百田尚樹『日本国紀』批判（おもに古代史部分）

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早速ですが、百田本の批判を思いついたところから始めさせていただきます。 例の稲田朋美に呼応して、憲法十七条を「民主主義」と主張。（P４２） しかし、憲法十七条には、彼が言うような「何事も話し合いで決めよう」などという文言はない。 twitter.com/DSTpnWVytBDmK1…

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こんなことは常識だと思うのだが、百田本を読んで騙されそうな人がいるので、突っ込んでおく必要がありそうです。ちなみに、第一条現代語訳： 「和をなによりも大切なものとし、いさかいをおこさぬことを根本としなさい。人はグループをつくりたがり、悟りきった人格者は少ない。それだから、➡

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君主や父親のいうことにしたがわなかったり、近隣の人たちともうまくいかない。しかし上の者も下の者も協調・親睦の気持ちをもって論議するなら、おのずからものごとの道理にかない、どんなことも成就するものだ。」 geocities.jp/tetchan_99_99/…

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言うまでもなく、「上の者も下の者も協調・親睦の気持ちをもって論議するなら、おのずからものごとの道理にかない、どんなことも成就するものだ。」とはありますが、「何事も話し合いで決めよう」などとは書いていません。

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百田『日本国紀』批判２。 「現在の日本に使われている多くの歴史教科書」に、「日本の任那支配の記述がない」のは、日本の歴史学者の研究の結果であって、韓国が「日本の学会に要求した」からではない。百田がそう主張するならば、「要求した」証拠を示すべきである。（P24)

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百田『国紀』批判３。 百田は「大胆な仮説」として「百済は日本の植民地に近い存在であった」と述べるが、彼がその根拠として挙げる理由（白村江の際の国家的百済救援、等）からすれば、むしろ「ヤマト王権が百済の植民地に近い存在」でなくても「百済の分家のような存在」という朝鮮韓国側の➡

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仮説の方が説得力があるのでは無いだろうか。 百田が気付いているかは知らないが、百済がヤマト王権の「植民地」であったにしろ、ヤマト王権が百済の「分家」であったにしろ、その支配層（天皇を含む）は同族であったと言うことであり、今上陛下の「韓国とのゆかり」発言は当たっているのである。

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勿論、朝鮮（韓国）民族・日本民族などというものが問題になりうるのは、統一新羅成立、「日本」国号国家成立以降であり、それ以前の半島と列島（特に西日本）は大枠で一帯の地域と考えた方がいいと思う。実際、百田なども主張するように百済とヤマト王権とは、ほぼ一体のものと考えるべきだろう。

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＞当時の日本は自称も朝鮮での呼び名も「倭」 というよりも、「日本」と「倭国」（ヤマト王権）とは別物と考えた方がいいでしょう。日本は列島統一国家を少なくとも自任しましたが、「倭国」は西日本の小国連合の盟主のようなものでしかないと思います。 twitter.com/shimojo334/sta…

shimojo1985＠おおざけ飲酒の会 @shimojo334

現代の日本歴史学の共通認識は、「任那日本府は、任那でも日本でも府でもなかった」 弁韓に匹敵する広さの地域を任那と呼ぶ例は朝鮮半島ではみられない。伽耶がそれにやや近いか。 当時の日本は自称も朝鮮での呼び名も「倭」 伽耶の倭人根拠地として想定されそうな建造物は発掘されたことがない。 twitter.com/xiongmao53/sta…

2018-11-13 20:28:04

shimojo1985＠おおざけ飲酒の会 @shimojo334

現代の日本歴史学の共通認識は、「任那日本府は、任那でも日本でも府でもなかった」 弁韓に匹敵する広さの地域を任那と呼ぶ例は朝鮮半島ではみられない。伽耶がそれにやや近いか。 当時の日本は自称も朝鮮での呼び名も「倭」 伽耶の倭人根拠地として想定されそうな建造物は発掘されたことがない。 twitter.com/xiongmao53/sta…

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その意味では、百田の言う「日本の任那支配」も、そのようなものがたとえあったとしても「ヤマト王権による朝鮮半島南部支配」なのであり、そもそも、この時代、日本と朝鮮との別というもの自体がまだ存在していないと考えるべきである。 twitter.com/xiongmao53/sta…

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百田『国紀』批判４。 「中国やヨーロッパ社会における奴隷制度に相当するものは、日本には存在しなかったのである。」（Ｐ58） 　『山椒大夫』（安寿と厨子王）はどうなるのだろう。人身売買は、娼妓の問題を除いても、戦国時代でも盛んに行われたが。

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百田『国紀』批判４補足。 確かに、日本列島には中国やオリエント、古代ローマのような発達した奴隷社会は形成されなかったかもしれませんが、これは逆に言えば、アジアの辺境の地で、大規模な古代文明が発達しなかったということでもあります。 twitter.com/xiongmao53/sta…

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百田『国紀』批判４続き。 やはり、「発達した奴隷社会は形成されなかった」と言ったりすると、「奴隷はいなかった」と誤解・曲解する向きも出てくるようです。 奴隷の問題に対する関心は、けっこう高いようなので、もう少しこの問題に突っ込みます。 twitter.com/makotodeth/sta…

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ちなみに、百田は律令制の下での「賤民」を例に、「中国やヨーロッパ社会における（ような厳格な）奴隷制度に相当するものは日本には存在しなかった」（P58）と言っているだけで、「日本には奴隷制度がなかった」と言っているわけではありません。

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しかし、日本の奴隷制度が厳格でないというなら、律令制の下での「賤民」だけでなく、弥生期の生口や中世の人身売買についても触れる必要があるでしょうが、それらは殆どスルーしています。

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また、身分が固定化されていない点を持って、「厳格」でないと言う（Ｐ58）なら、ヨーロッパや中国も決して固定化されていたとは言えません。古代ローマの解放奴隷や、特に中国に関しては、彼自体が大伴部博麻（唐において自らを奴隷として売ったが後に自由となった）の例を挙げています。（P47）

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なお、もっと核心的なことを言うと、律令制下においては、「賤民」だけでなく班田農民自体が名前は「良民」であっても、実質「奴隷」のような存在ではなかったのでしょうか。ちょうど、古代エジプトの農民が名目「平民」であっても、実質はファラオの奴隷のような存在であったのと同じです。

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実質「奴隷」のような存在という点は、荘園公領制下の農民にしても状況は変わらず、実際、中世期においては人身売買（山椒大夫）は横行します。日本で初めて封建農民と言える物が確立したのは太閤検地によってでしょう。

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百田『国紀』批判５。 「幕末に日本を訪れた西洋人が一様に驚いた日本の街の清潔さは、実は千二百年以上も前から実現していたのだ。」（P63） 　いえいえ、平安京は汚かったようです。実際、疫痢も何度も流行しましたし。 「平安京は不衛生都市だった？」heianjidai.com/furo.html