ストレイトロード:ルート140(50周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」をベースに、毎日1作ずつ投稿している掌編という名の習作。 今回は2451~2500+おまけ。リクエスト回以外のテーマは「海」。なお各話の内容につながりはありません。 主人公は風を操る少女・藍(ラン)、語り手は彼女の従者をしているおじさんゼファールです。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2487。輸入。 陸路だけで済む場合とのコストの違い。

2020-07-12 19:22:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

崩れかけた道路の手前で車を止め、迂回方法を探す間に、藍が外へ出ていた。「あれが何かわかる?」彼女がこの悪路を使うのにこだわった理由に気づいた。欠けた斜面の先、海上に発電用の風車が並んでいる。近くに集落やその痕跡はない。洋上の風という自然の利用が洋々たる希望の一つだった頃の遺産か。

2020-07-13 19:28:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2488。洋々。

2020-07-13 19:28:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「あの人は不快だけど、骨董品の趣味だけはマトモなのよ」藍が私の背後に隠れてささやいた直後、収集家が戻ってきた。そして藍が目をつけたと見た小箱を手に取り得意げに語り出した。蓋に施された七色の装飾は螺鈿といい、貝殻が虹の輝きの材料だという。「逆ね。いい物持ってる他にいいところがない」

2020-07-14 20:01:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2489。螺鈿(らでん)。

2020-07-14 20:01:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

事情を知らない者の目には、軍人が燃え盛る陸地に人々を残して逃げたと映るのだろうか。今の藍のように。「わたしたちだけ助かっても意味ない!」魔女の小さな手を隊長は簡単に振り払った。漕ぎ手のないボートは離岸流に乗り沖へと進む。「雨がどこから来るか。当然知って」「知らない。勉強はキライ」

2020-07-15 19:12:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2490。離岸流。 ある大がかりな逆転劇の一場面、かもしれない。

2020-07-15 19:12:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

ひどく混雑したビーチの写真が壁に貼られている。古い雑誌の切り抜きだった。「浜辺の蟹より人間の方が多い。ああ、確かに」藍が生まれた頃には既に失われた光景だろう。「いろんな男に声をかけられた。ルックスだけで選んで、夜になって」藍が違う箇所の音読を始めた。続く単語をとっさに指で隠した。

2020-07-16 18:50:29
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2491。ルックス。

2020-07-16 18:50:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

窓の外の物音を聞いて目をやると、簡素な階段の下から白い霧のようなものが立ち上った。誰かが冷凍室を開けたとすぐ察した。小さな船の同乗者は全員が同じ部屋にいた。扉の錠を外したのは第三者。海賊か。「ドア閉めて!」狭い通路の後方で藍が叫んだ。貴重な食材を守る為でも人を閉じ込めていいのか。

2020-07-17 18:51:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2492。冷凍室。

2020-07-17 18:51:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

動力のない古びた舟を、集めた男達の腕だけで漕ぐ。それもなるべく静かに。通常以上の労力をかけ、私達は夜の水路を進んだ。目指す屋敷の真下に藍を送り届け、私も降りようとしたら隣の男に止められた。「お前は残れ」水路を抜けて海に出た時、漕ぎ手が足りないと怪しまれると。彼らは闇夜を見ていた。

2020-07-18 19:31:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2493。労力。 惜しんじゃいけない時がある。 惜しいと考えるべき時もある。

2020-07-18 19:31:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

カラフルな巨大生物が海岸に近づいてくる。風の魔女と地元の船による連携は見事、未知の怪物を湾内に追い込んだ。だがその姿を堤防から見下ろした藍はあまり喜んでいなかった。「思ってたのと違う」大きなヒレを包む模様の中に文字がある。漁師の一人が湾の立地から心当たりを導いた。「昔の気球か?」

2020-07-19 19:54:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2494。湾内。

2020-07-19 19:54:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「好きなので試してごらん」藍は勧められるままボトルシップの一つを手に取り、出窓に置いた。本物の港に停泊する模型の船。覗く角度次第では確かにそう見えた。「晴れた日は特に映える」「なんかお祭りみたい」そういえばここにある作品はどれも満艦飾だ。「戦ってないときしかできない飾りだからな」

2020-07-20 19:06:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2495。満艦飾。 ここまで45回は裏テーマ「海」でお届けしました。

2020-07-20 19:06:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

電話越しの要求を丁寧に確認した藍は、倉庫から持ち出した紙の束をスーツケースに詰めた。それは札束と見間違えるような色はしていない。「お金に換えられるなら何でもいいって言うから」強引に言わせたのでは、の一言を飲み込み彼女の手元を見る。かつての有名ブランドの商品券が敷き詰められていた。

2020-07-21 19:22:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2496。商品券。 提供: @yumemiya_kuku 今回のお題チャレンジコーナー開始です。提供してくださった皆様ありがとうございます。

2020-07-21 19:22:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

プロポーズの演出を依頼された藍は、全てを自分で仕掛けたくなったらしい。場所から立会人、BGMまで真剣に選び、晴れの舞台の設計図を作ってきたから依頼人も驚くばかりだ。「少しわざとらしくないか?」「これでも控えめにしたんだけど」店内の音楽が変わった。藍の自信を表現するような曲だった。

2020-07-22 18:47:08
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2497。BGM。 提供: @H_tousokujin いつか縦書きの本にするはずなので、全角で1文字として数えています。

2020-07-22 18:47:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

圧倒的な破壊を前に、無力な人々が叫ぶ。「本当はあいつらも化け物だ。悪魔憑きなんだ」異能力の由来は今も判らない。故に想像の余地が人を震え上がらせる。藍は風を掴んでから何年も陰で、時には日向でも言われてきただろう。「言う側の気持ち、ちょっとわかったかも」藍が拳を握る。悪魔の炎を睨む。

2020-07-23 18:39:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2498。悪魔憑き。 提供: @raaaaaaaaaaaa14

2020-07-23 18:39:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

美術館の庭にガラスの塔を見つけた。藍が近づこうとした途端、モップを抱えた清掃員が走ってきた。「線の内側に入るな!」藍の腕を掴んで止め、足元を確かめた。呼びかけの理由らしき注意書きは見当たらない。「足跡がついたらシンメトリーが崩れるじゃないか!」周辺の景観も含めて一つの作品なのか。

2020-07-24 18:38:32
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2499。シンメトリー。 提供: @kamiya_teiki

2020-07-24 18:38:32
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