面に、生き延びるべく懸命の対処をくりかえした堆積が、自立と興隆につながった。」(p41)というのは同感。 清朝に最初から大帝国への確固たるロードマップがあったわけではなく、結果的にそうなった。
2020-07-19 16:33:21雍正帝像が多少古いかな。 宮崎市定『雍正帝』からあまり変わっていない。 明代以来の中国的な官僚制と社会構造に対処しようとした雍正帝のみを捉えている。 それはそれで間違いとは言えないが、やや一面的でもあるようにも思える。
2020-07-19 16:46:35